このテーマとは

バイオテクノロジー(Biotech)は、生物の機能や生命現象(遺伝子・細胞・タンパク質・微生物)を応用する技術領域。医薬品・診断、再生医療・細胞治療、遺伝子治療、農業(品種改良・ゲノム編集)、食品(発酵・代替タンパク)、環境(生分解性素材・バイオレメディエーション)、化学(バイオプラスチック)まで応用範囲が広い。

本テーマには、(1) バイオ医薬品メーカー(抗体医薬・組換えタンパク医薬)、(2) 遺伝子治療・細胞治療プレイヤー、(3) バイオシミラー(バイオ医薬の後発品)、(4) 創薬支援(CRO・CDMO・バイオベンチャー)、(5) ゲノム編集・遺伝子検査、(6) バイオ素材(微生物発酵による素材生産)、まで含まれる。

なぜ注目されているのか

バイオテクノロジーは、低分子医薬中心の創薬パラダイムを越えて、抗体医薬・遺伝子治療・細胞治療・mRNA医薬といった新規モダリティ(治療様式)の実用化が相次ぎ、2010年代以降の医薬品市場を構造的に変えてきた。グローバル医薬品売上トップ10のうち、半数以上が抗体医薬や遺伝子治療といったバイオ医薬で占められる時代になっている。

mRNA技術は、コロナ禍ワクチンで実用化が加速し、現在はがん・希少疾患・自己免疫疾患への応用研究が進む。CAR-T療法・遺伝子治療・幹細胞治療など、患者個別の細胞・遺伝子を操作する次世代治療も承認・普及が進んでおり、医薬品市場の付加価値の中心がバイオに移りつつある。

非医薬領域でも、(1) ゲノム編集(CRISPR)による品種改良・畜産改良、(2) 微生物発酵による代替タンパク(プラントベースミート・培養肉)、(3) バイオプラスチック・生分解性素材、(4) バイオ燃料、(5) バイオレメディエーション(汚染土壌の微生物浄化)、と応用が広がっている。

ただし、バイオテクノロジー業界は研究開発期間が極めて長く(10年以上)、初期投資が膨大で、開発失敗リスクも高い。多くのバイオベンチャーは黒字化前で、株価評価は将来性とパイプライン次第というハイリスクハイリターンの性格を持つ。

関連する事業領域

含まれる業種は、医薬品(バイオ医薬・ワクチン・遺伝子治療)、化学(バイオ素材・酵素・発酵製品)、精密機器(バイオ機器・遺伝子解析装置)、サービス業(CRO:開発業務受託・CDMO:製造受託)、農林水産業(品種改良・畜産)、食料品(発酵食品・代替タンパク)など。

バイオテクノロジーのサブテーマとしては、(a) 創薬・バイオ医薬、(b) 遺伝子治療・細胞治療・再生医療、(c) ゲノム編集、(d) 診断・遺伝子検査、(e) バイオ素材・代替タンパク、(f) CRO・CDMO(医薬研究・製造受託)、で技術要件・収益化までの期間・市場性が異なる。

財務的にどう評価するか

バイオテクノロジー企業を見るときは、企業の発展段階で評価軸が大きく異なる。

(1) 創薬バイオベンチャー(研究開発フェーズ):(a) 主要パイプラインの開発段階(前臨床/臨床第1〜3相)、(b) ライセンス契約・マイルストーン収入、(c) 手元現金・キャッシュバーン(年間赤字額)、(d) 大手製薬との提携状況、を見る。黒字化前のバイオベンチャーは、数年分の手元キャッシュ(バーンレートに対して)と主力パイプラインの治験成功確率が株価を左右する。

(2) 商業化済み医薬品メーカー:(a) 売上成長率、(b) 営業利益率、(c) パイプラインの分散度(特定製品依存度)、(d) パテントクリフ(特許切れ時期)、を見る。

(3) CRO・CDMO(受託型):(a) 売上成長率、(b) 営業利益率、(c) 受注残・主要顧客分散度、を見る。グローバル製薬企業からの受託案件比率が高い企業は、為替の影響を受けつつ、安定成長の収益性を持ちやすい。

落とし穴は、(1) 治験失敗による株価急落、(2) 主力医薬品の特許切れ(パテントクリフ)、(3) 薬価改定による売上圧迫、(4) 「バイオ関連」と打ち出していても売上構成比が小さい、(5) ライセンス収入は会計年度に集中するため業績ブレが大きい、の5点。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 開発フェーズと主要パイプライン、(b) 売上構成・利益構造、(c) 手元キャッシュ・バーンレート(黒字化前なら)、(d) 大手製薬・グローバル受託先との提携状況、を確認したい。

関連テーマの創薬再生医療核酸医薬がん治療ワクチン代替タンパク を併読すると、バイオテクノロジーの応用領域別の市場が整理できる。