事業概要
東京海上グループは、保険業を中核事業とし、国内外で損害保険、生命保険、およびソリューション事業を展開する総合的な金融サービスグループです。そのビジネスモデルは、多様化・複雑化する顧客のニーズに応えるべく、リスクの引き受けと管理を通じて安心と安全を提供することにあります。国内損害保険事業では、東京海上日動火災保険を中心に、自動車保険や火災保険などの損害保険商品を提供し、顧客起点のサービス改善やリスクソリューションの提供に注力しています。国内生命保険事業では、東京海上日動あんしん生命保険が、顧客本位の生命保険商品やヘルスケアサービスを提供し、持続的な成長を目指しています。海外保険事業においては、グローバルなネットワークと高度な保険引受能力を活かし、保険料収入の拡大と収益性の向上を図っています。さらに、近年注力しているソリューション事業では、防災・減災、モビリティ、ヘルスケア、脱炭素化といった社会課題解決に資するサービスを保険と一体的に提供し、新たな収益の柱として育成しています。この多角的な事業展開により、グループ全体で企業価値の持続的な向上を目指しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期の連結決算では、売上高は88,723億円と前期比+5.1%の増加となりました。しかしながら、営業利益は6,168億円と前期比-13.9%の減益、経常利益は13,486億円と前期比-7.6%の減益、当期純利益は5,313億円と前期比-49.7%の大幅な減益となりました。これは、主に自然災害の反動や、一部事業における債券売却損の計上などが影響したと考えられます。セグメント別では、国内損害保険事業と海外保険事業は増収となったものの、国内生命保険事業においては、契約上のサービス・マージン(CSM)残高は増加したものの、保険収益が減少し、当期純利益は損失となりました。一方で、ソリューション・その他事業は増収となり、収益の柱としての成長が期待されます。株主還元としては、1株配当は218.00円と前期比+26.7%の増配となり、株主への利益還元を重視する姿勢が見られます。
強みと競争優位性
東京海上グループの強みは、長年にわたる保険事業で培われた強固な顧客基盤と、グローバルに展開する広範な事業ネットワークにあります。国内においては、東京海上日動火災保険や東京海上日動あんしん生命保険といったブランド力のある企業群が、多様な顧客ニーズに応える商品・サービスを提供しています。海外では、M&Aなども活用しながら事業基盤を拡大し、各地域の市場特性に合わせた事業展開を行っています。また、リスクベース経営(ERM)を基盤とした高度なリスク管理体制は、同業他社と比較しても先進的であり、経済・金融危機や巨大地震、気候変動といった複合的なリスクに対しても、ストレステストなどを通じて資本の十分性を確認し、財務の健全性を維持しています。さらに、AIやデータ活用によるアンダーライティングの高度化・自動化、ソリューション事業の拡大など、デジタルトランスフォーメーションへの積極的な取り組みは、将来の競争優位性を確保するための重要な要素となっています。
リスク要因
東京海上グループが直面するリスクは多岐にわたります。まず、自然災害の激甚化や気候変動による影響は、保険金支払いの増加や資産価値の変動を通じて、収益に大きな影響を与える可能性があります。また、サイバーリスクやAIの不適切な利用による情報漏えい、システム障害なども、事業継続への重大な影響やレピュテーションリスクに繋がる可能性があります。経済・金融危機や地政学リスクの高まりは、保有資産の価値下落や為替変動リスクといった形で業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、法規制の変更やコンプライアンス違反、ビジネスモデル変革の遅延といったリスクも内在しています。これらのリスクに対して、同社はERMサイクルを通じてリスクの特定・評価・対応策のPDCAを回し、危機管理体制や事業継続計画を整備することで、リスクの低減と事業継続性の確保に努めています。
投資テーマとの関連
東京海上グループは、現代の主要な投資テーマと深く関連しています。AIの急速な進歩は、同社のアンダーライティング(保険引受)や顧客対応の高度化、生産性向上に不可欠な要素として位置づけられており、AI・データガバナンスの強化にも取り組んでいます。気候変動リスクへの対応は、脱炭素社会への移行や自然資本・生物多様性の保全といったテーマと直結しており、関連する保険商品やリスクコンサルティングサービスの提供を進めています。また、ソリューション事業においては、防災・減災、ヘルスケア、モビリティ(EVシフトなど)、再生可能エネルギーへの移行といった、持続可能な社会の実現に貢献する分野での事業拡大を目指しており、これらのテーマへの投資妙味が高まっています。グローバルな事業展開と、Berkshire Hathawayグループとの戦略的提携は、国際的な経済動向や資本市場の変動といったテーマとも関連が深く、同社の将来的な成長戦略において重要な役割を果たすと考えられます。