事業概要
同社は、日本を拠点とする世界有数の総合エネルギー企業であり、石油・天然ガスの上流(探鉱・開発・生産)事業を中核としています。豪州のイクシスLNGプロジェクトをはじめ、アブダビ、東南アジア、カザフスタンなど世界各地で権益を保有し、原油・天然ガスを生産・販売しています。国内では、南長岡ガス田からの天然ガス生産や、輸入LNGの気化・供給も手掛けています。近年は、エネルギー転換への対応として、再生可能エネルギー、水素・アンモニア、CCS(二酸化炭素回収・貯留)などの事業開発にも注力し、持続可能なエネルギー供給体制の構築を目指しています。2025年12月期における売上高は2兆113億円で、そのうち原油売上収益が1兆5,302億円、天然ガス売上収益が4,480億円を占めており、石油・天然ガス事業が依然として収益の大部分を担っています。
直近決算ハイライト
2025年12月期の連結業績は、売上収益が前期比11.2%減の2兆113億円となりました。これは、国際原油価格の平均が前期比12.9%下落したこと、および円高方向に為替レートが推移したこと(前期比1.4%円高)が主な要因です。特に、海外原油の平均販売価格は1バレルあたり70.69米ドルとなり、前期から10.51米ドル下落しました。天然ガス売上収益も前期比14.7%減少しました。営業利益は前期比10.7%減の1兆1,354億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は前期比7.8%減の3,938億円と、減収の影響を受けて減益となりました。一方で、販売数量は原油が前期比4.1%増加しましたが、天然ガスは同5.7%減少しました。国内石油・天然ガス事業の利益は増加しましたが、海外石油・天然ガス事業(イクシスプロジェクト以外)の利益は減少しました。
強みと競争優位性
同社の強みは、世界各地に分散した多様な権益ポートフォリオと、長年にわたり培ってきた石油・天然ガス開発における高度な探鉱・開発・生産技術、そしてオペレーターとしての豊富な経験にあります。特に、豪州イクシスLNGプロジェクトのような大規模プロジェクトを主導・推進できる能力は、他社にはない競争優位性です。また、中東やアジアを中心としたエネルギー需要の増加基調を捉え、将来的な天然ガス・LNGの重要性が高まる中で、安定供給能力とサプライチェーンの構築力も強みとなります。さらに、エネルギー転換期においては、既存の化石燃料事業で得た資金とノウハウを活かし、再生可能エネルギー、水素、CCSといった次世代エネルギー分野への多角化を進めることで、持続的な成長を目指せる点も競争優位性として挙げられます。
リスク要因
同社の事業は、国際原油・天然ガス価格の変動に大きく影響を受けます。2025年12月期も、価格下落が業績に影響を与えました。また、地政学リスク、産油国政府との契約更新や条件変更、操業地域での自然災害や事故、サイバー攻撃なども潜在的なリスクです。石油・天然ガス開発事業は、探鉱・開発に巨額の資金と長い年月を要し、必ずしも成功するとは限らないというinherentなリスクを抱えています。さらに、環境規制の強化や「ネットゼロ」への移行加速は、既存事業の埋蔵量評価や将来の事業展開に影響を与える可能性があります。国内天然ガス事業においては、輸入LNGの調達リスクも存在します。これらのリスクは、同社の財政状態や業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
投資テーマとの関連
同社は、エネルギー供給の安定化という投資テーマに合致する企業です。特に、地政学的リスクの高まりから「エネルギー安全保障」の重要性が再認識されている現在、自主開発比率の維持・向上を目指す同社の事業は注目に値します。また、中長期的には、アジアを中心とした天然ガス・LNG需要の堅調な見通しから、同社の天然ガス事業は成長テーマとの関連性が高いと言えます。さらに、ネットゼロ社会実現に向けた「エネルギー転換」というテーマにおいては、同社が推進する再生可能エネルギー、水素、CCS、アンモニアといった次世代エネルギー事業への取り組みが、将来的な成長ドライバーとなる可能性を秘めています。AI需要等による電力消費の増加予測も、エネルギー供給における同社の役割を再定義する可能性があります。