このテーマとは
電子材料は、半導体・ディスプレイ・電子部品・電池などの製造に使われる特殊化学材料・金属材料・セラミック材料の総称。具体的には、(1) フォトレジスト(半導体露光工程の感光材)、(2) CMPスラリー(化学的機械研磨剤)、(3) シリコンウェハ、(4) 電子ガス、(5) 封止材・接着剤、(6) ディスプレイ向けフィルム・ガラス・偏光板、(7) MLCC(積層セラミックコンデンサ)用誘電体材料、(8) パワー半導体向けSiC・GaN基板、を含む。
本テーマには、電子材料メーカー本体、電子材料商社、研究開発受託(CRO)、特殊化学品エンジニアリングまで広く該当する。
なぜ注目されているのか
電子材料は、半導体・電子部品の世界生産を支える「縁の下の高シェア領域」で、日本企業がグローバルシェア5割超のニッチトップを多数保有する。フォトレジスト、シリコンウェハ、電子ガス、CMPスラリー、封止材、ディスプレイ向け偏光板など、特定カテゴリーで日本企業が独占的ポジションを確保している。
需要面では、(1) AI・データセンター向け先端ロジック半導体、(2) HBM(高帯域メモリ)、(3) EV向けパワー半導体、(4) 5G・6G通信向け半導体、(5) 車載半導体、(6) IoT・センサー、(7) ディスプレイ高機能化、と複数の半導体・電子部品需要拡大が同時並行で電子材料市場を牽引している。
技術トレンドとしては、(a) EUVリソグラフィ用フォトレジスト(先端半導体プロセス向け)、(b) 高NA EUV対応材料、(c) パワー半導体向けSiC・GaN基板、(d) 後工程材料(先進パッケージング向け接着剤・封止材)、(e) 環境対応材料(フッ素フリー・PFAS代替)、が成長領域となっている。
経済安全保障の観点でも電子材料は重要。米中半導体摩擦の中、日本の電子材料メーカーは輸出管理規制対応を求められつつ、欧米向け輸出機会も拡大している。日本国内での半導体生産能力再構築(TSMC熊本・ラピダス・キオクシア)は、電子材料メーカーにとって新規受注先の拡大を意味する。
関連する事業領域
含まれる業種は、化学(フォトレジスト・電子ガス・CMPスラリー・封止材)、ガラス・土石製品(シリコンウェハ・特殊ガラス・セラミック部品)、非鉄金属(電極材料・リードフレーム)、卸売業(電子材料商社)、その他製品(精密電子部品)など。
電子材料のサブテーマは、(a) 半導体前工程材料(フォトレジスト・CMPスラリー・電子ガス)、(b) 半導体後工程材料(封止材・接着剤・リードフレーム)、(c) ディスプレイ材料、(d) 電子部品材料(MLCC材料・コンデンサ材料)、(e) パワー半導体材料(SiC・GaN)、で需要・成長性・技術要件が異なる。
財務的にどう評価するか
電子材料企業の評価軸は、(a) 売上構成(半導体/ディスプレイ/電子部品の比率)、(b) 営業利益率(業界平均15〜20%、ニッチトップは25%超)、(c) 主要カテゴリーでのグローバルシェア、(d) 研究開発費比率(売上の5〜10%)、を見る。グローバルシェア5割超の製品を持つ企業は、価格決定力と高粗利率を維持しやすい。
成長性指標としては、(a) 設備投資(CAPEX)/減価償却、(b) 受注残、(c) 新規アプリケーション開拓、を確認する。先端半導体・EV・AI向けといった成長領域での新規プロセス・新規製品の開発進捗が、中期成長の起点となる。
落とし穴は、(1) 半導体・電子部品の需要急減でサイクル悪化、(2) 中国・韓国メーカーの追い上げによるシェア圧迫、(3) 為替(円安局面で輸出企業は追い風)、(4) 環境規制強化による既存材料の使用制限(PFAS規制等)、(5) 技術世代交代に対応できないと既存製品が陳腐化、の5点。
なお、電子材料は最終製品の性能要求が高く、品質保証・サプライ実績・顧客との共同開発で参入障壁が利く。一度納入実績を作れば長期にわたり指定材料として使われる粘着性の高さも特徴。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) 主力カテゴリーでのグローバルシェア、(b) 売上構成(半導体/ディスプレイ/電子部品)、(c) 営業利益率の中期推移、(d) 研究開発費・設備投資の方向感、を確認したい。
関連テーマの半導体・半導体製造装置・機能性化学・データセンター・AI を併読すると、電子材料を取り巻く需要源と技術潮流が把握できる。