このテーマとは
物流は、商品・原材料・部品の輸送・保管・荷役・流通加工・配送に関わる産業の総称。具体的には、トラック輸送(一般・特積・宅配便)、鉄道貨物、内航海運、外航海運、国際航空貨物、倉庫・物流センター、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)、フォワーディング、通関、ラストワンマイル配送、宅配便、コールドチェーン物流などを含む。
本テーマには、(1) 物流事業者本体(運送・倉庫・3PL)、(2) 物流DXを支援するSaaS・テクノロジー企業、(3) 物流向け不動産(マルチテナント型物流施設)、(4) 物流機器・自動化設備(マテハン・倉庫ロボット)、まで広く該当する。
なぜ注目されているのか
EC拡大に伴い、物流需要は2010年代以降一貫して増加してきた。総量だけでなく、配送単位の小口化・配送頻度の増加・即日配送ニーズなどで、物流の単位コストは構造的に上昇している。一方、トラックドライバー不足は深刻化し、2024年4月のドライバー残業規制(年間960時間)施行(いわゆる「2024年問題」)で輸送能力の不足が表面化した。
供給制約への対応として、(1) 共同配送・モーダルシフト(鉄道・船舶への切替)、(2) 自動運転トラック・物流ロボット導入、(3) 倉庫自動化(自動倉庫・ピッキングロボット・搬送ロボット)、(4) 物流DX(配車最適化・需要予測AI・荷主と運送のマッチング)、が中期的な投資テーマとなっている。
不動産面では、EC・3PL向けの大型物流施設(マルチテナント型)の需要が継続し、物流不動産REITの組入物件が拡大している。物流施設の賃料は地方圏でも安定的に上昇しており、立地・スペック(天井高・床荷重・電力容量)が良好な施設は空室率が極めて低い水準で推移している。
ただし、外航海運・国際物流はコロナ禍特需後の運賃急落で2022〜2023年は逆風、2024年以降は紅海・スエズ・パナマの地政学リスクで再上昇と、シクリカルかつ地政学感応度の高い性質を持つ。
関連する事業領域
含まれる業種は、陸運業(トラック・宅配便)、倉庫・運輸関連業(倉庫・3PL・通関・フォワーディング)、海運業(外航・内航)、空運業(航空貨物)、サービス業(物流ITサービス)、機械(物流機器・倉庫ロボット)、不動産業(物流不動産)など。
物流業界の中でも、(a) 国内陸運・宅配便、(b) 国際物流(フォワーディング・海運・空運)、(c) 倉庫・3PL、(d) 物流不動産、(e) 物流DX・物流機器、で景気感応度・収益構造・成長性が大きく異なる。
財務的にどう評価するか
物流事業者の評価軸は、(a) 売上構成(自社運送/3PL/フォワーディング/倉庫の比率)、(b) 営業利益率、(c) 取扱貨物量・売上単価、(d) 燃料・人件費の感応度、を見る。陸運(特に下請け中心の中小運送)は営業利益率3〜5%と薄利、3PL・国際フォワーディング・倉庫は付加価値が高く営業利益率5〜10%程度を取りやすい。
物流不動産関連企業は、(a) 物流施設の保有面積、(b) 入居率(稼働率95%以上が標準的)、(c) 賃料単価、(d) 賃貸人デフォルトリスク、を見る。物流REITはNAV倍率と分配金利回りで評価する。
国際物流(外航海運・国際フォワーディング)は、シクリカル性が極めて強い。運賃指数(コンテナ運賃指数SCFI、ドライバルク指数BDI)と業績の連動を理解しておく必要がある。
落とし穴は、(1) 燃料費・人件費上昇局面で運賃転嫁が遅れると粗利が削られる、(2) 物流不動産は供給増による賃料軟化リスク、(3) 中小運送業の人手不足倒産連鎖、(4) 国際物流の地政学リスク。中期計画でドライバー確保策・自動化投資の方向感を確認したい。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) 売上構成と主力分野、(b) 営業利益率の安定性、(c) DX・自動化投資の進捗、(d) 燃料・人件費・運賃の感応度、を確認したい。