事業概要
同社は「サイバーセキュリティ教育カンパニー」をコンセプトに、中堅企業を中心に官公庁なども顧客としたサイバーセキュリティに特化した事業を展開しています。具体的には、企業のサイバーセキュリティ課題の可視化やリスク分析、改善策提案を行うコンサルティングサービス、ハッカーと同様の技術を用いた疑似攻撃による脆弱性診断サービス、最新の脅威に対応するセキュリティ製品・サービス提供やインシデント発生時の緊急対応を行うソリューションサービス、そして組織全体のセキュリティリテラシー向上を図る標的型メール訓練やe-ラーニングなどのセキュリティ訓練サービスを提供しています。さらに、セキュリティエンジニアやITエンジニア向けのセキュリティ教育事業も展開し、不足しているセキュリティ人材の育成にも貢献しています。社会の情報技術への依存度が高まる中でサイバー攻撃が増加し、企業規模を問わずセキュリティ対策が急務となっている状況を捉え、特に中堅・中小企業が抱えるリソース不足や相談先の不在といった課題に対し、「教育」を軸とした多面的なサービスで対応しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期において、同社は売上高110億円(前期比25.2%増)、営業利益22億円(前期比38.6%増)、経常利益22億円(前期比42.2%増)、当期純利益15億円(前期比47.2%増)と、売上高・利益ともに過去最高を更新し、好調な業績を達成しました。売上高営業利益率は18.3%から20.3%へと改善しました。これは、中堅企業の旺盛なセキュリティニーズを捉え、全てのサービスが伸長したことによる大幅な増収効果が要因です。特に、人員増加に伴う販売費及び一般管理費の増加を上回る売上増が利益率改善に寄与しました。資産面では、売掛金・契約資産の増加や前払費用の増加などにより、総資産は100億円(前期比22.3%増)となりました。負債の増加を上回る純資産の増加(40億円、前期比39.7%増)により、財務基盤も強化されています。営業キャッシュフローも11億円(前期比11.4%増)と順調に推移し、企業としての成長性と収益性が両立している状況を示しています。
強みと競争優位性
同社の強みは、中堅・中小企業に特化したサイバーセキュリティサービスと、それを支える「教育」を軸としたビジネスモデルにあります。大手企業向けの高価格帯サービスを提供する競合が多い中で、同社は中堅企業に最適化された価格と内容でサービスを提供することで、独自のポジションを確立しています。また、サイバーセキュリティ人材の慢性的な不足という業界課題に対し、自社での人材育成に加え、パートナー企業との連携やSESモデルでの人材提供など、多角的なアプローチで解決に貢献しています。これにより、顧客企業は自社でのセキュリティ対策能力を高められ、結果として同社への継続的なサービス提供機会に繋がっています。さらに、AI技術の進展を見据え、AIを活用した既存サービスの高度化や新サービスの創出、AI×セキュリティ人材の育成といった取り組みは、将来的な成長ドライバーとなり得ます。地方金融機関や地元のSIerとの連携強化による全国的な商圏拡大戦略も、今後の競争優位性を高める要素と考えられます。
リスク要因
同社が認識している主要なリスクとして、まず経済環境の変化等による中堅企業におけるサイバーセキュリティ需要の低迷が挙げられます。また、専門知識を有する人材の不足は業界共通の課題であり、十分な人材を確保できない場合、サービス提供の遅延や生産性低下に繋がる可能性があります。技術革新への対応遅れもリスクとなり得ます。さらに、顧客の重要情報を扱う事業特性上、情報漏洩リスクは常に存在し、事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。仕入れ製品のバグや欠陥、自然災害やテロ活動、感染症の発生といった外部要因も、事業成績に影響を与える可能性があります。筆頭株主である株式会社ビジネスブレイン太田昭和との資本関係や人的関係は、経営判断において、他株主の利益と一致しない可能性や事業戦略への影響が潜在的なリスクとして存在します。新株予約権の権利行使による株式価値の希薄化も、既存株主にとっては留意すべき点です。
投資テーマとの関連
同社は、AI、DX、サイバーセキュリティといった現代の主要な投資テーマに深く関連しています。AI技術の急速な進化と普及は、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を招くだけでなく、企業活動における新たなセキュリティ課題(AI活用に伴う情報漏洩やガバナンスリスク)を生み出しており、同社にとってはセキュリティニーズの構造的な増大という強い追い風となります。AIを活用した既存サービスの高度化・効率化、AIを付加した新サービスの創出、セキュリティ×AI人材の育成・提供は、まさにAI時代に対応したビジネスモデルへの進化を目指すものであり、AI関連テーマへの貢献度が高いと言えます。また、DXの進展に伴うサイバーリスクの増大や、テレワークの普及による攻撃範囲の拡大は、サイバーセキュリティ対策の重要性を一層高めており、同社の事業機会を拡大させています。政府のサイバーセキュリティ強化の動きや、日本社会全体のセキュリティレベル向上への貢献という側面も、こうした投資テーマとの親和性を示しています。