事業概要
当社グループは、製版、印刷、製本およびそれらに関連する付帯事業を中核とし、情報コミュニケーション、情報セキュリティ、生活・産業資材の3つの主要事業部門を展開しています。情報コミュニケーション部門では、書籍や雑誌の出版印刷に加え、コミックスや法人向け教育プログラム、デジタルコミックなどのオリジナルコンテンツ事業、情報サービスBPOを展開しています。情報セキュリティ部門では、ビジネスフォームや証券類、各種カードの製造販売に加え、ヘルスケア分野や金融機関向けの情報サービスBPO、決済ソリューションを提供しています。生活・産業資材部門では、ラミネートチューブやトップシール材などの軟包装、紙器、ブローボトル、建材用品印刷、高機能材料などを手掛けており、特に環境に配慮した包材や産業用包装資材の分野に注力しています。その他、物流業や不動産管理業も営んでおり、グループ全体で多角的な事業ポートフォリオを構築しています。2026年3月期は、売上高982億5百万円、営業利益21億3千4百万円となりました。
直近決算ハイライト
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.8%減の982億5百万円、営業利益が同8.4%減の21億3千4百万円となりました。経常利益は同0.7%減の27億2千7百万円と微減にとどまりましたが、特別利益として投資有価証券売却益34億4百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は同19.6%増の39億6千万円と大きく増加しました。セグメント別では、情報コミュニケーション部門は売上高6.7%減、営業損失2億2千2百万円と苦戦しましたが、生活・産業資材部門は売上高2.6%増、営業利益25.7%増と堅調に推移しました。情報セキュリティ部門は売上高0.9%減、営業利益42.3%減となりました。売上総利益率は78.7%と前期から1.2ポイント改善したものの、販売費及び一般管理費が同5.4%増加し、売上高比率が1.3ポイント上昇したことが営業利益の減少要因となりました。自己資本利益率(ROE)は前期の5.3%から6.2%へ0.9ポイント上昇しました。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたる製版・印刷・製本事業で培われた技術力と、情報コミュニケーション、情報セキュリティ、生活・産業資材という多角的な事業ポートフォリオにあります。特に、情報コミュニケーション部門におけるオリジナルコンテンツ事業や、生活・産業資材部門における環境配慮型包装資材の開発力は、変化する市場ニーズに対応する競争優位性となっています。また、グループ全体でサプライチェーンマネジメントを強化し、原材料の安定調達や製品供給の安定化を図る体制も強みと言えます。子会社間の連携による生産・販売体制の効率化や、共同物流株式会社による物流機能の最適化も、事業運営における強固な基盤となっています。さらに、ISO27001やプライバシーマークといった情報セキュリティに関する外部認証の取得・維持は、情報セキュリティ部門における顧客からの信頼獲得に繋がっています。
リスク要因
当社グループを取り巻くリスクとして、まず人材基盤の確保・育成が挙げられます。少子化や雇用環境の変化により労働力の確保が困難になる中、多様な人材の確保・育成・定着が図れない場合、競争力低下につながる可能性があります。また、大規模自然災害やパンデミックの発生は、事業活動の停滞やコスト増につながるリスクがあります。法的規制やコンプライアンス違反のリスクも存在し、規制の改廃や適用基準の変更、ガバナンス体制の形骸化は業績に影響を及ぼす可能性があります。情報セキュリティに関しても、サイバー攻撃などによる情報漏洩は、信用低下やコスト増加のリスクを伴います。さらに、デジタル化や消費者ニーズの多様化といった事業環境の変化への対応の遅れ、気候変動への対応遅れによるコスト増加や投資対象からの除外、原材料価格の高騰やサプライチェーンの停滞による調達リスク、人権問題や製品・サービス品質に関する問題なども、業績に影響を与える要因となり得ます。
投資テーマとの関連
当社グループは、情報系事業においてデジタル化への対応を強化しており、特にオリジナルコンテンツ事業や情報サービスBPOは、デジタルコンテンツやDX推進といった投資テーマとの関連があります。情報セキュリティ部門のビジネスフォームや情報サービスBPO、決済ソリューションなども、DXやフィンテックといったテーマに紐づく可能性があります。生活・産業資材部門では、環境に配慮した包装資材の開発に注力しており、これはサステナビリティやGX(グリーン・トランスフォーメーション)といったテーマとの関連性が考えられます。一方で、主力事業である印刷・製本業は、紙媒体の需要減少という構造的な逆風に直面しており、AIや半導体、EVといった成長著しいテーマとの直接的な関連性は現時点では限定的と言えます。しかし、情報加工サービスへのシフトや、産業用包装資材の開拓など、新たな価値創造に向けた取り組みは、将来的なテーマとの接点を広げる可能性を秘めています。