このテーマとは

医療機器は、人体の診断・治療・予防・検査に使われる機器・装置・器具・体外診断薬の総称。CT・MRI・超音波装置といった画像診断装置、内視鏡、人工関節・心臓ペースメーカー・カテーテルといった治療用デバイス、血液検査・遺伝子検査の体外診断、手術用ロボット、補聴器・歯科機器など、極めて広い範囲を含む。

本テーマには、医療機器メーカー本体に加え、医療機器商社・医療材料メーカー(特殊樹脂・センサー・モーター)、医療機器のリース・保守サービス事業者、医療機器ソフトウェア(医療用画像解析AI・医療機器組み込みソフト)まで広く含まれる。

なぜ注目されているのか

医療機器市場は、高齢化・先進医療需要・新興国の医療インフラ投資を背景に、世界全体で年4〜6%の安定成長が見込まれている。日本市場規模は約4.4兆円(2023年)で、世界第3位の規模。日本企業は内視鏡・血液検査・歯科機器・心臓ペースメーカー周辺など、特定領域でグローバルシェア上位を握る企業が複数存在する。

技術トレンドとしては、(1) 低侵襲手術(カテーテル治療・内視鏡手術・手術ロボット)の拡大、(2) 画像診断AI(CT・MRIの読影支援、内視鏡所見支援)の薬事承認進展、(3) ウェアラブル・スマートデバイスによる遠隔モニタリング、(4) 精密医療(遺伝子検査・コンパニオン診断)、(5) 再生医療・細胞治療向け機器、が市場拡大を牽引している。

規制環境は厳しく、医療機器の薬事承認には数年単位の臨床試験と承認手続きが必要で、新規参入障壁が高い。一方、いったん主要病院に納入されれば消耗品・保守契約・更新需要で長期売上が確保され、サブスクリプションに近い収益性を持つ。これが医療機器メーカーの利益率の高さを支えている。

ただし、医療費抑制の圧力は世界共通で、保険償還価格の引き下げが定期的に行われる。新興国向けは価格競争が激しく、現地メーカーとの競合も激化している。

関連する事業領域

含まれる業種は、精密機器(医療機器メーカー本体・歯科機器・補聴器)、電気機器(画像診断装置・センサー)、化学(医療用樹脂・体外診断薬)、卸売業(医療機器商社)、サービス業(医療機器保守・リース)、情報・通信業(医療機器組み込みソフト・医療AI)など。

医療機器セクターは、(a) 大型機器(CT・MRI・手術ロボット)、(b) 治療用デバイス(カテーテル・人工関節)、(c) 内視鏡・診断装置、(d) 体外診断薬、(e) ウェアラブル・モニタリング機器、(f) 歯科機器、でそれぞれ収益性と成長性が異なる。日本企業の強い領域とそうでない領域を理解しておきたい。

財務的にどう評価するか

医療機器メーカーの評価軸は、(a) 売上成長率(国内+海外)、(b) 営業利益率(業界平均15〜20%、ニッチトップは25%超もある)、(c) R&D比率(売上の8〜12%が標準)、(d) 海外売上比率、を見る。海外売上比率が高くドル建て・ユーロ建て売上の多い企業は、為替の影響も無視できない。

参入障壁の指標として、(1) 主力製品の世界シェア、(2) 薬事承認パイプラインの数と承認段階、(3) 病院との消耗品・保守契約の継続性、を中期計画・統合報告書で確認したい。世界シェア上位(特定カテゴリでトップ3以内)の製品を持つ企業は、価格決定力と粗利率を維持しやすい。

落とし穴は、(1) 保険償還価格引き下げによる利益率圧迫、(2) M&Aで膨らんだのれん償却、(3) 薬事承認の遅延・治験失敗、(4) 円安局面では海外売上比率の高さが利益を押し上げるが、円高反転で逆風になる為替リスク。M&Aののれん残高と償却スケジュールは要確認。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 海外売上比率と地域別構成、(b) 主力製品のグローバルシェア、(c) 営業利益率の中期推移、(d) R&D比率とパイプライン、を確認したい。

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