事業概要
当社グループは、半導体製造に不可欠な精密加工装置および精密加工ツールの製造・販売、ならびにこれらに付随する保守・サービスを主力事業として展開しています。「切る」「削る」「磨く」という高度なKiru・Kezuru・Migaku技術を核に、装置、消耗品、アプリケーション技術、アフターサービスを組み合わせたトータルソリューションを提供しています。顧客は主にハイテク業界に属する半導体や電子部品の設計・製造企業です。特に、顧客の加工課題に対する無償の加工検証「テストカット」を通じて、顧客満足度を高めるとともに、技術トレンドの早期把握や高付加価値製品の開発に繋げています。また、製造拠点を単なる生産コストの源泉ではなく、技術革新や競争力の起点と捉える「Fab Important戦略」を推進し、開発と製造の一体化による高速PDCAサイクル、顧客への高度な適応性、長期視点での技術力向上を目指しています。2026年3月期の売上高は4,369億円となり、前期比11.1%増と順調に成長しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期において、当社グループは増収増益を達成し、過去最高を更新しました。売上高は前期比11.1%増の4,369億円となり、営業利益も同10.9%増の1,850億円となりました。営業利益率は42.3%と高い水準を維持しており、これは高付加価値製品の収益寄与や売上拡大によるものです。経常利益は1,849億円(前期比9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,355億円(前期比9.4%増)と、いずれも堅調な伸びを示しました。特に注目すべきは、中長期的な経営目標である「4年累計経常利益率」が41.4%となり、目標である20%以上を10期連続で達成したことです。これは、半導体市場の変動が大きい中でも、安定した収益性を確保できていることを示唆しています。総資産は7,434億円(前期比13.7%増)と増加しましたが、自己資本比率は78.9%と盤石な財務基盤を維持しています。
強みと競争優位性
当社の最大の強みは、創業以来培ってきた「Kiru・Kezuru・Migaku」に関する高度な技術力と、それを基盤としたトータルソリューション提供能力にあります。特に、顧客の加工課題を解決するための「テストカット」は、単なる製品販売に留まらない付加価値を生み出し、顧客との強固な信頼関係を構築しています。このテストカットを通じて得られる膨大なノウハウと、それらを使いこなせる熟練エンジニアの存在は、60年以上の歳月を要するため、新規参入企業にとって極めて高い参入障壁となっています。また、主要部品の内製化や「Fab Important戦略」による開発と製造の一体化は、模倣困難性を高め、品質とコスト競争力、そして市場変化への迅速な対応力を実現しています。これらの要素が組み合わさることで、ハイテク業界において「まずディスコに相談してみよう」と信頼される地位を確立しており、これが当社の持続的な競争優位性の源泉となっています。
リスク要因
当社グループの事業は、世界的な半導体市場の動向に大きく影響を受けます。半導体市場は「シリコンサイクル」と呼ばれる需給バランスによる価格変動や、顧客である半導体メーカーの設備投資動向に左右されるため、市場のダウンサイクルや予期せぬ変動は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、精密ダイヤモンド砥石に替わる新たな加工技術の出現や、災害・感染症の流行による生産拠点への影響、原材料・部材の調達難、為替変動、厳格化する環境規制、そしてサイバー攻撃といった情報セキュリティリスクも潜在的な脅威として存在します。これらのリスクに対し、組織体制の強化やBCMSの運用、政策的な在庫確保、為替感応度分析、情報セキュリティ委員会の設置など、多岐にわたる対策を講じていますが、これらのリスクが顕在化する可能性は否定できません。
投資テーマとの関連
当社グループの事業は、AI、IoT、自動運転技術といった最先端技術の進展に不可欠な半導体製造プロセスを支えていることから、これらの投資テーマと深い関連があります。特に、生成AIの需要拡大を背景としたデータセンター向け投資の活況や、高性能半導体向け需要の高水準な推移は、当社の精密加工装置および精密加工ツールの需要を直接的に押し上げています。脱炭素社会への移行に伴う半導体需要の拡大も、中長期的な成長ドライバーとして期待されます。高付加価値製品へのシフトや、最先端半導体製造に不可欠な高度な加工技術への需要は今後も高まると予想され、当社の技術力と「Kiru・Kezuru・Migaku技術」への探求は、これらの成長分野において重要な役割を果たしていくと考えられます。