事業概要
岐阜造園グループは、1927年の創業以来、造園緑化工事の設計・施工・メンテナンスを主たる事業として展開しています。「街や暮らしに潤いを与える緑空間の創造」をコンセプトに掲げ、伝統的な造園技術と現代的な感性を融合させた事業活動を行っています。事業は単一セグメントですが、対象物件により「ガーデンエクステリア」と「ランドスケープ」に区分されています。「ガーデンエクステリア」では、住宅周りの外構に加え、庭園のテイストを取り入れた緑豊かな空間づくりに注力し、樹木や天然石を多用した個性的なエクステリアを提供しています。一方、「ランドスケープ」では、公園や公共施設、商業施設、リゾート施設などの大規模な緑地空間の設計・施工を手掛けています。売上高は2025年9月期において62億7135万7千円を達成し、前期比20.6%増と堅調な成長を示しています。これは、ガーデンエクステリア事業が15.8%増、ランドスケープ事業が26.8%増と、両事業ともに好調であったことによるものです。
直近決算ハイライト
2025年9月期決算において、岐阜造園グループは売上高62億7135万7千円(前期比20.6%増)、営業利益5億3828万2千円(同20.4%増)、経常利益5億4910万8千円(同20.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億8452万7千円(同12.9%増)を達成しました。売上総利益率は28.7%(前期29.0%)と微減しましたが、経常利益率は8.8%(前期8.8%)を維持しています。売上高の増加は、ガーデンエクステリア事業が33億5733万3千円(前期比15.8%増)、ランドスケープ事業が29億1402万3千円(前期比26.8%増)といずれも大幅に伸長したことが寄与しました。特にランドスケープ事業では、富士高級旅館の造園工事や大阪・関西万博関連工事、複合商業施設の植栽工事などが売上増に貢献しました。販売費及び一般管理費は前年度比で増加したものの、売上高の伸びがそれを上回り、利益面でも堅調な結果となりました。
強みと競争優位性
同社の最大の強みは、創業以来98年にわたり培われてきた「職人型現場力」にあります。これは、工事監督やデザイナーであっても現場で自ら作業できる能力、重機操作技能、植物に関する知識を兼ね備えた人材を指します。この「職人型現場力」は、顧客の要望を具現化する提案力と、それを高品質で安全かつ効率的に実現する技術力に繋がっています。また、創業者が伝統的な造園技術を深掘りし、時代に合わせて革新的な庭園を創造してきた歴史は、常に新しい技術を追求する「技術の探索」と「技術の深化」というイノベーション創出のDNAとして受け継がれており、これが現在の市場における優位性の源泉となっています。さらに、近年はSDGsへの貢献として、本来伐採されるような樹木を付加価値の高い素材に仕立てる取り組みや、地元産の石材を活用するなど、サステナビリティを意識した経営を推進しており、これも差別化要因となっています。積水ハウス株式会社との資本・業務提携も、大型案件への参画機会を広げる強みとなっています。
リスク要因
同社の事業は、経済情勢、特に官公庁や法人、個人の投資・消費動向に影響を受けやすいというリスクがあります。また、売上高の約16.7%を積水ハウス株式会社、11.8%を積水ハウス建設中部株式会社、8.8%を大和ハウス工業株式会社といった特定の取引先への依存度が高いことも、これらの受注が減少した場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、造園工事に使用する材料価格や外注コストの変動も、収益性を圧迫する要因となり得ます。屋外作業が多いため、天候や自然災害、労働災害のリスクも無視できません。人材の確保・育成も重要な課題であり、計画通りに進まなかった場合、事業展開に支障をきたす可能性があります。建設業法などの法的規制を遵守していますが、万が一、法令違反や許認可の取消し事由が発生した場合には、事業継続に重大な影響を与えるリスクも内包しています。
投資テーマとの関連
岐阜造園グループは、直接的にAI、半導体、EVといった最先端技術分野には関与していませんが、その事業活動は「持続可能性(サステナビリティ)」や「環境保全」といった長期的な投資テーマと深く関連しています。同社が推進する、本来価値の低い樹木や石材を匠の技術で付加価値の高い素材に再生する取り組みは、循環型経済やCO2削減に貢献するものであり、ESG投資の観点から評価される可能性があります。また、都市開発や国土強靭化におけるランドスケープ需要の拡大は、インフラ投資や都市再生といったテーマとの接点も持ちます。さらに、大手ハウスメーカーとの連携強化や、PFI事業への参画意欲は、官民連携やインフラ整備といったテーマへの関与を示唆しています。創業100周年に向け「環境創造企業」への進化を目指す経営方針は、社会課題解決と企業価値向上の両立を図る姿勢を示しており、長期的な視点での投資妙味があると考えられます。