事業概要
当企業は、機能紙・機能材メーカーとして、「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献する」という経営理念を掲げ、事業活動を展開しています。主力事業は自動車関連資材と水処理関連資材の製造・販売です。特に、水処理分野では、世界的な水資源制約や環境規制強化を背景に需要拡大が見込まれる逆浸透膜支持体用不織布の製造能力を強化し、グローバルシェア拡大を目指しています。自動車分野では、既存用途におけるコスト競争力強化や付加価値向上に取り組むとともに、電動化や高機能化といった市場変化への対応を進めています。中期経営計画では、「超品質の実現」を基本方針とし、分離膜支持体を中心とした利益拡大と成長領域の創出、収益基盤の確立に注力しています。これらの事業を通じて、顧客や社会のニーズに応え、企業価値の向上を目指しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期の業績は、売上高が前期比8.0%増の185億円となりました。これは、水処理関連資材、特に分離膜支持体用不織布の市場の堅調な伸びと拡販活動が貢献した結果です。しかし、利益面では、新工場稼働に伴う減価償却費の増加、原材料価格や人件費の上昇、納期対応による輸送費増加などの影響を受け、営業利益は前期比86.4%減の1億円と大幅に減少しました。経常利益も前期比134.2%減のマイナス1億円と赤字に転落しました。一方で、新工場建設に伴う補助金を特別利益として計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2001.7%増の8億円と大幅な黒字化を達成しました。純資産は前期比20.5%増の45億円、総資産は前期比6.7%増の290億円と増加しました。現金及び預金は前期比114.5%増の16億円と大きく増加し、営業キャッシュ・フローも同1272.0%増の22億円と改善を見せています。
強みと競争優位性
当企業は、独自技術を活かした機能紙・機能材の製造において、長年培ってきた技術力と品質を強みとしています。特に、水処理関連資材の主力製品である分離膜支持体用不織布においては、新小松島工場の稼働による生産能力増強と品質・機能・供給力の強化を通じて、競争優位性を確立しようとしています。グローバルな水処理需要の拡大という追い風もあり、世界シェアの拡大を目指せる状況にあります。また、自動車関連資材においても、既存用途でのコスト競争力強化や付加価値向上、電動化や高機能化といった市場変化への対応を通じて、顧客基盤の維持・拡大を図っています。さらに、「超品質」を全社共通の考え方として掲げ、顧客の期待を超える価値提供を目指す姿勢は、ブランド価値向上に繋がる可能性があります。これらのコアバリューを活かし、持続的な成長を目指す戦略は、同業他社との差別化要因となり得ます。
リスク要因
当企業の業績は、世界経済の動向や地政学リスクに大きく影響を受ける事業環境にあります。中東情勢の緊迫化などによる原材料・エネルギー価格の変動は、調達・生産コストに直接的な影響を与えます。また、主力原材料の海外調達に依存しているため、サプライチェーンの寸断リスクも抱えています。自動車関連市場では、EV化の進展の遅延や市場環境の変化が、製品需要に影響を与える可能性があります。水処理関連資材市場においても、新規参入企業や競合他社との競争激化による市場シェア減少のリスクが存在します。国内生産拠点が徳島県に集中していることも、大規模地震などの自然災害発生時には事業継続上のリスクとなり得ます。さらに、優秀な人材の確保・育成が困難になる可能性や、サイバー攻撃による情報管理リスク、知的財産権侵害リスクなども事業運営上の課題として挙げられます。
投資テーマとの関連
当企業は、水処理関連資材、特に分離膜支持体用不織布の製造・販売を通じて、世界的な水資源問題や環境規制強化といったメガトレンドに関連しています。水不足の解消や水質浄化は、持続可能な社会の実現に不可欠であり、この分野への注力は、ESG投資の観点からも注目される可能性があります。また、自動車関連資材においては、EV化への対応を進めているものの、市場変化への注視が必要な状況です。リチウムイオンバッテリー(LIB)向け断熱材や吸音材などの用途展開は、EVシフトという投資テーマと一定の関連性を持ちますが、その度合いは今後の市場動向に左右されるでしょう。AIやDXの活用による競争力向上を目指す姿勢は、技術革新という投資テーマとも間接的に関連していますが、現時点では、水資源関連というテーマとの結びつきが最も強いと言えます。