事業概要
JMCは、3Dプリンター、鋳造、CT(コンピュータ断層撮影)事業を核としたものづくり企業である。主要な事業内容は、工業製品の新製品開発における試作品、少量量産品、および量産用部品の製造である。3Dプリンター事業では、ハイエンド樹脂3Dプリンターを導入し、医療分野向けの心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」の拡販や、工業分野でのAM(Additive Manufacturing)サービス提供による量産品受注体制の確立を目指している。鋳造事業では、砂型鋳造を得意とし、試作・少量量産から、EV関連部品や産業用ロボット向け大型鋳造品、量産用鋳造部品の製造まで対応範囲を広げている。特に、大型鋳造品の試作・開発需要への対応と生産キャパシティの向上に注力している。CT事業では、産業用CTを活用した検査・測定サービスを提供し、物体の内部形状測定、非接触検査、スキャンサービスなどを行っている。次世代蓄電池分野や映像メディア、出版、学術研究分野など、幅広い分野での需要喚起と技術普及を目指している。これらの事業を融合させることで、従来の製造業の枠にとらわれない、付加価値の高い製品やサービスを提供する「最強のサプライヤー」を目指している。
直近決算ハイライト
2025年12月期通期決算では、売上高は3,223百万円(前期比4.9%増)と増加した。営業利益は103百万円(前期比17.6%増)となったものの、経常利益は101百万円(前期比17.7%減)と減益となった。当期純損失は1,263百万円(前期は当期純利益50百万円)を計上し、これは鋳造事業セグメントにおける1,319百万円の固定資産減損損失計上が主因である。セグメント別では、3Dプリンター事業が好調で、売上高764百万円(前期比21.3%増)、セグメント利益241百万円(前期比60.3%増)と大幅な増収増益を達成した。特に「HEARTROID」の販売促進活動が奏功し、国内外のデバイスメーカーや病院から受注を獲得したことが寄与した。鋳造事業は売上高2,083百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益87百万円(前期比104.2%増)と増収増益となったが、一部鋳造部品における想定外の製造コスト発生や技術獲得に時間を要したことが業績回復の遅れにつながった。CT事業は売上高374百万円(前期比23.9%減)、セグメント利益247百万円(前期比32.5%減)と減収減益となった。これは、国内メーカーへのCT装置販売が計画を下回ったことや、ボリュームの大きいスキャン案件が少なかったためである。
強みと競争優位性
JMCの強みは、3Dプリンター、鋳造、CTという異なる製造技術を組み合わせた独自のソリューション提供能力にある。これにより、顧客の多様なニーズに対し、試作から量産、さらには品質検査まで一貫して対応することが可能となる。特に、3Dプリンター事業における「HEARTROID」は、医療分野でのトレーニングツールとして高い需要が見込まれ、ニッチながらも将来的な成長が期待される製品である。また、鋳造事業における大型鋳造品の試作・開発能力や、EV開発競争の加速に伴う需要増への対応力は、競合他社との差別化要因となり得る。「100年に一度の変革期」とされる自動車業界においては、CASE対応やカーボンニュートラルに向けた部品開発において、同社の持つ多様な製造技術が貢献する可能性を秘めている。さらに、単なる部品製造に留まらず、CT事業による検査・測定サービスを通じて、製品の品質向上やリバースエンジニアリングといった高付加価値サービスを提供できる点も競争優位性と言える。これらの技術融合とサービス展開により、従来のものづくり企業とは一線を画す、「サービス業のサービスレベル」を持った企業として独自のポジションを築こうとしている。
リスク要因
JMCが直面するリスクは多岐にわたる。まず、事業環境に関するリスクとして、自動車メーカーなどの開発サイクルの変動や開発予算の圧縮、試作品レス手法の主流化、3Dプリンター市場の成長鈍化、特定分野(自動車・FA)への依存などが挙げられる。特に、自動車業界の構造変化は、鋳造事業に大きな影響を与える可能性がある。また、材料価格の変動や調達リスク、競合企業による試作品の内製化の動きも懸念材料である。運営体制に関するリスクとしては、代表取締役への依存、人材の確保・育成の難しさ、多額の設備投資に伴う収益圧迫リスク、機密保持や製品品質に関するリスクが挙げられる。直近決算で認識された継続企業の前提に関する重要事象としては、鋳造事業の収益悪化による固定資産の減損損失計上とそれに伴う当期純損失が挙げられる。これは財務体質に直接的な影響を与える可能性があり、今後の収益性改善が急務である。さらに、自然災害や事故災害、知的財産権に関するリスクも潜在的な脅威として存在する。
投資テーマとの関連
JMCは、その事業内容において複数の投資テーマとの関連性を持つ。まず、3Dプリンター事業は、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、AM(Additive Manufacturing)技術の進化というテーマと強く結びついている。特に、試作品製造の効率化や、少量多品種生産、複雑形状部品の製造といった、従来の製造手法では困難だった領域での貢献が期待される。また、医療分野向けの「HEARTROID」は、ヘルスケア・メディカルテックといったテーマにも関連する。鋳造事業においては、自動車業界のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応、特にEV(電気自動車)開発における軽量化部品の需要増との関連が深い。マグネシウム合金などの非鉄金属を用いた部品製造は、EVの航続距離延長に貢献する可能性があり、注目される。CT事業による検査・測定サービスは、高度な非破壊検査技術として、品質管理やリバースエンジニアリングといった分野で、先端技術への投資テーマと関連する。これらのテーマとの関連性は、同社の将来的な成長ポテンシャルを示すものと言える。