事業概要
当社グループは、直動機器、精密部品加工、ユニット製品の3つの事業を精密機器製造事業の単一セグメントとして展開しています。主力製品である直動機器のリニアボールブッシュは、機械装置の可動部における摩擦を低減する部品で、長年にわたり工作機械や精密機械分野に供給されてきました。軽量タイプやスリムタイプなど、省エネルギーや省スペース化のニーズに対応した製品開発も行っています。精密部品加工事業では、レース用部品や試作品の製造を受託しており、高度な加工技術を活かして短納期での対応を実現しています。ユニット製品事業は、直動機器や精密部品加工で培った技術を応用したもので、スマートフォン液晶製造装置などに使用される位置決め装置などを国内外の産業装置メーカーに供給しています。これらの事業を通じて、社会に貢献できる企業を目指しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期の連結決算は、売上高が前年比27.1%減の16億円となりました。これは、直動機器事業における産業用機械業界の需要回復遅れや、精密部品加工事業におけるレース用部品のレギュレーション変更の影響が主因です。利益面では、売上高の減少に伴い、売上総利益が前年比40.8%減の1.9億円、売上総利益率が12.1%と2.8ポイント低下しました。結果として、営業損失は2.6億円(前期は1.2億円の損失)、経常損失は3.0億円(前期は1.9億円の損失)となり、さらに減損損失4.1億円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は7.2億円(前期は2.0億円の損失)へと拡大しました。現金及び預金は4億円となり、前連結会計年度末から1.5億円減少しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失や税金等調整前当期純損失の計上などにより、1.6億円の支出となりました。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年培ってきた直動機器および精密部品加工における高度な加工技術にあります。特に、ミニチュア化に成功したリニアボールブッシュは、独創的な設計思想に基づき、長年にわたり高品質な製品として評価されています。また、軽量タイプやスリムタイプといった顧客ニーズに合わせた製品開発力も、競争優位性の一つです。精密部品加工事業においては、レース用部品の製造で培われたスピード感と精密な加工技術が、試作品製造などの受託加工において顧客からの信頼を得ています。さらに、これらの技術を応用したユニット製品事業も、スマートフォン関連装置などの先端分野で採用されており、事業の多角化と高付加価値化に貢献しています。
リスク要因
当社の事業運営における主要なリスクとして、直動機器への高い依存度が挙げられます。売上の約64.7%を占める直動機器は、産業用機械装置の設備投資需要の変動や、安価な競合製品の流入により、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、売上高の約55.3%を占めるTHK株式会社、同16.9%を占めるホンダグループといった特定販売先への依存度も、これらの企業の受注動向や経営戦略によっては、業績に影響を与えるリスク要因となります。さらに、原材料価格の変動、知的財産権の問題、自然災害や事故災害による生産体制の寸断、為替レートの変動なども、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。直近決算では、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識されており、収益力向上と安定収益構造への変革が喫緊の課題となっています。
投資テーマとの関連
当社は、自動化ニーズの高まりや先端産業分野における精密部品加工需要の拡大といった、産業用機械業界の動向と密接に関連しています。特に、半導体需要の高まりや人手不足を背景とした自動化ニーズへの対応は、当社の直動機器事業やユニット製品事業にとって成長機会となります。また、フィジカルAI関連投資の進展も、精密部品加工やユニット製品への需要を喚起する可能性があります。ただし、直動機器事業が産業用機械業界の設備投資動向に左右されやすい点は、景気変動や地政学リスクの影響を受けやすいという側面も持ち合わせています。レース用部品の製造受託は、自動車産業、特にモータースポーツ分野の動向とも関連しており、技術革新やレギュレーション変更への迅速な対応が求められます。