このテーマとは

環境技術は、大気・水・土壌・廃棄物・エネルギー利用に関わる環境負荷を低減・除去するための技術と装置・サービスの総称。具体的には、排ガス浄化触媒、脱硫脱硝装置、上下水道・産業排水処理、廃棄物焼却・リサイクル設備、土壌修復、省エネ設備、環境計測機器、CO2回収・貯留(CCS/CCUS)、騒音・振動対策などを含む。

本テーマには、環境装置メーカー、エンジニアリング企業、環境分析・コンサルティング、廃棄物処理事業者、環境SaaS(CO2排出量計測・サプライチェーン管理)まで広く該当する。

なぜ注目されているのか

環境規制は、世界的に強化方向で一貫している。日本でも、改正温対法(2022年)でのGHG排出量算定報告公表制度の精緻化、PFAS規制の段階的強化、プラスチック資源循環促進法(2022年4月施行)、改正フロン排出抑制法、自治体ごとの上下水道更新需要など、規制起点の市場拡大が継続している。

カーボンニュートラル宣言(2050年)と関連した投資需要も大きい。製造業はScope 1・2・3排出量の削減を求められ、省エネ設備・廃熱回収・水素・CCSへの投資、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減(LCA:ライフサイクルアセスメント)の取り組みが本格化している。これらは環境装置メーカー・エンジニアリング企業の受注機会を増やしている。

新興国では、急速な工業化に伴う大気汚染・水質汚染対策の需要が依然大きい。中国・インド・東南アジアでの上下水道・大気浄化・廃棄物処理プロジェクトに、日本企業がコンソーシアムで参画する案件も継続している。

ただし、環境技術市場は伝統的に「補助金・規制起点の特需」の側面が強く、政策変更や予算配分の影響を受けやすい。受注タイミングが年度や規制施行時期に集中する傾向もある。

関連する事業領域

含まれる業種は、機械(環境装置・水処理装置・廃棄物処理装置)、化学(環境触媒・特殊薬剤・水処理用樹脂)、建設業(環境プラント建設)、サービス業(廃棄物処理・環境分析・環境コンサル)、電気機器(環境計測機器)、卸売業(環境機器商社)など。

「環境技術」のサブテーマとしては、(a) 大気・排ガス処理、(b) 水処理(上下水道・工業排水)、(c) 廃棄物・リサイクル、(d) 土壌修復、(e) 省エネ・廃熱回収、(f) 環境計測・分析、(g) CO2回収貯留、で技術・市場・規制環境がそれぞれ違う。

財務的にどう評価するか

環境技術企業の評価軸は、(a) 売上構成(装置・プラント受注/メンテナンス/消耗品・薬剤の比率)、(b) 受注高・受注残、(c) 営業利益率、(d) 海外売上比率、を見る。装置・プラント単発受注中心の企業は四半期売上のブレが大きいが、メンテナンス・消耗品・薬剤のリピート売上比率が高い企業は安定収益を持つ。

ニッチトップ型の企業(特定技術カテゴリで国内シェア5割超)は、価格決定力と高粗利率(30%超)を維持しやすい。中期計画でグローバル展開を進めている企業は、海外売上比率の方向感と新興国向け案件の受注パイプラインを確認したい。

落とし穴は、(1) 政策・規制起点の特需に依存している企業は、政策変更・予算配分減で売上が一気に落ちる、(2) プラント大型案件は工事進行基準の見積差異が利益を左右する、(3) 「環境関連」と打ち出していても売上構成比が小さい場合がある。事業セグメントで環境関連売上の比重と推移を確認したい。

なお、環境装置はサイクル長期(プラント耐用年数20〜30年)で更新需要が安定的に発生し、ディフェンシブ性の高いキャッシュフロービジネスとして評価しやすい銘柄も多い。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 装置売上・メンテナンス売上の比率、(b) 受注残の方向感、(c) 営業利益率の安定性、(d) ニッチ領域でのシェア、を確認したい。

関連テーマの水処理リサイクル省エネ脱炭素サーキュラーエコノミー を併読すると、環境技術の各セグメント市場が把握しやすい。