事業概要
広島ガスグループは、広島県を主な事業基盤とする総合エネルギー企業グループです。主たる事業は、広島市、呉市、尾道市などを中心とした地域への都市ガスの製造・供給・販売であり、2026年3月期においては、ガス事業が連結売上高の約75.2%を占めています。都市ガスの主原料である天然ガスは海外からLNG船で輸入しており、安定調達のため調達先の多様化や自社LNG船の活用、他社LNG船の利用など、柔軟な調達体制を構築しています。また、都市ガスの未供給エリアにおいては、LPG事業を展開し、LPG器具の販売や施工も手掛けています。その他事業として、エンジニアリング関連事業、建設工事、高齢者サービス事業なども展開し、多角的な事業ポートフォリオを構築しています。2026年3月期における各事業の売上高は、ガス事業が688億77百万円、LPG事業が181億1百万円、その他事業が46億9百万円でした。
直近決算ハイライト
2026年3月期の業績は、売上高が前期比3.5%減の883億96百万円となりました。これは、ガス販売量の減少や販売単価の低下が主な要因です。しかしながら、効率的な業務運営と諸経費の削減に努めた結果、営業利益は前期比26.5%増の15億84百万円と大幅に増加しました。経常利益は、持分法による投資利益の増加もあり、同36.3%増の26億2百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同24.8%増の21億5百万円となり、3期ぶりの増益を達成しました。セグメント別では、ガス事業の売上高は4.3%減少したものの、セグメント利益は74.7%増加しました。LPG事業は、販売単価の低下により売上高が微減、利益は35.1%減少しました。その他事業は、建設事業の売上増により事業全体では増収となりましたが、利益は微減でした。
強みと競争優位性
広島ガスグループの強みは、地域に根差した長年の事業運営によって築き上げられた強固な顧客基盤と、エネルギー供給事業者としての信頼性です。広島県内における都市ガス供給エリアでの高い普及率と、10年連続で増加している顧客戸数がその証左と言えます。また、LNG調達における多様な調達方法や自社LNG船の保有、他社LNG船の活用など、安定供給と柔軟な調達体制を構築している点も競争優位性となります。さらに、ガス事業だけでなく、LPG事業や電力小売事業「このまち電気」の展開、再生可能エネルギー電源の開発など、総合エネルギーサービスプロバイダーとしての事業拡大を進めている点も、将来的な成長に向けた強みと言えます。脱炭素化への対応として、カーボンオフセット都市ガスやグリーン電力の販売、メタネーション技術の研究開発など、環境対応への積極的な取り組みも、社会的な要請に応える上で優位性をもたらします。
リスク要因
広島ガスグループが直面する主要なリスク要因として、まず、天然ガスやLPGといった主要原料の調達における支障や価格変動が挙げられます。海外からの輸入に依存しているため、地政学リスクや為替変動が業績に影響を与える可能性があります。また、近年の脱炭素化の流れは、化石燃料を主とする事業構造にとって構造的なリスクとなり得ます。気温や水温の変動、人口・世帯数の減少によるガス需要の変動も、事業の性質上避けられないリスクです。さらに、大規模な自然災害や事故、サイバー攻撃による基幹システムの障害、コンプライアンス違反などは、事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。エネルギー間競争の激化や、ガス事業法などの法規制・制度の変更も、業績に影響を与える要因となります。
投資テーマとの関連
広島ガスグループは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しており、特に「脱炭素化」への対応は、現代の主要な投資テーマであるESG(環境・社会・ガバナンス)投資との関連性が高いと言えます。同社は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進しており、カーボンオフセット都市ガスやグリーン電力の販売、再生可能エネルギー電源の開発、メタネーション技術の研究など、具体的な施策を進めています。これは、気候変動対策に積極的に取り組む企業への投資関心を高める要因となります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による業務効率化や、スマート保安の推進によるレジリエンス強化は、事業基盤の強化とリスク管理の高度化に寄与し、長期的な企業価値向上に繋がる可能性があります。これらの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献という観点からも、投資家の注目を集める要素となるでしょう。