事業概要
株式会社高見澤は、建設関連、電設資材、カーライフ関連、そしてその他の多岐にわたる事業を展開する企業グループです。建設関連事業では、生コンクリートや砂利、砂の製造販売、セメント等の建設資材販売、土木建築工事請負、建築工事、貨物自動車運送を手掛けています。特に中国においては、合弁会社を通じて生コンクリートの製造販売事業を展開しています。電設資材事業では、電設資材、産業機器、空調システム等の販売を、昭和電機産業株式会社、信州電機産業株式会社、岐阜電材株式会社といった子会社を通じて行っています。カーライフ関連事業は、石油製品の販売、自動車の販売・整備・賃貸、損害保険代理業務を、主力事業である建設関連事業と並行して手掛けており、グループ全体のシナジーを活かした事業展開を進めています。その他事業は、不動産売買・管理、廃棄物処理、青果物・肥料販売、食品加工、ゴルフ場経営、農業機械製造販売、ミネラルウォーター製造販売、ケーブルテレビ局経営、チーズ・菓子製造販売、発電・電力供給、漬物・土産品販売など、非常に広範な領域に及びます。この多角的な事業ポートフォリオにより、各市場の変動リスクを分散し、安定的な収益基盤の構築を目指しています。
直近決算ハイライト
2025年6月期における連結経営成績は、売上高が735億67百万円と前期比3.1%増となりました。しかしながら、営業利益は14億57百万円(前期比19.2%減)、経常利益は16億70百万円(前期比21.0%減)と減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も6億70百万円(前期比11.7%減)となりました。セグメント別に見ると、建設関連事業は売上高90億7百万円(前期比4.2%増)と増収でしたが、営業利益は3億16百万円(前期比24.0%減)と減益。電設資材事業は売上高383億20百万円(前期比1.9%増)、営業利益10億8百万円(前期比1.7%減)。カーライフ関連事業は売上高179億74百万円(前期比4.8%増)、営業利益1億45百万円(前期比4.2%減)。その他事業は売上高82億64百万円(前期比3.9%増)でしたが、営業利益2億35百万円(前期比49.1%減)と大幅に減少しました。減益の主な要因としては、原材料費、人件費、輸送費、販売経費等のコスト上昇が挙げられ、これらの増加分を価格転嫁しきれなかったこと、また、中国の持分法適用会社への出資金評価損や国内事業における減損損失の計上も純利益を押し下げました。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは37億48百万円と大幅に増加し、現金及び現金同等物は38億56百万円となりました。
強みと競争優位性
同社の強みは、長年にわたり培ってきた建設・インフラ関連事業における確固たる事業基盤と、多岐にわたる事業ポートフォリオによるリスク分散能力にあります。特に、地域に根差した建設関連事業においては、長野県内を中心に長年の実績と顧客基盤を有しており、公共工事のみならず民間工事へのシフトも進めることで、事業の安定化を図っています。電設資材事業においては、省エネルギー・環境負荷低減といった時代のニーズに対応した製品供給能力が、安定した受注に繋がっています。カーライフ関連事業では、自動車販売・整備に加え、法人向け石油製品販売を強化するなど、既存顧客へのクロスセルや新規顧客開拓に注力しています。さらに、「その他事業」として展開する不動産、農業関連、食品加工、ITインフラ(ケーブルテレビ)など、幅広い事業分野は、単一事業への依存度を低減させ、景気変動や特定市場の低迷に対するレジリエンスを高めています。グループ各社の連携強化やDX活用による経営力強化、キャッシュ・フロー重視の経営を推進しており、持続的な成長に向けた事業基盤の再構築を進めている点も、将来的な競争優位性を築く上で重要です。
リスク要因
同社は複数の事業を展開しており、それぞれの事業環境に起因するリスクが存在します。建設関連事業及び電設資材事業においては、売上高に占める公共工事の割合が高いため、公共工事関連予算の大幅な削減は業績に直接的な影響を与えかねません。また、原材料価格や人件費、輸送費の上昇は、利益率を圧迫する要因となります。カーライフ関連事業における石油製品販売は、環境配慮型自動車の普及や人口減少による需要縮小、価格競争の激化が懸念されます。中国事業における生コンクリート製造販売は、現地の規制や経済情勢の変動リスクに晒されています。さらに、有利子負債残高が95億31百万円(借入依存度24.5%)あり、市場金利の上昇は支払利息の増加を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。大規模自然災害や感染症の拡大は、操業停止や事業活動の停滞を引き起こすリスクとなります。これらのリスクに対し、公共事業依存度低減、民間工事へのシフト、営業エリア・分野拡大、価格転嫁、コスト削減、事業再構築などを進めていますが、これらの施策が効果を発揮するまでの間は、リスク要因として注視が必要です。
投資テーマとの関連
同社は、直接的にAI、半導体、EVといった最先端技術分野に深く関与しているわけではありませんが、社会インフラの維持・発展に不可欠な建設関連事業や、インフラ整備に不可欠な電設資材事業を展開しており、これらの分野は広義のインフラ投資や設備投資という投資テーマと関連があります。特に、DX推進や脱炭素化といった社会的な潮流は、同社の電設資材事業において、省エネ・省力化設備投資案件への販売を後押しする要因となっています。また、EVシフトは、カーライフ関連事業において、自動車販売・整備部門の事業構造変化への対応が求められる一方、充電インフラ関連の需要創出といった新たな機会も生み出す可能性があります。地域経済の活性化やインフラ整備は、政府の政策とも連動しやすく、安定的な事業基盤を支える要因となり得ます。多角化された事業ポートフォリオは、個別のハイテクセクターのような急激な成長性は期待できないものの、着実な成長と安定性を求める投資家にとっては、分散投資の観点から魅力を見出すことができるかもしれません。