事業概要
長谷工グループは、分譲マンション建設事業を中核とし、不動産開発、建設、管理運営といった多岐にわたる事業を展開する総合ディベロッパーです。特に首都圏、近畿圏、東海圏といった都市部での分譲マンション建設において強みを持っています。土地情報の収集力とプロジェクトマネジメント力を活かし、土地を持参して受注するビジネスモデルを主軸としていますが、近年は安定収益源の確保と収益構造の多様化を目指し、賃貸マンションや戸建住宅、不動産管理運営事業、さらには海外事業へと事業領域を拡大しています。2026年3月期においては、建設関連事業、不動産関連事業、管理運営事業の各セグメントで増収増益を達成し、グループ全体として堅調な業績を示しました。
直近決算ハイライト
2026年3月期の決算では、売上高は前期比8.1%増の12,731億円、営業利益は同16.6%増の987億円と、増収増益を達成しました。特に当期純利益は同59.2%増の548億円と大きく増加しており、これは完成工事総利益率の改善や不動産関連事業の取扱量増加などが寄与した結果と考えられます。営業利益率は7.8%、経常利益率は7.4%といずれも前期から改善しています。セグメント別では、建設関連事業が売上高9,009億円、営業利益685億円と最も大きく貢献し、不動産関連事業も売上高2,932億円、営業利益356億円と堅調に推移しました。管理運営事業も売上高1,654億円、営業利益82億円と増収増益を維持しています。海外事業については、売上高43億円に対し営業損失61億円と、依然として赤字となっています。
強みと競争優位性
長谷工グループの最大の強みは、首都圏、近畿圏、東海圏における強力なブランド力と、分譲マンション建設における豊富な実績とノウハウにあります。土地情報収集力とプロジェクトマネジメント力を活かしたビジネスモデルは、デベロッパーとの強固な関係性を構築し、継続的な受注に繋がっています。また、建設資材・労務費の集中購買によるコスト競争力の強化や、施工品質、工期遵守への取り組みは、顧客からの信頼を得る基盤となっています。さらに、不動産開発から建設、管理運営まで一貫して手掛ける総合力は、顧客ニーズへのきめ細やかな対応と、各事業間のシナジー創出を可能にしています。近年は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、サステナビリティへの取り組みを強化し、持続的な成長を目指す姿勢も、将来的な競争優位性を高める要素と言えるでしょう。
リスク要因
同社の事業は、不動産市場の動向に大きく影響されるリスクを抱えています。特に首都圏、近畿圏、東海圏といった特定地域への依存度が高いため、これらの地域におけるマンション供給量や販売状況、住宅関連政策、金利動向などによって業績が変動する可能性があります。また、中東情勢の緊迫化などに伴う建築資材の高騰や供給制限は、工事原価の上昇や引渡し遅延を招き、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。建設業界全体として、資材・労務費の高騰、建設技能労働者不足といった構造的な課題も存在します。さらに、連結子会社である株式会社長谷工リフォームが、大規模修繕工事の受注に関して独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けた事案は、コンプライアンス上のリスクとして注視が必要です。
投資テーマとの関連
長谷工グループは、中長期的な視点での成長戦略として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、サステナビリティへの取り組みを強化しています。特に、設計・施工情報のデジタル化とAI活用、グループデータ共有基盤の構築・活用といったDXへの投資は、「AI・DX」といった投資テーマとの関連性が考えられます。また、温室効果ガス排出削減計画の策定・実行、低炭素施工や脱炭素住宅の拡大に向けた取り組みは、「GX(グリーントランスフォーメーション)」や「ESG投資」といったテーマと深く結びついています。気候変動リスクへの対応や、災害に強いマンションづくりへの注力は、社会課題解決型ビジネスへの貢献という側面も持ち合わせており、これらのテーマに関心を持つ投資家にとって、注目すべき要素と言えるでしょう。