このテーマとは

飲料テーマは、家庭用・業務用・自販機向けなどあらゆる経路で消費される飲料製品全般を扱う。具体的には、(1) ビール・発泡酒・新ジャンル・RTD(缶チューハイ等)・洋酒・ワイン、(2) 清涼飲料(炭酸・果汁・スポーツドリンク・機能性飲料)、(3) コーヒー(缶・ボトル・カップ・豆/粉)、(4) 茶(緑茶・紅茶・烏龍茶)、(5) ミネラルウォーター、(6) 牛乳・乳飲料、(7) 容器(PET・缶・瓶)と物流、までを射程に入れる。

業績は、原材料コスト(コーヒー豆・茶葉・大麦・果汁・砂糖・ペットボトル原料・アルミ缶)、物流費、人件費、販価転嫁、ブランド力、自販機・コンビニ・スーパー・EC 等のチャネル構成、海外売上、で決まる。日用品的なディフェンシブ性と、為替・原料市況による振れの両方を持つ。

なぜ注目されているのか

第一の追い風は、長らく続いた値下げ圧力からの転換である。原材料・物流費・人件費の上昇を背景に、ビール・清涼飲料の業界全体で値上げが定着し、価格競争よりも価値訴求型の販売戦略が一般化した。販売数量がやや減少しても、単価上昇で売上・利益が確保される構造に移行している。

第二に、健康志向・機能性の拡大。糖質オフ・カロリーオフ・機能性表示食品・特保(特定保健用食品)の各カテゴリーで新製品の投入が続き、付加価値の高い製品比率が上がっている。エナジードリンク、プロテイン飲料、機能性コーヒー、無糖茶系飲料も継続的に成長領域となっている。

第三に、海外展開の伸長。ビール大手は北米・東南アジア・大洋州での M&A・現地ブランド展開で海外売上比率を高め、清涼飲料大手も中国・東南アジアで売上を拡大している。為替円安は海外売上の円換算を押し上げる一方、現地通貨ベースの数量・単価成長が中長期の本質指標になる。

第四に、インバウンド需要と RTD・洋酒・国産ウイスキー人気。訪日外国人旅行者の増加と、日本産品の海外人気の高まりで、ビール・ウイスキー・日本酒・国産ワインの輸出が伸びている。RTD(缶チューハイ等)はコロナ禍以降に家飲み需要を取り込んで定着した。

逆風は若年層のアルコール離れと、清涼飲料の自販機チャネル縮小傾向。原材料市況の急変動(コーヒー豆・カカオ・砂糖等)も利益率変動の要因として残る。

関連する事業領域

含まれる業種は、食料品(飲料メーカー・酒類メーカー)、卸売業(酒類・食品商社)、小売業(コンビニ・スーパー・酒販店)、化学(PET 樹脂・容器材料)、機械(充填機)、サービス業(自販機運営・物流)など。

「飲料銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) ビール大手・清涼飲料大手・コーヒー専業・茶飲料専業・乳業大手では、原材料構成・チャネル戦略・利益率がまったく違う、(b) 同じ大手でも国内比率と海外比率の差で為替感応度・成長性が変わる、(c) 健康志向・機能性製品比率の高低で、構造的な利益率改善余地が異なる、という点。

財務的にどう評価するか

飲料テーマで最初に見たいのは、原材料・容器・物流の販価転嫁状況と、ブランドミックス(高単価製品比率)の推移である。販価転嫁は四半期ベースで進行し、原料コスト下落局面では転嫁解除や販促強化に転じることもある。決算説明資料の「価格/ミックス/数量」要因分解は重要な情報源になる。

利益面では、セグメント別の利益率(酒類・清涼飲料・乳飲料・健康食品・海外)、海外子会社の損益、買収のれん償却・減損の影響、を分解して見る必要がある。海外大型 M&A を実施した企業では、のれん残高と買収後の業績見通しが中長期の業績に大きく影響する。

落とし穴は3つ。第一に、原材料市況のヘッジ条件と契約期間で、業績の振れ方が企業ごとに異なる。コーヒー豆・カカオ・砂糖のような国際商品市況の急騰局面では、ヘッジが効いていれば短期影響は限定的だが、ヘッジ満了後の値上げ転嫁が遅れると利益が圧迫される。第二に、海外子会社の業績は現地通貨建てでは順調でも、為替反転局面で円ベースの利益が大きく振れる。第三に、自販機・酒販店など旧来チャネルの構造的縮小で、ある業態に集中している企業はチャネル構成の見直しコストを負う。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) カテゴリー別売上構成(酒類・清涼飲料・コーヒー・茶等)、(b) 国内・海外売上比率、(c) ブランドミックスと値上げ転嫁状況、(d) のれん残高と海外子会社の業績、を最低限チェックしたい。

関連テーマの健康食品食料安全保障外食コンビニインバウンド と併読すると、飲料が単独カテゴリーではなく、消費者の生活様式・価格感応度・健康志向と連動した複合テーマであることが立体的に見える。