事業概要
セコム株式会社は、セキュリティサービスを中核としながら、防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産賃貸といった多岐にわたる事業を展開する「社会システム産業」の構築を目指す企業です。社業を通じて社会に貢献することを企業理念とし、18の国と地域でグローバルに事業を展開しています。特に、セキュリティサービス事業においては、法人向けには「AZ」、家庭向けには「セコム・ホームセキュリティNEO」といったオンライン・セキュリティシステムを提供し、常駐警備や現金輸送、防犯・防災システム販売なども手掛けています。近年はAIなどの先端技術を活用し、警備ロボット「cocobo」の公道走行試験や、家庭用AEDの販売など、新たなサービス開発にも注力しています。2026年3月期においては、売上高1兆2,568億円、営業利益1,603億円を達成し、いずれも過去最高を更新しました。
直近決算ハイライト
2026年3月期において、セコムは売上高1兆2,568億円(前期比4.7%増)、営業利益1,603億円(前期比11.1%増)と、堅調な業績を記録しました。これは、全事業セグメントが前期比で増収を達成したこと、特にセキュリティサービス事業におけるセントラライズドシステム販売の好調、価格改定、常駐警備サービスの増収などが寄与しました。防災事業、メディカルサービス事業、保険事業、地理空間情報サービス事業、その他事業もそれぞれ増収となり、BPO・ICT事業も微増となりました。利益面では、売上原価率の改善や販売費及び一般管理費の効率化が進み、営業利益は大幅な増加となりました。経常利益は1,821億円(前期比4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,126億円(前期比4.2%増)となり、こちらも過去最高を達成しています。ただし、米国などにおける投資事業組合運用益の減少が経常利益の伸びをやや抑制しました。
強みと競争優位性
セコムの最大の強みは、長年にわたり培ってきた「セコムブランド」という高い信頼性と、セキュリティサービス市場における圧倒的なシェアおよびブランド認知度です。創業以来、業界のパイオニアとして、社会の変化に先んじたサービス進化を続け、強固な顧客基盤を築き上げてきました。また、セキュリティサービス事業への新規参入は、設備投資額の大きさやノウハウの蓄積の難しさから参入障壁が高く、同社の優位性を維持しています。さらに、AIやIoTなどの先端技術を積極的に取り込み、警備ロボットやAEDといった新しいサービス開発を推進することで、技術革新への対応力も高めています。国内外18の国と地域への進出は、グローバルな事業展開能力と、現地ニーズに合わせたサービス提供能力を示しており、多様化する顧客ニーズに応える総合的な「社会システム産業」としての強みを発揮しています。
リスク要因
セコムを取り巻くリスクとしては、まず国内経済の低迷や金利変動による事業環境への影響が挙げられます。また、国際的な事業展開に伴う各国の政治・経済情勢、法規制の変更、テロや紛争のリスクも存在します。近年では、気候変動による自然災害の頻発化・激甚化、パンデミックの発生といった事象が、事業継続に影響を与える可能性があります。さらに、AI等の技術革新のスピードに対応するための継続的な開発投資、労働市場の逼迫による人材確保の困難さ、競合他社との競争激化などもリスク要因となります。情報漏洩リスクや、オペレーショナルリスク、サイバー攻撃のリスクも、情報管理やシステム運用の重要性を考慮すると看過できません。
投資テーマとの関連
セコムは、AI、IoT、DXといった先端技術の活用を経営戦略の中心に据えています。AI技術を活用した警備ロボット「cocobo」の開発や、AIによる予兆検知を基盤とした「先回りの安心」を提供するプロアクティブなサービス開発は、AI関連テーマとの関連性が高いと言えます。また、データセンター事業やBPO・ICT事業は、クラウドサービスや情報セキュリティといったテーマとも関連が深いです。海外事業の強化、特にデータセンター運営企業への投資は、グローバルなインフラ投資やデジタル変革への貢献という側面も持ち合わせています。社会課題解決への貢献という観点では、高齢化社会に対応したメディカルサービスや、自然災害対策としての防災事業なども、SDGsといった広範な投資テーマと結びついています。