事業概要
当社グループは、電子光学機器、分析機器、計測検査機器、産業機器、そして直近でシスメックス株式会社へ譲渡された医用機器事業を展開する総合計測機器メーカーです。主力事業である理科学・計測機器分野では、電子顕微鏡、質量分析計などを、産業機器分野では半導体製造に不可欠な電子ビーム描画装置などを、グローバルに製造・販売しています。これらの製品は、科学技術の進歩や産業の高度化に不可欠な要素であり、最先端の研究開発や製造プロセスを支えています。当社のビジネスモデルは、高度な技術力に裏打ちされた製品群を、世界各国の顧客に提供することにあります。売上構成比においては、理科学・計測機器事業が連結売上高の約6割を占め、地域別では海外売上高が約7割と、グローバル市場への依存度が高い事業構造となっています。2026年3月期においては、売上高1,794億円、営業利益260億円を計上しており、前期比では減収減益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は221億円と18.2%増加しました。
直近決算ハイライト
2026年3月期決算では、売上高は1,794億円となり、前期比8.8%の減少となりました。営業利益も260億円と、同26.7%の減少となりました。この減収減益の要因としては、産業機器事業におけるマルチビームマスク描画装置の需要回復の遅れなどが挙げられます。一方で、経常利益は286億円で前期比16.9%の減少にとどまり、親会社株主に帰属する当期純利益は221億円と、前期比18.2%増加しました。これは、投資有価証券評価損の減少が寄与した形です。セグメント別では、理科学・計測機器事業は6.8%減収、医用機器事業は3.2%減収となったものの、それぞれ堅調な引き合いや受注・売上を維持しました。産業機器事業は14.8%の減収となりましたが、スポットビーム型電子ビーム描画装置はAIデータセンター向け光トランシーバ関連で需要増加が期待されており、今後の成長が見込まれます。ROEは15.7%と、目標値である15%以上を達成しています。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたり培ってきた高度な電子光学技術と、それを基盤とした製品群にあります。特に電子顕微鏡や質量分析計といった理科学・計測機器分野においては、世界最高水準の技術力を有しており、グローバル市場で高い競争優位性を確立しています。これらの製品は、研究開発の現場や先端製造プロセスに不可欠であり、参入障壁は高いと言えます。また、産業機器分野における電子ビーム描画装置も、半導体製造プロセスにおける微細化・高精度化を支える重要な技術であり、ニッチながらも高い市場シェアを誇ります。長期ビジョン「ビジョン2035」では、「最先端テクノロジーに挑戦するお客様とイノベーションを共創する、グローバルリーダー」を目指しており、半導体やライフサイエンス分野を重点領域と設定し、独自のニッチテクノロジーを活かしたソリューション提供を強化する戦略を掲げています。これにより、技術優位性をさらに発展させ、顧客との共創を通じて新たな価値を創造していくことで、競争優位性を維持・拡大していく考えです。
リスク要因
当社グループの事業運営には、複数のリスク要因が存在します。まず、連結売上高の約7割を占める海外事業においては、米国、欧州、中国、東南アジアといった主要市場の経済変動、為替相場の変動、さらには各国の法律・規制の変更や輸出管理規制、経済摩擦、地政学的リスクなどの影響を受けやすい構造にあります。また、金利変動リスクも、有利子負債の一部に金利変動の影響を受けるものがあるため、支払金利や調達コストの増加につながる可能性があります。事業セグメント別では、理科学・計測機器事業は官公庁の研究開発予算や民間企業の設備投資動向、産業機器事業は市況の急激な変動が業績に影響を与える可能性があります。さらに、研究開発活動においては、新製品開発の成否が企業成長に大きく依存するリスクや、多額の投資に対する需要確保のリスクも存在します。これらのリスクに対し、為替予約やデリバティブ取引によるヘッジ、リスク管理体制の強化、BCP策定などの対策を講じていますが、予期せぬ事態の発生には引き続き留意が必要です。
投資テーマとの関連
当社グループは、その事業内容から、いくつかの重要な投資テーマとの関連性が考えられます。特に、産業機器事業で展開する電子ビーム描画装置は、半導体製造プロセスにおいて微細加工を実現する上で不可欠な技術であり、AI、IoT、次世代通信といった先端技術の基盤を支える部材・装置として、半導体関連の投資テーマと深く関わっています。AIデータセンター向け光トランシーバに用いられるDFBレーザーの高性能化・多様化を背景としたスポットビーム型電子ビーム描画装置への需要増加期待は、この関連性の高さを裏付けています。また、理科学・計測機器事業で提供する電子顕微鏡や質量分析計などは、ライフサイエンス分野における創薬研究やバイオテクノロジーの進展に貢献しており、ヘルスケアやバイオ関連の投資テーマとも結びついています。中期経営計画においても、半導体・ライフサイエンス分野を重点領域と位置づけていることから、これらの成長分野における技術革新を支援する企業として、今後も投資家の注目を集める可能性があります。