事業概要
同社は「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、微細藻類ユーグレナを核とした「バイオマスの5F」(Food, Fine Chemical, Feed, Fertilizer, Fuel)戦略に基づき、ヘルスケア、バイオ燃料、その他多岐にわたる事業を展開している。ヘルスケア事業では、ユーグレナやクロレラを活用した健康食品、化粧品、OEM・原料供給を行っており、直販チャネルを中心にLTV(顧客生涯価値)の最大化と、企業顧客への素材提供による安定収益の確保を目指している。バイオ燃料事業では、SAF(持続可能な航空燃料)やHVO(再生可能ディーゼル燃料)の製造・供給体制構築を進めており、グローバル大手エネルギー企業との合弁事業を通じて、マレーシアでの商業プラント建設・運営を推進している。その他事業として、飼料や肥料への展開も進めており、ユーグレナの多様な可能性を追求している。2020年には「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、持続可能性を軸とした事業運営を基本戦略としている。
直近決算ハイライト
2025年度は、7期ぶりとなる連結営業黒字を達成し、黒字規模を大きく拡大させる見込みである。これは、先行投資、バックオフィス強化、M&A関連費用増加による営業損失が続いていた状況からの転換点となる。ヘルスケア事業においては、定期顧客数の増加に転じ、LTV向上のための収益構造改革が進展し、限界利益率が大幅に改善した。ブランド内ラインアップ拡充やブランド横断のクロスセルによる顧客単価の底上げも図られる。バイオ燃料事業においては、マレーシアの商業プラント建設が順調に進捗しており、2028年下期までの稼働開始を目指している。これらの取り組みにより、売上高は520億円、調整後EBITDAは70億円、営業利益は32億円を見込んでおり、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字転換も視野に入れている。
強みと競争優位性
同社の最大の強みは、ユーグレナというユニークな微細藻類に関する高度な培養技術と、それを「バイオマスの5F」戦略に基づき多角的に事業化する独自のアプローチである。特に、ユーグレナの屋外大量培養を世界で初めて成功させた実績や、独立栄養、従属栄養、光従属栄養といった全ての培養技術をコア技術としている点は、他社との差別化要因となる。ヘルスケア事業においては、「からだにユーグレナ」をはじめとする自社ブランドの確立と、定期購入モデルによる安定した収益基盤が強みである。また、キューサイやエポラなどのグループ会社が持つブランド力や顧客基盤も活用できている。バイオ燃料事業においては、グローバル大手エネルギー企業との提携を通じて、商業規模のプラント建設・運営という大規模プロジェクトを推進できる体制は、参入障壁の高さを示す。さらに、パラミロンなどのユーグレナ由来の機能性素材に関する研究開発力と、それらをFine Chemical領域で展開するポテンシャルも競争優位性となる。
リスク要因
同社は、事業運営における様々なリスク要因を抱えている。ヘルスケア事業では、製造委託先への依存、製品の品質・安全性問題、そして薬機法や景品表示法をはじめとする法規制の変更リスクが挙げられる。特に、機能性表示食品制度の見直しや、個人情報漏洩のリ से ティック は、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、健康食品市場における顧客嗜好の変化や、競合の出現、広告宣伝費・販売促進費の先行投資に対する効果の不確実性もリスクとなる。バイオ燃料事業では、マレーシアの商業プラント建設遅延や、想定を超える追加資金負担、操業上のトラブル、原料・製品の市況変動、為替・金利変動リスクなどが懸念される。さらに、ユーグレナ培養技術の陳腐化、知的財産権侵害のリスク、海外展開におけるカントリーリスク、地政学リスク、自然災害、情報システム障害、企業買収・投資に伴うリスク、株式関連報酬による希薄化リスクなど、共通のリスクも多数存在する。
投資テーマとの関連
同社は、「サステナビリティ First」を掲げ、環境負荷の低いバイオ燃料や、栄養価の高いユーグレナを活用した食品・素材開発を行っており、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献という投資テーマと深く関連している。特に、バイオ燃料事業は、脱炭素化社会の実現に向けた重要なテーマであり、SAF・HVOの商業化は、航空業界や運輸業界のグリーン化に貢献する可能性がある。ヘルスケア事業におけるユーグレナ由来の機能性素材は、健康寿命の延伸やウェルネス志向の高まりといったテーマにも合致する。また、ユーグレナを「バイオマスの5F」戦略で多段階に活用するモデルは、資源循環型社会の構築や、サーキュラーエコノミーといった、より広範なサステナビリティ関連の投資テーマとも親和性が高い。微細藻類というバイオテクノロジー分野への投資テーマとも関連が深く、その研究開発力と事業化への取り組みは、将来的な成長ポテンシャルを示唆している。