事業概要
当社グループは、シール製品と電子部品の製造・販売を主力事業として展開しています。シール事業では、オイルシール、Oリング、防振ゴム、ガスケットなどを、自動車、建設機械、農業機械といった一般産業機械向けに提供しています。電子部品事業では、フレキシブルサーキット(FPC)や精密部品を、主に車載バッテリーやスマートフォン、ハードディスクドライブ向けに供給しています。これらの製品は、社会の「安全」と「快適」を支える基盤となる「Essential Core Manufacturing ― 社会に不可欠な中心領域を担うモノづくり」という理念のもと、高品質かつ安定した大量生産体制を強みとしています。国内外に多数の生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開していることが特徴です。2026年3月期においては、売上高は7,384億円、営業利益は330億円でした。
直近決算ハイライト
2026年3月期決算は、売上高7,384億円(前期比3.7%減)、営業利益330億円(前期比11.5%減)となりました。売上高の減少は主に電子部品事業の低迷によるものですが、シール事業においては自動車向け販売の堅調さや一般産業機械向け需要の増加が貢献し、増収増益を達成しました。経常利益は498億円(前期比3.7%増)と増益に転じましたが、これは為替差益の増加が主な要因です。当期純利益は463億円(前期比52.8%増)と大幅な増加となりました。これは、ロール製品事業売却に伴う関係会社株式売却損を計上したものの、投資有価証券売却益の増加が寄与した結果です。純資産は4,443億円(前期比2.9%増)、総資産は9,516億円(前期比5.9%増)となり、自己資本比率は65.7%を維持しています。営業キャッシュフローは682億円(前期比25.6%減)と減少しましたが、現金及び預金は1,567億円(前期比15.1%増)と増加しました。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたり培ってきたシール製品と電子部品における高度な製造技術と、それらを支える安定した大量生産能力にあります。特に、自動車メーカーとの長年にわたる取引で築き上げた信頼関係と、高品質な製品供給能力は、競争優位性の源泉です。また、フロイデンベルグ社との長年の技術提携も、技術力の向上に寄与しています。近年、EV化の進展に対応するため、燃料電池自動車や電気自動車向けの製品開発にも注力しており、将来の市場変化への対応力も有しています。さらに、グローバルに広がる生産・販売ネットワークは、多様な顧客ニーズへの迅速な対応を可能にしています。2026年10月にはイーグル工業株式会社との経営統合を予定しており、これにより素材横断で顧客ニーズに対応する複合的なシーリング・ソリューションを提供できる企業として、さらなる競争力強化が期待されます。
リスク要因
当社グループを取り巻くリスクとしては、まず自動車産業の動向への依存が挙げられます。特に内燃機関向け製品への依存度が高い場合、EVシフトの加速が業績に影響を与える可能性があります。また、主要顧客である国内外の自動車メーカーや電子機器メーカーの業績変動、予期せぬ契約変更などもリスク要因となります。為替変動リスクも、海外売上高比率が約7割であることから無視できません。原材料価格の変動や、サプライチェーンの混乱も収益性を圧迫する可能性があります。さらに、急速な技術革新や市場の変化、例えばEVの普及ペースの見通し不確実性、新興国メーカーの台頭による価格競争の激化も懸念されます。法規制の強化、サイバー攻撃、自然災害、感染症のパンデミックなども、事業継続に影響を及ぼす潜在的なリスクとして挙げられます。
投資テーマとの関連
当社は、自動車産業における電動化シフトという大きな潮流の中で、車載バッテリー向けフレキシブルサーキット(FPC)の採用拡大に注力しており、EV関連テーマとの関連性が深まっています。EV市場の成長鈍化が当初の想定より緩やかであるとの認識を示しつつも、電動化へのシフトは継続すると見ており、今後のEV生産台数の回復・増加に伴う電子部品事業の成長が期待されます。また、シール事業においても、従来の自動車向けに加え、建設機械や農業機械といった一般産業機械向け、さらには非日系自動車メーカーやASEAN市場への拡販を進めることで、多角的な成長を目指しています。M&Aや新事業領域の開拓も視野に入れており、既存事業の枠を超えた新たな成長ドライバーの創出が、中長期的な投資テーマとの関連性を高める可能性があります。2026年10月のイーグル工業との経営統合は、シーリング分野における事業基盤を強化し、自動車産業の変革に対応していく上で重要な戦略となります。