事業概要
同社グループは、生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業を主軸に、冠婚葬祭コンサルタント、就労継続支援、農業、レストラン事業などを展開する企業グループです。生花祭壇事業では、葬儀関連会社に対し、故人の好まれた花や人柄を偲ばせるデザインを取り入れた創作祭壇や、規格化された低価格の祭壇などを制作・設営まで含めて販売しています。生花卸売事業では、国内外の生産者や卸売市場から生花を仕入れ、葬儀関連会社や生花小売店などに販売しており、特に葬儀関連分野を販売先の中心としています。ブライダル装花事業では、結婚式場に対して高砂花やブーケなどの婚礼用生花商品を制作・設営まで含めて販売しており、完全予約制の特性を活かしたきめ細やかな運営を行っています。これらの事業間でのシナジー効果を追求し、在庫リスクの回避や仕入れにおける価格メリットの創出に努めています。
直近決算ハイライト
当連結会計年度の売上高は76億2百万円(前期比8.9%増)と堅調に増加しましたが、営業利益は5百万円(前期は8千4百万円の利益)と大幅な減少、経常利益は4百万円(前期比95.3%減)となりました。これは、生花祭壇事業において原材料費や人件費の上昇により営業利益が34.4%減となったこと、ブライダル装花事業も件数減少と原価・人件費高騰の影響で営業損失が拡大したことが主な要因です。一方で、生花卸売事業は取扱数量拡大や販売体制強化により売上高が14.1%増、営業利益は77.9%増と大きく改善しました。その他事業では、システム開発事業の特需剥落や農業部門の減収があったものの、レストラン事業の加わったことで売上高は20.7%増となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社株式譲渡による特別利益を計上したことで50.6%増の4千2百万円となりました。ROЕは7.4%で、目標の12.3%を下回りました。
強みと競争優位性
同社グループの強みは、生花祭壇事業における「創作祭壇の提案力と技術力」にあります。故人の好みを反映したデザインや、故人の人柄を偲ばせる祭壇を提案できる高い技術力は、他社との差別化要因となっています。また、全国展開による地域性を加味したサービス提供や、技術者育成のための独自の研修体制・認定制度、低価格祭壇に対応する集中生産方式の確立も優位性として挙げられます。生花卸売事業においては、全国各地の卸売市場や生産者とのネットワーク、複数の供給経路確保による有利な仕入れ、そして専門の仕入れ担当者による価格・需要動向の把握といった情報収集・分析能力が強みです。ブライダル装花事業では、完全予約制の特性を活かしたきめ細やかな仕入れ・運搬調整による在庫ロス・ロットロスの極小化、そして生花知識・技術に加え、マナーや販売能力も兼ね備えた人材育成が競争優位性を支えています。
リスク要因
事業リスクとしては、まず葬儀施行価格の低下傾向が挙げられます。少子高齢化による葬儀件数の増加が見込める一方で、葬儀の簡素化が進み、葬儀施行価格が全体的に低下する傾向にあります。同社では創作祭壇の提案等で価格低下を抑制していますが、全体的な価格が著しく低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。また、異常気象や台風などの自然災害による生花の生産・収穫の減少は、仕入価格の高騰を招き、生花祭壇事業の原価上昇を通じて利益を圧迫するリスクがあります。さらに、ブライダル装花事業においては、婚姻件数の長期的な減少傾向や、「ナシ婚」の広がり、結婚式にかける費用の減少が単価下落につながる可能性があります。人材育成、特に生花祭壇事業における熟練技術者の養成に時間を要することも、事業展開の制約となる可能性があります。
投資テーマとの関連
同社グループの事業は、直接的にAIや半導体、EVといった先端技術テーマとの関連性は薄いものの、「人生の終焉」と「人生の始まり」という、生活に根差した不可欠なイベントに関わるサービスを提供しています。葬儀関連事業は、高齢化社会の進展という人口動態の変化から安定した需要が見込まれる側面があります。また、ブライダル装花事業は、人生の節目を彩るサービスであり、消費者の体験価値重視の傾向との関連性も考えられます。昨今の感染症流行リスクへの言及は、パンデミックのような社会全体に影響を与えるイベントへの対応力という観点からも注目されます。さらに、中期経営計画で掲げているDX推進による業務効率化や、サステナビリティ経営、環境配慮型商品への取り組みは、現代の投資テーマとも一部重なる部分があり、企業としての持続可能性を高める上で注目されます。