事業概要
当社グループは、ステンレス鋼線および金属繊維(ナスロン®)を主力製品とする素材メーカーです。長年培ってきた「Micro & Fine Technology」をスローガンに掲げ、極細線、高強度・高耐熱のばね用材、高機能メタルフィルター(ナスロン®)、超精密ガスフィルター(NASclean®)など、顧客の高度な要求に応える高機能・独自製品の開発・製造・販売を行っています。これらの製品は、自動車、エネルギー、IT・半導体、医療、化学製品といった先端技術分野の産業・業種に不可欠な素材として提供されています。ビジネスモデルとしては、顧客のニーズに合わせたオーダーメイド製品の開発・提供を通じて、高い付加価値を生み出すことを強みとしています。中長期経営戦略『NSG26』では、サステナビリティ成長分野への注力と企業価値向上を掲げ、再生可能エネルギー、医療、IoT/AI、自動車CASEといった分野に貢献する製品開発を推進しています。2026年3月期の売上高は466億円でした。
直近決算ハイライト
2026年3月期の連結売上高は466億円となり、前期比0.3%減となりました。これは、金属繊維部門が堅調に推移したものの、太陽光発電パネル製造プロセスで使用されるステンレス極細線の需要低迷が響いたためです。損益面では、営業利益が31億円(前期比32.8%減)、経常利益が32億円(前期比29.3%減)と、減収と利益率の低下が目立ちました。特に、主力であるステンレス鋼線部門の販売数量微増に対し、極細線の販売が前期から大きく減少したことが減益の主因です。また、親会社株主に帰属する当期純利益は21億円(前期比33.9%減)となりました。これは、中国の連結子会社解散に伴う特別損失の計上が影響しています。セグメント別では、日本国内のステンレス鋼線部門は売上高415億円(前期比0.2%減)、利益27億円(前期比33.4%減)となり、タイ事業は円安効果で売上高は微増(56億円、前期比1.8%増)でしたが、利益は減少しました。中国・韓国事業もナスロン®フィルターの需要低迷により減収減益でした。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたり培ってきた「Micro & Fine Technology」を核とした、高度な技術力と開発力にあります。特に、線径7μmというステンレス鋼線における極限の細さを実現する技術や、金属繊維をニット状・フェルト状に加工する独自の技術は、競合他社が容易に追随できない参入障壁となっています。これにより、顧客の多様かつ高度な要求に応える高機能・独自製品を創出し、ばね用材、極細線、金属繊維、超精密ガスフィルターといった分野で、市場におけるナンバーワンやオンリーワンの地位を築いています。これらの製品は、自動車、半導体、医療といった成長分野に不可欠な素材であり、顧客との強固な関係性を構築しています。また、中期経営計画『NSG26』では、これらの高機能・独自製品の開発深化と拡販を基本方針としており、持続的な競争優位性の維持・強化を図っています。
リスク要因
当社グループが認識している主要なリスク要因は多岐にわたります。まず、気候変動による激甚化する自然災害や、新たな感染症の発生・拡大によるサプライチェーンの寸断や工場稼働停止のリスクです。これらは生産活動や顧客への製品供給に影響を与える可能性があります。また、半導体、自動車、エネルギーなどの先端技術分野に依存する事業構造から、これらの産業の景気変動や需要の変動、さらには米国の通商政策や地政学リスク、チャイナリスクといった外部環境の変化が受注環境に影響を与えるリスクがあります。原材料費の高騰や、代替素材の開発による競争激化も懸念されます。さらに、重量物や回転設備を扱う製造業であるため、労働災害のリスク、そして高品質・高精度な製品が求められる分野で使用されるため、製品の欠陥に起因する重大事故や、検査データ不正・改ざんによる信頼失墜のリスクも抱えています。情報漏洩リスクについても、顧客からの信用力低下や財務的リスクにつながる可能性があります。
投資テーマとの関連
当社グループは、その製品群を通じて、複数の重要な投資テーマと深く関連しています。特に、サステナビリティ成長分野への注力は、カーボンニュートラルや環境負荷低減といったテーマに直結しています。例えば、太陽光発電パネルの発電効率向上に寄与する極細線や、水素社会の基盤技術となる水素回収技術(MCHからの水素回収プラントの実証実験など)への取り組みは、再生可能エネルギー分野への貢献を示しています。また、AIやIoTの進化を支える半導体製造プロセスに不可欠な超精密ガスフィルター(NASclean®)や、高齢化社会の課題解決に貢献する医療分野向け素材(カテーテルガイドワイヤーやインシュリン自己注射器用ばね素材)の開発は、デジタル化、AI、ヘルスケアといったテーマとの関連性が高いと言えます。自動車分野では、CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)に対応した新素材開発を進めており、EV化や自動運転技術の進展に貢献する可能性を秘めています。これらのテーマへの貢献は、中長期的な事業成長のドライバーとなると期待されます。