事業概要
当社グループは、エレクトロニクス機能材料および高純度化学薬品の製造・販売を主たる事業として展開しています。事業は「材料事業」の単一セグメントであり、2025年度の生産実績は157,231百万円(前年度比16.4%増)、販売実績は237,029百万円(前年度比17.9%増)と、いずれも堅調な伸びを示しています。主要顧客としては、台湾積体電路製造(TSMC)が前年度比30.4%増の79,631百万円(総販売実績の33.6%)を占めており、同社の存在が事業の根幹をなしていることが伺えます。エレクトロニクス機能材料部門が1,247億円、高純度化学薬品部門が1,094億円の売上をそれぞれ計上しており、両事業が事業収益を牽引しています。グローバルに事業を展開し、北米、欧州、アジア地域に生産・販売拠点を有しています。経営ビジョンとして「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company™”」を掲げ、2030年に向けた長期ビジョン「tok Vision 2030」の達成を目指し、中期経営計画「tok中期計画2027」を推進しています。
直近決算ハイライト
2025年度の連結業績は、売上高2,370億29百万円(前年度比17.9%増)、営業利益473億86百万円(同43.2%増)、経常利益492億74百万円(同42.6%増)と、売上高、利益ともに過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益も333億45百万円(同47.0%増)と大幅な増加を達成しています。この好調な業績は、スマートフォン需要が低調な一方で、生成AI関連需要の拡大やパソコンの買い替え需要の堅調さが追い風となったエレクトロニクス市場の動向に加え、先端レジストのグローバルシェアNo.1を目指す戦略の奏功、そしてドイツmicro resist technology GmbHの完全子会社化による欧州市場での戦略強化が寄与しています。また、フォトレジスト新製造棟の建設や高純度化学薬品の新製造棟着工といった戦略的投資も進められています。開発関連材料等の在庫認識に伴う一過性の利益計上も利益を押し上げる要因となりました。自己資本比率は67.9%と健全な財務基盤を維持しています。
強みと競争優位性
当社の強みは、エレクトロニクス産業の高度化・多様化するニーズに応えるための「微細加工技術」と「高純度化技術」というコアコンピタンスにあります。これらの独自技術を深化させ、顧客の要求に応える製品開発を行うことで、先端レジスト分野におけるグローバルシェアNo.1を目指す姿勢は、競争優位性の源泉となっています。また、TSMCという世界最大級の半導体製造受託企業を主要顧客に持つことは、安定した需要基盤と、最先端の技術動向を早期に把握できるという点で大きな強みです。ドイツのmicro resist technology GmbHの買収により、欧州市場での顧客密着戦略を強化し、技術融合による製品ポートフォリオの拡充も進めており、グローバルな事業展開力と技術力を高めています。さらに、営業、開発、製造が一体となった戦略的な研究開発体制は、技術トレンドと顧客ニーズを先取りし、ロングランの研究開発を可能にしています。
リスク要因
当社の事業は、エレクトロニクス業界特有の景気変動リスクに晒されています。半導体・ディスプレイ市場の循環的な市況変動や、技術革新の速さ、ユーザーニーズの複雑化・多様化は、業績に影響を与える可能性があります。また、グローバルに事業を展開しているため、為替変動リスクも無視できません。さらには、原材料価格の変動や調達遅延・中断といった原材料調達リスク、製品の欠陥に起因する製造物責任リスクも存在します。研究開発においても、投入した経営資源に対して十分な成果が得られないリスクや、知的財産権を巡る紛争リスク、サイバーセキュリティリスク、自然災害や事故による生産停止リスクなども考慮すべき要因です。気候変動による異常気象や、脱炭素社会への移行に伴う炭素税等の政策・法規制の厳格化も、将来的にコスト増加や事業活動の制限につながる可能性があります。
投資テーマとの関連
当社は、半導体製造に不可欠なフォトレジストや高純度化学薬品を提供する企業として、生成AIブームを背景とした半導体需要の拡大という、極めて重要な投資テーマと深く関連しています。特に、生成AIの性能向上に直結する先端半導体の製造プロセスにおいて、当社の高精度な材料は不可欠な存在となりつつあります。中期経営計画における定量目標の引き上げは、この生成AI関連需要の拡大を織り込んだものであり、今後の成長への期待感を示唆しています。また、通信革命やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展も、エレクトロニクス材料の需要を刺激する要因となります。さらに、環境規制への対応やCO2排出量削減に貢献する製品開発への取り組みは、サステナビリティやGX(グリーントランスフォーメーション)といったテーマとも関連性が高まっています。