このテーマとは

アパレルは、衣料品(メンズ・レディース・キッズ・スポーツ・カジュアル・ビジネス・インナー・アウトドア)の企画・製造・卸・小売・EC販売を担う産業の総称。本テーマには、SPA(製造小売)チェーン、ファッションブランド、ファストファッション、ラグジュアリーブランド、専門店、百貨店アパレル、ECモール、サブスクファッションサービス、リユース・リセールサービスまで広く該当する。

なぜ注目されているのか

国内アパレル市場は約9兆円規模(2023年)で長らく横ばいが続いていたが、2020年代に入り構造変化が加速している。

(1) ECシフト:2010年代後半から本格化したECシフトは、コロナ禍で一段と加速。アパレルEC化率は20%超まで上昇し、リアル店舗の役割が「在庫を持つ販売拠点」から「ブランド体験の場・接客拠点」へ変化した。

(2) SPA優位の継続:素材調達・企画・生産・販売を垂直統合するSPAモデル(ZARA・H&Mなどに代表される)は、在庫回転と粗利率で従来の「企画→卸→百貨店」モデルに対して構造的優位を持ち続けている。日本のSPA大手(ユニクロ等)は海外売上比率が国内を上回る規模まで成長し、グローバル比較で評価される段階に入った。

(3) サステナブル:素材のリサイクル・古着リユース・繊維to繊維リサイクル・サーキュラーエコノミーの取り組みが拡大。EUのCSRDやエコデザイン規則は日本のアパレル輸出企業にも影響し、サプライチェーンのトレーサビリティ対応コストが増加している。

(4) インバウンド:訪日客のアパレル消費は2024年に過去最高水準を更新。特に東京・大阪・京都の旗艦店、地方の人気ブランド店舗ではインバウンド売上比率が大きく上昇している。

(5) リユース・リセール:メルカリをはじめとするC2Cプラットフォーム、ブランド古着専門業態、レンタル・サブスクなど、新品アパレル市場と並ぶリユース市場が拡大。サステナブル消費志向と価格意識の両面から構造的成長が続く。

関連する事業領域

含まれる業種は、小売業(アパレル小売・SPA・ファッション専門店)、繊維製品(繊維メーカー・素材・縫製)、卸売業(アパレル商社・繊維商社)、サービス業(リユース・サブスク・リセール)、化学(合成繊維・染料・機能性素材)など。

「アパレル銘柄」と一括りにしても、(a) ファストファッション・SPA(量・効率重視)、(b) 中堅専門店(ブランド・店舗体験)、(c) ラグジュアリー(ブランド資産・希少性)、(d) スポーツ・アウトドア(機能性・サブカテゴリ)、(e) 百貨店アパレル(売上低迷の構造課題)、(f) リユース(成長領域)、で収益性・成長性が大きく異なる。

財務的にどう評価するか

アパレル企業の評価軸は、(a) 既存店売上前年比、(b) 在庫回転日数、(c) 粗利率(業界平均45〜55%、SPAは55%超)、(d) 営業利益率、を見る。在庫回転日数は特に重要で、季節商品中心のアパレルは在庫が長く残ると過剰値下げ・廃棄ロスで粗利が削られる構造を持つ。在庫回転90日以下が一つの目安。

EC比率の方向感も評価軸として重要。EC比率上昇局面では物流費・販促費(広告)負担が増えるが、店舗固定費を抑えつつ売上を伸ばせる構造になる。EC比率30%超を達成しており、店舗とECの相互送客が機能している企業は、収益構造の改善余地がある。

落とし穴は、(1) 季節商品の天候不順による売上低迷、(2) ファッションサイクルが短く流行外しで在庫過剰、(3) 円安局面で輸入素材コスト上昇による粗利圧迫、(4) 中国・東南アジア生産の現地通貨高・為替リスク、(5) 百貨店アパレルは構造的縮小、の5点。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 既存店売上前年比と客数・客単価、(b) 在庫回転日数の方向感、(c) 粗利率・営業利益率の中期推移、(d) EC比率と海外売上比率、を確認したい。

関連テーマのECインバウンドラグジュアリーサーキュラーエコノミーSaaS を併読すると、アパレル産業の販売チャネル・サステナブル動向が整理できる。