事業概要
同社グループは、「サーキュラーエコノミー(CE)をリードする」という戦略コンセプトのもと、モノづくりを支えるCEと地域を支えるCEの二つの柱で事業を展開しています。具体的には、鉄スクラップや非鉄金属といった金属資源の循環事業、グローバルトレーディング事業、そしてリチウムイオン電池リサイクル事業を中核としています。金属資源循環事業では、鉄スクラップの回収・加工・販売を通じて、鉄鋼メーカー等へ素材を供給しています。グローバルトレーディング事業では、金属原料の国際的な取引を行っています。リチウムイオン電池リサイクル事業では、EV普及に伴う需要増を見込み、使用済み電池からレアメタル等を回収・精製し、新たな電池材料として供給するクローズドループの構築を目指しています。さらに、ポリマー(ゴム、プラスチック)の再生素材製造にも挑戦しており、再生素材メーカーへの変革を図っています。これらの事業を通じて、社会課題の解決と経済的価値の両立を目指し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
直近決算ハイライト
2025年6月期(第16期)通期連結業績は、売上高が490億90百万円(前期比6.0%減)、経常利益が12億16百万円(前期比31.8%減)となりました。鉄スクラップ価格の平均が前期の50,916円/トンから42,732円/トンへと下落したことや、人件費・設備費等の固定費増加が利益を圧迫したことが主な要因です。資源循環事業の売上高は210億15百万円(前期比1.1%減)、セグメント利益は11億59百万円(前期比28.5%減)と、鉄スクラップ価格の急落とその後の価格安定、およびプラスチック燃料化やゴムチップ販売等の堅調な事業により売上高は維持されたものの、利益率は前期を下回りました。グローバルトレーディング事業は、鉄スクラップ価格下落と為替変動の影響を受け、売上高315億90百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益2億69百万円(前期比34.5%減)と減収減益となりました。一方、リチウムイオン電池リサイクル事業は、茨城工場の稼働開始と加工受託量の増加により、売上高16億93百万円(前期比7.8%増)、セグメント利益2億23百万円(前期比2.4%増)と増収増益を達成しました。
強みと競争優位性
同社グループの強みは、サーキュラーエコノミー(CE)実現に向けた高度な技術力とノウハウ、そして全国に広がる流通ネットワークにあります。特に、使用済製品や廃材の解体段階からリサイクル素材の製造・供給に至るまで、高度なトレーサビリティを確保し、素材の品質・安全性・出所を明確に管理する体制は、静脈サプライチェーンにおけるセキュリティを担保する上で重要な競争優位性となっています。また、全国に張り巡らせた原料回収拠点網と多様な原料調達手法により、安定的かつ柔軟な原料供給体制を構築しており、経営の独立性を維持しながら、業界内での競争優位性を確立しています。さらに、リチウムイオン電池リサイクル事業においては、EV普及というメガトレンドを捉え、国内シェア拡大を目指した積極的な設備投資を進めることで、将来的な成長ポテンシャルを有しています。焼却灰からの金銀滓回収事業やポリマーCE事業といった新規・重要戦略事業への挑戦も、将来の成長ドライバーとなり得ます。
リスク要因
事業運営におけるリスクとしては、まず原材料・製・商品の相場変動リスクが挙げられます。鉄スクラップや非鉄金属の価格は資源価格や金属製品価格に連動し、急激な変動は利益の減少や損失につながる可能性があります。また、原材料・商品の調達環境リスクとして、工場の生産動向や最終製品の消費動向により原材料の発生が減少する可能性があり、これは売買数量や生産設備の稼働率に影響を及ぼします。特定の販売先への集中リスクも存在し、上位3社の鉄鋼メーカーへの売上高比率は24.55%に達しており、取引条件の悪化や取引関係の解消は業績に影響を与える可能性があります。さらに、物流コストの上昇リスク、為替変動リスク、M&Aシナジーが十分に発揮されないリスク、自然災害・火災・事故等のリスク、環境汚染リスク、情報セキュリティリスクなど、多岐にわたるリスク要因が存在します。特に、立地する静岡県富士宮市において富士山噴火や南海トラフ巨大地震、気候変動に伴う異常気象が発生した場合、事業継続に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
投資テーマとの関連
同社グループは、脱炭素社会の実現に向けた「サーキュラーエコノミー(CE)」の推進を中核戦略としており、これは環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)といったESG投資の観点から非常に高い関連性を持っています。特に、リチウムイオン電池リサイクル事業は、電気自動車(EV)の普及に不可欠なバッテリーリサイクルを担い、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進するテーマと直結しています。また、使用済製品や廃材から貴金属やレアメタルを回収する事業は、「都市鉱山」の活用や資源循環型社会の構築といったテーマに貢献します。ポリマーCE事業による廃プラスチック・ゴムからの新素材供給は、プラスチック問題の解決や資源循環に寄与します。これらの事業は、持続可能な社会の実現に向けた世界的な潮流に沿っており、長期的な成長が見込まれる投資テーマとの親和性が高いと言えます。