このテーマとは
セラミックステーマは、無機非金属材料を高温焼成して作る素材・部品・関連事業全般を扱う。具体的には、(1) 電子セラミックス(積層セラミックコンデンサ MLCC・圧電素子・サーミスタ・誘電体フィルタ)、(2) 半導体製造装置用ファインセラミックス(静電チャック・サセプタ・エッチング装置部材)、(3) 構造用セラミックス(軸受・刃物・耐摩耗部品)、(4) 機能性セラミックス(圧電・磁性・光学・センサ)、(5) 耐火物・断熱材、(6) パッケージ・基板(セラミック基板・LTCC)、(7) 関連の窯業・原料粉体(アルミナ・ジルコニア・窒化ケイ素・炭化ケイ素)、までを射程に入れる。
事業環境は、半導体・電子部品市況、EV 化、自動車生産動向、産業機器投資、で形成される。日本企業は MLCC・半導体装置部材・パッケージで世界的な競争力を持つ。
なぜ注目されているのか
第一の追い風は MLCC(積層セラミックコンデンサ)の構造需要拡大。EV1台あたり MLCC 使用量は1万個を超え、ガソリン車の2-3倍に達する。生成 AI・データセンター・5G 通信機器・EV・ADAS・産業ロボットで MLCC 使用量は構造的に拡大しており、日本企業(村田・太陽誘電・京セラ)は世界市場で圧倒的シェアを持つ。
第二に、半導体製造装置用ファインセラミックスの需要拡大。半導体の微細化・成膜工程の高度化で、ウエハ搬送・固定の静電チャック、エッチング装置の耐プラズマ部材、CVD/ALD のサセプタ、で高純度・高機能セラミックスの需要が拡大している。半導体設備投資サイクルとの連動性が強い。
第三に、SiC・GaN パワー半導体パッケージの需要。パワー半導体の高温・高電圧動作には、放熱性・耐熱性の高いセラミック基板(窒化ケイ素・窒化アルミニウム)が必須で、EV・データセンター・産業機器のパワー半導体需要拡大とともに、セラミック基板市場は構造的に拡大している。
第四に、構造用セラミックスの応用拡大。航空宇宙・防衛・医療(人工骨・歯科)・産業機器(軸受・刃物)で、金属を超える耐摩耗性・耐熱性・軽量性を活かした構造用セラミックスの採用が進む。3Dプリンティングセラミックスの実用化も拡大中である。
逆風は半導体・電子部品市況の景気サイクルと、中韓メーカーとの価格競争。MLCC は局所的な供給過剰局面で価格・利益率が振れ、半導体装置部材は半導体投資サイクルに連動する。汎用品では中韓メーカーの参入で競争激化が進む。
関連する事業領域
含まれる業種は、ガラス・土石製品(セラミックス本体・耐火物)、化学(原料粉体・添加剤)、電気機器(電子セラミックス・MLCC)、機械(製造装置・成形プレス)、非鉄金属(金属化合物原料)など。
「セラミックス銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) 電子セラミックス(MLCC)と半導体装置部材と構造用で需要ドライバ・市場規模・利益率が大きく違う、(b) 大手電子部品メーカーは多事業展開で、セラミックス事業の連結売上比率が必ずしも大きくない、(c) 原料粉体メーカーは下流のセラミックス産業全体の恩恵を取り込めるが、装置投資サイクルとの連動が大きい、という点。
財務的にどう評価するか
セラミックステーマで最初に見たいのは、関連事業の売上規模と、用途別構成(電子・半導体装置・構造用・耐火物)、地域別売上、半導体投資サイクル感応度、為替感応度、である。MLCC・半導体装置部材は世界市況連動性が高く、稼働率・在庫水準の動きが利益率を強く規定する。
利益面では、研究開発費比率(5-10%)、設備投資の対売上比率、製品ミックス(高単価・高機能品比率)、を見る。MLCC は世代交代で容量・小型化が進み、製品ミックスの変化が利益率に直結する。
落とし穴は3つ。第一に、半導体・電子部品市況の景気サイクルで業績が大きく振れる。在庫水準・稼働率・受注残の確認が必要である。第二に、テーマ性で先行買いされた銘柄が、半導体投資減速で大きく下落する例がある。第三に、汎用品では中韓メーカーとの価格競争で利益率が圧迫される。利益を支えるのは高機能品・特殊用途品の比率である。
中長期では、MLCC 需要拡大、半導体装置部材シェア、SiC パワー半導体パッケージ、構造用セラミックス応用拡大、原料粉体技術、が事業価値の指標になる。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) セラミックス関連事業の売上規模と用途別構成、(b) MLCC/半導体装置部材/構造用/原料のどの位置取りか、(c) 主要顧客の集中度、(d) 設備投資・減価償却と稼働率、を最低限チェックしたい。
関連テーマの機能性化学・半導体・電子材料・半導体製造装置・パワー半導体 と併読すると、セラミックスが単独素材ではなく、半導体・EV・産業機器の高機能化を支える先端素材基盤として位置づけられる構造が立体的に見える。