事業概要
同社グループは、「はかる」技術を核として、計測ソリューションプロバイダーとして世界水準の技術を多様な産業分野に提供する事業を展開しています。主要な事業セグメントは、「先進モビリティ」「脱炭素/エネルギー」「情報通信/情報セキュリティ」「EMC/大型アンテナ」「海洋/防衛」「ソフトウェア開発支援」「その他」の7つに分類されます。それぞれのセグメントでは、研究開発から製品開発、そしてサポート、保守、修理、校正まで、一連のサービスを提供しています。例えば、先進モビリティ分野では自動運転技術やEV開発に貢献する計測・解析機器を提供し、脱炭素/エネルギー分野では再生可能エネルギーや二次電池、燃料電池などの計測・評価システムを提供しています。情報通信/情報セキュリティ分野では、ICTの品質確保やサイバーセキュリティ対策のための先進的なソリューションを展開。EMC/大型アンテナ分野では、電子機器のEMC適合試験や5G関連の計測システムを提供しています。海洋/防衛分野では、防衛装備品や洋上風力発電、水産業向けの調査・計測機器を提供。ソフトウェア開発支援では、DX推進のための開発ライフサイクル支援やセキュリティソリューションを提供しています。その他分野では、ライフサイエンス領域の画像診断支援システムや、量子コンピューターなども手掛けています。このように、多岐にわたる先端技術分野において、「はかる」という基盤技術を応用し、社会課題の解決に貢献するソリューションを提供しているのが同社グループのビジネスモデルの特徴です。
直近決算ハイライト
2025年9月期において、同社グループは売上高326億円、前期比-7.1%と減収となりました。これは、国内外の大型案件のうち、顧客都合による売上計上の期ずれが発生し、特に先進モビリティ事業が大きく減少したこと、また、期初の受注残高が少なかった脱炭素/エネルギー事業も減収となったことが主な要因です。利益面では、売上総利益率は前期より上昇したものの、減収の影響が大きく、加えて研究開発費や人件費の増加などから、営業利益は19億円、前期比-43.1%と大幅な減益となりました。経常利益は20億円、前期比-41.2%でした。当期純利益は12億円、前期比-52.6%となりました。これは、事業会社ごとの利益構成の変化によって連結実効税率が法定実効税率より高くなったことが影響しています。一方で、受注高は海洋/防衛事業の伸長や他の事業も増加したことにより、過去最高となる401億円、前期比+19.4%を記録しました。受注残高も案件の長期化などにより、246億円、前期比+44.6%と大きく増加しており、来期以降の業績回復への期待が持てます。現金及び預金は37億円、前期比+18.3%と増加しています。
強みと競争優位性
同社グループの強みは、「はかる」技術における長年の実績と、それらを基盤とした幅広い産業分野への応用力にあります。最先端の計測技術を駆使し、先進モビリティ、脱炭素/エネルギー、情報通信/情報セキュリティ、防衛といった成長分野に特化したソリューションを提供することで、高い付加価値を実現しています。特に、自動運転やEV、空飛ぶクルマ、カーボンニュートラルの実現に貢献する技術分野への注力は、将来的な市場拡大を見据えた戦略的な優位性と言えます。また、国内外の研究機関や大学、企業とのオープンイノベーション推進や、M&Aによる積極的な事業拡大戦略も、新たな技術や市場へのアクセスを迅速に行うための競争優位性となっています。自社開発製品による独自ソリューションの提供や、継続的に安定収益が見込めるリカーリングビジネスの推進は、収益基盤の安定化と競争差別化に貢献しています。さらに、グローバルな事業展開と、多様なバックグラウンドを持つ人材の確保・育成に注力する姿勢は、変化の激しい市場環境への対応力を高めています。
リスク要因
同社グループが直面するリスクとしては、まず自然災害や世界的パンデミック、地政学リスクといった外部環境の変動が挙げられます。これらは事業継続やサプライチェーンに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、海外からの製品輸入や海外子会社の連結財務諸表換算に伴う為替レートの変動リスクも、損益に影響を与える要因となります。プロジェクトの大型化・長期化に伴う検収遅延リスクは、売上計上のズレや業績への影響が懸念されます。さらに、海外メーカーとの総代理店契約解消リスクや、M&Aによる事業拡大に伴うグループガバナンスの課題、研究開発活動における開発断念や製品販売低迷によるコスト回収リスクも存在します。人材の確保・定着が困難になるリスクや、グローバル展開におけるサプライチェーンでの人権侵害リスクも、持続的な事業成長にとって重要な管理課題となります。これらのリスクに対して、同社はBCPの改善、為替予約、スケジュール管理の徹底、パートナーシップ強化、ガバナンス体制の強化、人材戦略の推進、人権方針の策定といった対策を講じていますが、リスクの完全な排除は困難です。
投資テーマとの関連
同社グループは、現在注目されている複数の主要な投資テーマと深い関連性を持っています。まず、先進モビリティ分野は、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)の普及や自動運転技術の高度化といったテーマに直結しており、同社はこれらの開発に必要な評価システムや計測ソリューションを提供しています。次に、脱炭素/エネルギー分野は、カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーや、二次電池、燃料電池などの計測・評価システムを提供することで、このテーマに貢献しています。情報通信/情報セキュリティ分野では、5GやIoT、サイバーセキュリティといったテーマに関連する試験システムや解析・監視システムを提供しています。また、防衛分野においては、国内外の防衛装備品関連の計測機器提供を通じて、地政学リスクの高まりといったテーマとの関連が見られます。これらのテーマは、持続的な社会の実現や技術革新の進展に伴い、今後も市場の成長が期待される分野であり、同社グループの事業成長のドライバーとなる可能性を秘めています。