事業概要
当社グループは、曳船事業、海事関連事業、旅客船事業を主軸とするマリンサービス提供企業です。中核事業である曳船事業では、東京湾全域で船舶の安全航行サポート、海難事故への即応、港湾での離着桟補助、LNGバース等での警戒船業務、防災、緊急出動・海難救助などを手掛けています。また、東京湾口での水先艇運航も行っています。成長分野として期待される洋上風力発電関連事業では、交通船(CTV)の運航などを推進しています。旅客船事業では、地域貢献型マリン事業として、神奈川県久里浜港と千葉県金谷港を結ぶカーフェリー事業、横浜港での観光船事業を展開しています。環境負荷低減と作業効率・安全性の向上を目指し、ハイブリッド型電気推進曳船の導入や、将来的な脱炭素型新規曳船の開発にも注力しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期において、売上高は前期比9.2%増の131億円となりました。営業利益は前期の51百万円の損失から1億円の利益へと大幅に改善し、経常利益も前期の259百万円の損失から3億円の利益へと転換しました。当期純利益は前期比146.9%増の50億円と大幅な増加を達成しました。この純利益の増加は、土地・建物や船舶の売却による79億70百万円の固定資産売却益が大きく寄与しました。セグメント別では、曳船事業が港湾曳船作業料率の値上げ効果や危険物積載船の入港数増加により、売上高は同10.7%増の95億17百万円、営業利益は31億94百万円(前期は14億63百万円の営業損失)となりました。海事関連事業も洋上風力発電交通船(CTV)の稼働増により売上高は同100.4%増の19億56百万円と大幅に増加しましたが、用船料や減価償却費の増加により19億2百万円の営業損失となりました。旅客船事業は、横浜港観光船部門の事業移管等により売上高は同32.3%減の16億70百万円、営業損失は58百万円となりました。
強みと競争優位性
当社の強みは、東京湾という国内有数の海上交通の要衝における長年の曳船事業で培われた確固たる事業基盤と、それに基づく高い運航ノウハウにあります。特に、東京湾全域にわたるサービス提供体制と、海難事故への即応能力は、公共的役割を担う企業として社会的な信頼を得ています。また、近年の成長分野である洋上風力発電関連事業への早期参入と、そこで得た知見の蓄積も競争優位性となっています。環境負荷低減に向けたハイブリッド型電気推進曳船「大河」の導入や、将来的な脱炭素型船舶開発への投資は、技術面での先進性を示しており、将来的な事業継続性と競争力強化に繋がります。さらに、グループ全体で曳船事業、海事関連事業、旅客船事業と多角的な事業ポートフォリオを構築していることも、特定の事業環境の変動に対するリスク分散に寄与しています。
リスク要因
当社グループの事業運営には、複数のリスク要因が存在します。まず、燃料油・原材料価格の変動リスクが挙げられます。曳船事業は燃料油価格の動向に大きく影響され、原油価格の高騰は収益を圧迫する可能性があります。また、世界情勢の不安定化による調達リスクや、鋼材価格の上昇は新船建造価額にも影響を与えます。海難事故リスクも無視できません。曳船の物理的破損や人的被害、さらには当社の曳船運航が事故要因となる可能性や、海洋汚染リスクも潜在しています。市場環境の変化、特に日本経済の低迷や自然災害、感染症拡大による港湾への入出港船舶数の減少は、曳船作業数減少のリスクとなります。大規模自然災害や感染症拡大による事業継続リスク、サイバー攻撃による情報セキュリティリスクなども、事業運営における重要な課題です。
投資テーマとの関連
当社は、洋上風力発電関連事業を成長分野と位置づけ、交通船(CTV)の運航などを積極的に展開しており、再生可能エネルギー、特に洋上風力発電という投資テーマと深く関連しています。国内外での洋上風力発電プロジェクトの進展に伴い、CTV運航やSOV(サービス・オペレーション・ヴェッセル)といった関連事業の開発を通じて、このテーマからの恩恵を受ける可能性があります。また、環境負荷低減を目指したハイブリッド型電気推進曳船の導入や、将来的な脱炭素型船舶開発への取り組みは、GX(グリーントランスフォーメーション)やサステナビリティといった投資テーマとの親和性も示唆しています。AIを活用した配船支援システムの導入は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環とも捉えられ、先進技術への取り組みが事業効率化に寄与する可能性も期待されます。