事業概要
株式会社学究社は、首都圏を中心に「ena」ブランドで知られる進学塾の運営を主軸とする教育事業を展開しています。中学、高校、大学受験を対象とした集団指導塾に加え、個別指導塾、オンライン授業、オンライン家庭教師など、多様な学習ニーズに応えるサービスを提供しています。具体的には、「ena最高水準」や「極」といった最難関受験に特化したブランドや、「ena個別」、「enaオンラインclass」などの個別・オンライン指導、「家庭教師Camp」といった家庭教師サービスも展開し、幅広い層の学習者をサポートしています。さらに、看護医療系、歯学、薬学、美術系の受験指導も手掛けており、教育サービスの多様化を図っています。教育事業以外では、保有する不動産の賃貸事業を行う不動産事業、インターネットを通じた受験・教育情報配信サービス事業などをその他事業として展開しています。2026年3月期においては、売上高131億円、営業利益29億円を記録しており、事業ポートフォリオの多角化を進めながら、教育サービスの本質を追求する企業です。
直近決算ハイライト
2026年3月期の決算では、売上高は131億円となり、前期比1.7%の減少となりました。これは、東京都における私立高校授業料の実質無償化拡充の影響を受け、同社の強みである都立高校受験を目指す生徒数が減少したことが主な要因です。一方で、合宿事業の拡充が収益に大きく寄与しました。費用面では、広告宣伝費の増加や合宿運営費用が増加したものの、校舎の統廃合などによる経営効率化も進められ、営業費用全体では前期比で減少しました。その結果、営業利益は29億円で前期比10.8%の増加、経常利益は30億円で前期比13.0%の増加と、過去最高益を更新しました。売上高営業利益率は22.2%と、中期経営計画の目標である20.0%を上回る水準を達成しています。しかしながら、校舎等の統廃合に伴う減損損失の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は18億円となり、前期比0.8%の減少となりました。セグメント別では、教育事業の売上高は124億円(前期比1.7%減)、不動産事業は1.6億円(前期比0.6%減)でしたが、その他事業は6.8億円(前期比19.5%減)と大幅な減少となりました。
強みと競争優位性
学究社の強みは、長年の実績に裏打ちされた「ena」ブランドの認知度と、都立中高一貫校および都立難関高校受験における圧倒的な合格実績にあります。特に、「都立のena」としての地位を確立し、そのノウハウを活かして千葉県や埼玉県といった近隣地域への校舎展開を本格化させている点は、地域密着型の教育サービス提供における優位性と言えます。また、時代の変化に対応し、オンライン授業や個別指導、さらには帰国子女向け教育など、多様化する教育ニーズに応えるためのブランド展開を積極的に行っていることも競争優位性につながっています。「ダブル学習システム」や「ネット授業参観」といった、ICTを活用した学力向上体制の強化や教育活動の透明性確保への取り組みは、保護者からの信頼獲得に寄与しています。さらに、2026年3月期における自己資本比率65.0%という健全な財務基盤も、将来的な成長投資やリスクへの対応力を高める要因となっています。
リスク要因
同社が直面する主要なリスクとして、まず学齢人口の減少が挙げられます。これは、将来的な生徒数の減少に直接つながる構造的な課題であり、同社は多様な教育ニーズに応えるブランド展開で対応を図っています。次に、学習塾業界特有の参入障壁の低さもリスク要因です。講師の引き抜きやノウハウの模倣といったリスクに対し、授業の質と合格実績の追求、そして地域社会からの信頼獲得によって事業基盤の強化を目指していますが、競合他社との差別化が常に求められます。また、事業拠点が東京都、特に関東圏に集中していることは、自然災害や地域経済の変動による影響を受けやすいというリスクを内包しています。さらに、教育制度の変更や、個人情報の管理、災害・感染症の発生なども、事業継続に影響を与える可能性のあるリスクとして認識されています。これらのリスクに対して、同社はリスク管理体制の整備や、柔軟な事業戦略によって対応を進めています。
投資テーマとの関連
学究社は、教育分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)という投資テーマとの関連性が考えられます。「ダブル学習システム」や「ネット授業参観」といった、ICTを活用した学習支援サービスは、教育の質の向上と利便性の提供に貢献しており、今後の教育市場におけるデジタル化の進展とともに、その重要性は増していくと考えられます。また、同社が展開するオンライン授業やオンライン家庭教師サービスは、地理的な制約を超えた学習機会の提供という点で、教育へのアクセス改善に寄与するテーマとも合致しています。さらに、近年注目されている「学び直し」や、多様な学習ニーズに応える個別最適化された教育といったトレンドにも、個別指導やオンラインサービスを通じて対応しており、これらのテーマの広がりとともに、同社の事業機会も拡大する可能性があります。AI技術の教育分野への応用も進む中で、同社がどのようにこれらの新技術を取り入れていくかも、将来的な投資テーマとの関連性を左右する要素となるでしょう。