事業概要
当社グループは、LPガス事業を中核とする総合エネルギー事業、産業ガス・機械事業、マテリアル事業、および食品、畜産、金融、運送など多岐にわたるその他事業を展開する複合企業体です。総合エネルギー事業では、全国約300ヶ所の拠点を有し、LPガス輸入から小売りまで一貫した供給体制を持つ国内唯一の事業者として、民生用LPガス、カセットこんろ・ボンベ、富士の湧水、ガス関連機器などを提供しています。産業ガス・機械事業では、酸素、窒素、アルゴンといったエアセパレートガスや水素、ヘリウム、半導体材料ガスなどの産業ガスに加え、ガス製造・供給設備、FAシステム、半導体製造装置などを提供し、産業全般を支えています。マテリアル事業では、樹脂原料、ミネラルサンド、ステンレス、二次電池材料など、モノづくりに不可欠な原料・部材を取り扱っています。これらの事業を通じて、社会インフラの維持・発展に貢献し、新たな価値創造を目指しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期は、売上高が前期比2.9%増の9,085億円となったものの、営業利益は同17.1%減の383億円、経常利益は同10.2%減の552億円となりました。これは、LPガス市況の変動やヘリウム市況の軟化による減益影響が主因です。一方で、固定資産売却益の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同17.8%増の477億円と増加しました。セグメント別では、総合エネルギー事業はLPガス卸売部門での市況要因による減益が響き、産業ガス・機械事業もヘリウム市況の軟化で収益性が低下しました。マテリアル事業は、レアアース等の販売伸長や新規連結により増収となりましたが、ミネラルサンド事業の収益性低下などにより減益となりました。営業キャッシュ・フローは同12.8%増の591億円と堅調に推移しました。
強みと競争優位性
当社の最大の強みは、LPガス分野における国内唯一の一貫供給体制と、全国に広がる約300ヶ所の事業拠点網です。これにより、輸入から小売りまでを自社で完結させ、きめ細やかなサービスと安定供給を実現しています。また、産業ガス・機械事業では、長年培ってきた技術力と幅広い製品ラインアップを武器に、顧客ニーズに合わせた提案力で産業界を支えています。特に水素事業においては、液化水素の国内シェア100%、圧縮水素を含む国内シェア約70%を誇り、長年の経験とノウハウ、そして液化水素製造能力の増強や再生可能エネルギー由来水素の活用など、将来のエネルギー社会を見据えた取り組みを推進している点が競争優位性につながっています。さらに、マテリアル事業における資源確保や、海外事業の強化も、事業ポートフォリオの多様化と収益基盤の安定化に寄与しています。
リスク要因
当社グループは、LPガス事業を主力としているため、季節的な要因や天候の変動が利益構造に影響を与えるリスクがあります。また、LPガスの輸入価格変動や為替変動も業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、主力商品であるLPガスが化石燃料であることから、気候変動に係る規制強化や脱炭素化の潮流は、中長期的に事業戦略の見直しを迫る可能性があります。災害や感染症の流行による安定供給への影響、規制緩和や人口減少に伴う競争激化、取引先の信用リスク、保有有価証券の価格変動なども、経営成績に影響を与える潜在的なリスクとして認識されています。これらのリスクに対し、同業者間との連携、多様な調達ソースの確保、為替予約、リスク管理体制の強化など、様々な対策を講じていますが、予期せぬ事態への対応は常に課題となります。
投資テーマとの関連
当社の事業は、複数の重要な投資テーマと関連しています。特に、脱炭素社会の実現に向けた「水素戦略」は、当社の将来的な成長の核となり得ます。液化水素の国内シェアトップクラスという実績に加え、再生可能エネルギーからの水素製造、海外からのCO2フリー水素輸入、燃料電池を搭載した建設機械の実証実験など、多角的に水素エネルギー社会の実現に貢献しようとしています。また、重要鉱物資源のサプライチェーン多様化への取り組みは、地政学リスクの高まりを背景に注目されるテーマであり、豪州でのミネラルサンド事業や、フランスでのレアアース精錬工場建設などは、このテーマに合致しています。さらに、LPガス事業におけるグリーンLPガスの開発推進や、リサイクルPET事業の推進は、環境・サステナビリティへの意識の高まりという投資テーマとも関連が深いです。