このテーマとは

スマートシティは、IoT・AI・ビッグデータ・5G・ロボティクスといったデジタル技術で、都市の交通・エネルギー・防災・行政サービス・医療・教育を統合的に最適化するコンセプト。具体的には、(1) スマート交通(信号最適化・MaaS・自動運転バス)、(2) スマートエネルギー(地域エネルギーマネジメント・マイクログリッド)、(3) スマート防災(センサー監視・避難情報配信)、(4) スマート行政(マイナンバー・電子申請・データ連携)、(5) スマートビル・スマートホーム、(6) 都市OS(データ統合プラットフォーム)、を含む。

本テーマには、スマートシティ向け建設・開発・エンジニアリング、IoTプラットフォーム、都市データ管理SaaS、エネルギーマネジメント、地域DX支援サービスまで広く含まれる。

なぜ注目されているのか

スマートシティ構想は、(1) 都市インフラ老朽化対策、(2) 地方人口減少・地方創生、(3) 災害対応強化、(4) 脱炭素化、(5) 高齢化社会への対応、を統合的に解決する政策パッケージとして位置付けられている。

国内政策面では、(1) スーパーシティ構想(国家戦略特区での先行実装)、(2) デジタル田園都市国家構想(地方DX推進)、(3) 都市OS・データ連携基盤の整備、(4) Beyond 5G/6G推進、(5) 自動運転・MaaS実証、と多層的な政策が進行している。各自治体でも、地域の課題に応じたスマートシティ実装プロジェクトが進む。

民間側では、不動産デベロッパー・通信事業者・エネルギー事業者・自動車メーカー・建設業がコンソーシアムを組み、新規開発エリア(柏の葉、Woven City、晴海フラッグ、関西万博跡地等)でのスマートシティ実装を進めている。これらは長期にわたる大規模プロジェクトで、関連業種への波及効果が大きい。

技術トレンドとしては、(a) デジタルツイン(都市の3Dデジタル複製)、(b) AI都市OS、(c) MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、(d) 自動運転・無人運転、(e) ローカル5G、(f) 地域マイクログリッド、(g) スマートビル(BEMS・FM)、が成長領域。

ただし、スマートシティは概念が広く、収益化モデルが定まっていないプロジェクトも多い。実証実験段階のプロジェクトが本格的な収益事業に育つには時間がかかり、短期的な投資収益期待は控えめにすべき領域でもある。

関連する事業領域

含まれる業種は、建設業(スマートシティ開発・スマートビル)、情報・通信業(IoTプラットフォーム・都市OS・SaaS)、電気機器(センサー・ネットワーク機器・スマート家電)、機械(自動運転車両・物流ロボット)、不動産業(街区開発)、サービス業(コンサル・地域DX支援)、運輸業(MaaS・自動運転)、エネルギー業(地域エネマネ)など。

スマートシティのサブテーマは、(a) 都市OS・データ連携基盤、(b) スマートモビリティ・MaaS、(c) スマートエネルギー・マイクログリッド、(d) スマート防災、(e) 行政DX、(f) スマートビル・スマートホーム、で技術要件と市場性が異なる。

財務的にどう評価するか

スマートシティ関連企業を評価する際は、(a) スマートシティ関連事業の売上構成比、(b) 主要プロジェクトの規模・進捗、(c) 営業利益率、(d) 受注残・パイプライン、を見る。

スマートシティ・プロジェクトは長期型(数年〜十数年)のビジネスで、案件単発の利益寄与は限定的。継続的な保守・運用契約・データ管理SaaSのストック収入比率が、中長期の収益性を左右する。

落とし穴は、(1) 「スマートシティ関連」と打ち出していても実際の売上構成比が小さい、(2) 実証実験どまりで本格的な収益化に至らない、(3) 自治体予算の制約による案件停滞、(4) 大型コンソーシアム案件のリーダー企業以外は薄利、(5) 海外メーカーの参入による価格圧力、の5点。中期計画でスマートシティ関連事業の収益寄与時期を確認したい。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) スマートシティ関連事業の売上比率、(b) 主要プロジェクトでの担当領域(インフラ/IoT/データ/運用)、(c) ストック収入比率、(d) 自治体・コンソーシアムとの関係性、を確認したい。

関連テーマのIoT5GDXインフラ老朽化MaaS不動産テック を併読すると、スマートシティの構成要素別の市場が整理できる。