このテーマとは

外食は、店舗内外で調理した料理・飲料を顧客に提供する事業全般。ファストフード、ファミリーレストラン、居酒屋・バー、寿司・回転寿司、焼肉、ラーメン、カフェ・喫茶、給食・社員食堂、デリバリー専業(クラウドキッチン)、そして高級レストラン・ホテル内飲食まで含まれる。

本テーマには、外食チェーン本体に加え、外食向け食材卸、外食向け業務用機器メーカー、外食向け業務SaaS(POS・在庫・予約・注文管理)、外食ファランチャイザー、デリバリープラットフォームまで広く該当する。

なぜ注目されているのか

外食市場は、コロナ禍で約25兆円のピーク(2019年)から2020年に18兆円台まで急縮小、その後インバウンドと国内消費回復で2024年に再びピーク水準に到達した。コロナ後の構造変化として、(1) インバウンド客需要の急回復、(2) テイクアウト・デリバリー定着、(3) 人手不足深刻化、(4) 食材・光熱費・人件費の三重コスト上昇、(5) 値上げによる客単価上昇、が進行している。

特に値上げは、長らく日本の外食産業の弱点であった「価格決定力の弱さ」を変える契機になっている。原材料・エネルギー価格上昇を背景に、外食チェーンの値上げが相次ぎ、客単価上昇が業績を押し上げる構図が定着しつつある。一方で、客数は値上げの反動で伸び悩む店舗も多く、「単価上昇による売上維持」と「客数獲得」の両立が経営課題になっている。

人手不足対策として、配膳ロボット・セルフオーダー(タブレット注文)・自動釣銭機・キャッシュレス決済・AI需要予測といった省力化投資が業界共通で進んでいる。これは外食向けITベンダー・機器メーカーの追い風でもある。

インバウンド需要は、特に観光地・大都市の外食店舗にとって構造的な追い風。寿司・天ぷら・ラーメン・焼肉といった日本食ブランドの強さが、海外展開(米国・東南アジア・欧州)でのフランチャイズ拡大にもつながっている。海外売上比率の高い外食チェーンは、円安局面で円換算売上を押し上げる効果も享受する。

関連する事業領域

含まれる業種は、小売業(飲食店経営)、サービス業(外食フランチャイザー・給食・社員食堂・デリバリー)、卸売業(外食向け食材卸)、機械(業務用厨房機器)、情報・通信業(外食向けSaaS・予約サイト)、農林水産業(食材生産者)、食料品(業務用食材・調味料)など。

外食業界の中でも、(a) ファストフード(高回転・低単価)、(b) ファミリーレストラン(中単価・大型店舗)、(c) 居酒屋・バー(夜間中心・夜型業態)、(d) 寿司・焼肉(差別化・高単価)、(e) カフェ(席料・滞在時間長め)、(f) 給食・社員食堂(BtoB・安定収益)、で景気感応度・人手依存度・収益構造が大きく異なる。

財務的にどう評価するか

外食企業の評価軸は、(a) 既存店売上前年比、(b) 客数・客単価の分解、(c) 営業利益率、(d) 出店戦略(新規出店ペースと閉店)、を見る。既存店売上は外食企業の最重要KPIで、月次で開示される。客単価上昇主導の伸びは値上げの効果が中心で、客数主導の伸びは商品力・店舗体験力を表す。

費用構造としては、原材料費(FL:Food)と人件費(L:Labor)が主要項目で、合わせて「FLコスト」が売上の60%程度になるのが標準。FLコスト比率の中期推移を見れば、値上げ・効率化の進捗が判断できる。賃料・水光熱費の上昇圧力もあり、出店地代の交渉力・店舗運営効率化が利益率を分ける。

落とし穴は、(1) 出店拡大期の固定費先行で短期利益が圧迫される、(2) 食中毒・異物混入・SNS炎上で一気にブランド価値が毀損する、(3) 値上げの反動で客数が大幅減、(4) インバウンド依存度の高い店舗の地政学・為替リスク、(5) 海外フランチャイズの現地子会社業績悪化。同業他社の月次既存店売上と比較して相対的なポジションを見たい。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 既存店売上前年比と客数・客単価の分解、(b) FLコスト比率の方向感、(c) 出店ペース、(d) インバウンド・海外売上比率、を確認したい。

関連テーマのインバウンド飲料健康食品食料安全保障 を併読すると、外食産業の周辺市場と消費トレンドが見渡しやすい。