事業概要
当連結会計年度末現在、当社グループは親会社および連結子会社5社で構成され、主に「子育て支援事業」を展開しています。具体的には、認可保育所、認定こども園、小規模保育、学童クラブ、児童館などを首都圏を中心に計209施設運営しています。事業は「子育て支援事業」の単一セグメントです。事業収益の多くは、運営する保育施設に対する国や自治体からの委託費や補助金によって構成されています。近年、女性の社会進出や共働き世帯の増加を背景に保育所利用者数は高水準ですが、出生数の減少や待機児童数の減少といった外部環境の変化も生じています。政府による子育て支援策の推進は事業拡大の追い風となる一方、制度変更や方針転換は事業リスクとなり得ます。
直近決算ハイライト
当連結会計年度(2024年10月1日~2025年9月30日)の連結売上高は269億97百万円で、前期比2.1%増となりました。これは、一部保育施設の事業譲渡等があったものの、人事院勧告に伴う公定価格の上昇が寄与した結果です。売上原価率は0.1ポイント上昇し90.1%となりましたが、販売費及び一般管理費はICT費用の落ち着きにより減少し、販管費率は0.3ポイント改善しました。その結果、営業利益は8億58百万円(前期比8.7%増)と2期連続で過去最高益を更新し、営業利益率は3.2%へ上昇しました。経常利益は補助金収入の減少などにより8億8百万円(前期比1.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として減損損失6億5百万円を計上した影響などにより72百万円(前期比71.7%減)となりました。キャッシュフローにおいては、営業活動で16億37百万円の資金増加、投資活動で21億5百万円の資金減少(子会社株式取得が主因)、財務活動で18億68百万円の資金増加(長期借入による増加が主因)となりました。
強みと競争優位性
当社の強みは、首都圏、特に東京都心部という、依然として高い保育需要が見込まれる地域に集中的に事業を展開している点です。東京都は人口流入が続いており、全国的な待機児童数減少傾向の中でも、相対的に園児の獲得がしやすい環境にあります。また、2025年7月末に株式会社アソシエ・アカデミーを完全子会社化したことにより、運営施設数は209施設に達し、規模の経済による効率化や、より広範な地域でのサービス提供が可能となります。さらに、イエナプランの導入やICT戦略の強化といった、保育の質向上と業務効率化への積極的な取り組みは、競合他社との差別化要因となり、保護者や地域からの信頼獲得に繋がる可能性があります。政府の「こどもまんなか社会」の推進や保育士の処遇改善といった政策動向は、事業拡大の追い風となるため、これらの政策に沿った事業展開は競争優位性を高めるでしょう。
リスク要因
当社の事業は、少子化や待機児童数の減少といった外部環境の変化に直接影響を受けます。出生数の減少は将来的な園児数の獲得を困難にする可能性があり、収益の根幹を揺るがしかねません。また、国や自治体の方針、法規制の改正は、補助金の削減や事業運営の制約につながるリスクがあります。保育所の認可取消しや新規施設の認可が得られない場合も業績に影響を与えます。施設運営における事故、食の安全問題、感染症の流行、大規模災害などは、事業停止や風評被害、利用者の減少を招く可能性があります。さらに、保育士をはじめとする人材の確保・定着が急務であり、人材確保の遅れは事業計画に支障をきたす恐れがあります。借入金依存度が高いため、金利上昇は支払利息の増加に繋がります。新規施設開設時の初期投資や、潜在的な固定資産の減損リスクも考慮する必要があります。
投資テーマとの関連
当社は「子育て支援事業」を主軸としており、これは直接的に「少子化対策」「女性活躍支援」といった社会的な投資テーマと強く関連しています。政府が「こどもまんなか社会」を掲げ、児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」の創設、保育士の処遇改善やICT化推進など、子育て支援策を強化していることは、当社にとって事業拡大の追い風となります。特に、保育士の配置基準見直しや処遇改善は、人材確保・定着という当社の経営課題解決に寄与する可能性があります。また、ICT戦略の強化は、業務効率化や保育の質向上に繋がるため、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という広範な投資テーマとも一部関連が見られます。ただし、AIや半導体、EV、防衛といった、より直接的な成長産業テーマとの直接的な関連性は薄いと言えます。