事業概要
当社は、「三代目茂蔵」ブランドを中心に、豆腐・豆乳などの大豆加工食品及び関連商品の企画・開発・販売を手掛ける「豆腐版SPA(製造小売)」事業を展開しています。具体的には、直営店での小売事業と、加盟店への卸売・販売指導、業務用卸、通販事業を「その他事業」として展開しています。2025年9月30日現在、直営店は30店舗、加盟店は389店舗を展開しており、地域に根差した店舗網を構築しています。事業方針として、全従業員の行動規範を「5つの感謝・正直・挑戦・大切・ルール遵守」とし、「全ての人の生きていくための糧となり、全ての人の健康と幸せに貢献する」ことを使命として、「よりいいものをより安く」提供することを目指しています。これは、設立以来の事業方針であり、消費者視点に立った商品開発、人材育成、店舗づくりに注力する姿勢に表れています。
直近決算ハイライト
2025年9月期決算では、売上高は前事業年度比5.5%増の29億4,022万円となりました。営業利益は、前期の934万9千円の損失から5,908万9千円の黒字に転換し、経常利益も前期の605万6千円の損失から6,429万1千円の黒字へと大幅に改善しました。当期純利益も、前期の2,837万5千円の損失から3,804万円の黒字となりました。セグメント別では、小売事業の売上高が同5.6%増の26億1,126万8千円、セグメント利益(営業利益)が同51.3%増の1億9,621万円と大きく伸長しました。これは、顧客単価が価格見直しにより108.6%となったことなどが寄与しています。その他事業も売上高は同5.0%増の3億2,895万2千円、セグメント利益(営業利益)は同11.0%増の1,798万5千円と堅調でした。
強みと競争優位性
当社の強みは、製造小売(豆腐版SPA)モデルにより、企画・開発から製造、販売まで一貫して手掛けることで、品質管理とコスト管理を徹底できる点にあります。「よりいいものをより安く」という経営理念を具現化し、消費者にとって価値のある商品を提供できることが、顧客からの支持につながっています。特に「茂蔵オリジナル商品」の開発に注力し、「健康」をキーワードにした商品ラインナップは、健康志向の高まりとともに差別化要因となっています。また、直営店と加盟店を組み合わせた「三代目茂蔵」ブランドの店舗網は、地域に密着した販売チャネルとして機能しています。前期の顧客単価が108.6%と向上したことは、価格見直しが奏功し、顧客が商品の価値を認識している証左と言えます。さらに、リモート会議での情報共有を徹底するなど、店舗生産性向上のための取り組みも進めており、組織としての効率化も図っています。
リスク要因
当社の事業運営には、いくつかのリスク要因が存在します。まず、原材料価格の高騰リスクです。大豆などの農産物や石油製品由来の包材価格が、異常気象や原油価格の変動によって上昇した場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。次に、消費者の嗜好の変化です。特に食料品分野では変化のスピードが速く、需要動向に合わない商品開発を行った場合、業績に悪影響が出かねません。また、特定の取引先への依存度もリスクとなり得ます。年間仕入総額の36.4%を株式会社ハギワラから仕入れており、同社との関係に問題が生じた場合、店舗運営や業績に支障が出る可能性があります。さらに、災害等の発生も懸念されます。関東地方を中心に事業展開しているため、地震や洪水などの自然災害、あるいは取引先の工場・倉庫・輸送手段への被災は、商品供給や業績に影響を与える可能性があります。加えて、パートタイム従業員の確保や人件費の上昇といった労務関連のリスク、情報管理体制の不備による情報リスクも潜在的な懸念事項です。
投資テーマとの関連
当社は、食品業界における製造小売モデルを展開しており、直接的なAI、半導体、EV、防衛といった先端技術や国家戦略と関連するテーマとの結びつきは薄いと言えます。しかし、「健康」をキーワードとしたオリジナル商品の開発や、適正価格での提供を目指す姿勢は、消費者の健康志向や、価格に対する意識の高まりといった、より広範な社会的なトレンドに合致しています。また、地方創生や、地産地消といったテーマとの関連性も考えられます。食品の安定供給は社会インフラとしての側面も持ち合わせており、地域経済への貢献も期待されます。将来的に、AIを活用した需要予測や在庫管理の最適化、IoT技術を用いた生産・物流プロセスの効率化などが進めば、間接的にテクノロジーとの接点が増える可能性はありますが、現時点では、生活必需品を提供する企業としての、社会の安定的な運営を支える役割が主となります。