事業概要
同社グループは、フィルタ製品の開発・製造・販売を主軸とし、建機用フィルタ事業、エアフィルタ事業、そして新たに立ち上げた機能素材事業を展開しています。創業以来、フィルタの専門メーカーとして培ってきた「ろ材」の内製化技術を強みとしています。ガラス繊維や不織布といった主要材料から、金属・樹脂加工部品までをグループ内で一貫して手掛け、顧客の多様なニーズに対応した製品設計・開発能力を有しています。特に主力である建機用フィルタ事業では、建設機械の搭載回路に関する深い知識と長年のノウハウが、競合他社との差別化要因となっています。近年では、耐久性や濾過効果、環境負荷低減に優れる次世代素材「ナノファイバー」の量産化技術を確立し、これを建機用フィルタおよびエアフィルタ事業の新たな主力製品として供給を開始しました。さらに、このナノファイバー技術を応用し、機能テキスタイル、ライフサイエンス、産業資材といった分野への展開も進めており、企業価値向上を目指しています。2026年3月期においては、建機用フィルタ事業が売上高の約9割を占める構造となっています。
直近決算ハイライト
2026年3月期は、売上高が前期比4.2%増の209億円と、創業以来過去最高の売上高を更新しました。これは、建機用フィルタ事業が新車需要の増加や交換需要の堅調さから6.7%増収となったことが牽引しました。しかし、営業利益は前期比1.4%減の26億円、経常利益は同5.0%減の25億円と減益となりました。建機用フィルタ事業では増益となったものの、エアフィルタ事業において基幹システム入れ替えに伴う生産・出荷遅延やシステム運用費の増加により大幅な減収減益となり、連結業績に影響を与えました。また、為替差損の増加も経常利益の減少要因となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比0.3%減の17億円でした。利益率の面では、営業利益率が12.4%、経常利益率が12.1%、当期純利益率が8.2%といずれも前期から低下しました。一方で、株主還元としては、1株配当が前期比50.0%増の18円となっています。
強みと競争優位性
同社グループの最大の強みは、フィルタの心臓部である「ろ材」を自社で開発・製造する内製化能力にあります。これにより、顧客の要求仕様に合わせたカスタマイズや、独自のろ材構造の開発が可能となり、競合他社との差別化を図っています。特に建機用フィルタ事業においては、長年にわたり培ってきた油圧回路への深い理解とノウハウが、製品設計における優位性を確立しています。また、次世代素材として注目されるナノファイバーの量産化技術の確立は、将来的な競争優位性の源泉となり得ます。この技術は、従来のガラス繊維に比べて耐久性や濾過性能が高く、環境負荷低減にも貢献するため、建機用フィルタやエアフィルタ事業における高付加価値製品の展開を加速させると期待されます。さらに、このナノファイバー技術を応用し、アパレル、ライフサイエンス、産業資材といった新規事業分野への展開も進めており、事業ポートフォリオの多様化によるリスク分散と新たな成長機会の創出を図っています。
リスク要因
同社グループの事業リスクとして最も大きいのは、売上高の約9割を占める建機用フィルタ事業への市場依存度です。建設機械メーカーの業績悪化や、油圧動力に代わる新たな技術革新が発生した場合、売上高が大きく影響を受ける可能性があります。また、主力市場である油圧ショベル市場では、新興国での模倣品や廉価品の台頭が懸念されており、価格競争による収益性の低下リスクがあります。グローバルに事業を展開しているため、為替レートの変動も業績に影響を及ぼす要因となります。原材料価格の高騰や、部品・資材の品薄・調達難、物流コストの上昇も、利益率を圧迫する可能性があります。さらに、建設機械メーカーの生産計画に左右されるOEM生産の構造上、発注数量の急な変更や納期の調整による在庫過多のリスクも存在します。製品の品質問題や、自然災害、サイバー攻撃による情報漏洩なども、企業評判や財務状況に悪影響を与える潜在的リスクとして挙げられます。
投資テーマとの関連
同社グループは、その事業活動において複数の投資テーマと関連性を持っています。まず、ナノファイバー技術の開発・量産化は、素材開発の革新として「次世代素材」「マテリアルサイエンス」といったテーマに関連します。この素材は、従来のフィルタ性能を向上させ、環境負荷を低減する可能性を秘めており、サステナビリティへの貢献という観点からも注目されます。また、同社が推進するESG経営や、カーボンニュートラル達成に向けたGHG削減目標の設定は、「ESG投資」「環境・社会・ガバナンス」といったテーマとの親和性が高いと言えます。さらに、機能素材事業として展開するライフサイエンス分野や、産業資材分野は、将来的な成長ドライバーとして、これらの分野への投資テーマとの関連が期待されます。建機用フィルタ事業は、インフラ投資や景気動向に連動する側面もあり、景気循環テーマとの関連も考えられます。