事業概要
同社は、中堅・中小企業を主要顧客とし、「シェアード・エンジニアリング」という独自の事業モデルを基盤としたIT人材と知識を提供する会員制サービスを展開しています。これは、企業が共同で利用するコーポレートIT部門の実現を目指すもので、同社社員が最新の知識やノウハウを循環させ、顧客企業のITに関する課題解決と成長支援に貢献します。事業は現在、「コーポレートIT部門の業務支援事業」として単一セグメントで運営されています。具体的には、IT人材不足に悩む従業員数50名から1000名規模の企業に対し、IT課題の策定、システム運用、担当者育成などを支援する「シェアード社員®」サービスを提供。ポイント制の料金システムを採用し、顧客は利用時間に応じた支払いコースを選択できます。また、会員制ナレッジシェアサービス「Kikzo」も提供し、ITに関する質問や情報共有を促進しています。主要な顧客は東京都千代田区および横浜市中区・西区に所在する企業に限定されており、事業の効率化とサービス品質の維持を図っています。
直近決算ハイライト
2025年12月期(当事業年度)の業績は、売上高が前期比18.5%増の35億1,473万円、営業利益が同41.7%増の5億6,038万円と、増収増益を達成しました。これは、主に顧客数の増加および「シェアード社員®」の増加によるものです。売上原価は前期比17.9%増の18億7,294万円で、これは「シェアード社員®」増加に伴う人件費の増加が主因です。販売費及び一般管理費は前期比9.9%増の10億8,139万円となりましたが、これは社員増加や給与水準向上施策、賞与支給額の増加に伴う人件費、研修費、社内設備投資に伴う減価償却費の増加によるものです。これらの結果、営業利益は大幅に増加しました。経常利益は前期比36.4%増の5億6,164万円、当期純利益は同6.9%増の4億1,089万円となりました。サービス別では、「情シス総合」が31億7,142万円、「内製開発」が2億751万円、「ITインフラ」が1億3,579万円の売上を計上しています。会員数は814社(前期比42社増)、実働会員は243社(前期比1社減)、実質支援社数は433社(前期比38社増)となりました。
強みと競争優位性
同社の最大の強みは、中堅・中小企業のIT人材不足という深刻な社会課題に対し、「シェアード・エンジニアリング」という独自の事業モデルで応えている点です。これは、IT人材と知識を共有する会員制サービスであり、個々の企業では確保が難しい専門的なIT人材やノウハウを、必要な時に必要なだけ利用できるという利便性を提供します。特に、IT人材が不足しがちな中堅・中小企業においては、固定費を抑えつつ高度なIT活用やDX推進が可能となるため、強いニーズがあります。また、同社はIT人材や知識の蓄積、採用・育成ノウハウの共有といった、企業活動全般にわたるシェアリング技術を強みとしています。これは、単なる人材派遣とは異なり、顧客企業のIT部門そのものを機能強化する支援であり、参入障壁の高さにつながっています。さらに、同社は「情シス総合」を基盤に、「内製開発」や「ITインフラ」といった専門性の高い特化型サービスを順次立ち上げており、事業領域の拡大とともに、顧客への提供価値を高めています。
リスク要因
同社は、中堅・中小企業を主要顧客としているため、国内外の経済情勢や景気動向の影響を受けやすいというリスクがあります。景気悪化に伴うIT投資の縮小は、事業の減少につながる可能性があります。また、IT人材不足という社会課題を背景に事業を展開していますが、優秀な人材の確保と育成が継続的な成長の鍵であり、採用計画通りに進まない場合や、予期せぬ退職者の増加は事業に影響を及ぼす可能性があります。さらに、同社は「コーポレートIT部門の業務支援事業」において、労働者派遣法等の法令遵守に努めていますが、法令改正や予期せぬ法規制の変更、あるいは法的要件を満たせなくなる事態が生じた場合、事業に制約を受けるリスクがあります。加えて、顧客情報を含む機密情報を取り扱うため、情報漏洩事故が発生した場合、損害賠償請求訴訟等により業績や財政状態に大きな影響が及ぶ可能性があります。
投資テーマとの関連
同社は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援という点で、現代の主要な投資テーマである「DX」および「ITインフラ」と深く関連しています。深刻化するIT人材不足、特に中堅・中小企業における「コーポレートエンジニア」の確保困難という状況は、同社が提供する「シェアード・エンジニアリング」サービスへの需要を強く後押ししています。企業のIT活用が、単なる業務効率化から、AI等の新技術を活用したビジネスモデル創出へと価値創造のフェーズへ移行する中で、高度で複雑化するIT部門の要求に応える同社のサービスは、DX推進を支援する重要な役割を担っています。また、「ITインフラ」サービスも開始しており、企業の基盤となるITインフラの構築・運用保守における専門的な支援を提供することで、DXの基盤強化にも貢献しています。これらのテーマとの関連性の深さから、DX推進の流れに乗った成長が期待できます。