このテーマとは
ドラッグストアテーマは、医薬品(OTC・調剤)を中心に、化粧品・日用品・食品・健康食品を扱う複合小売業態を扱う。具体的には、(1) ドラッグストアチェーンの店舗運営、(2) 調剤薬局併設店舗、(3) PB(プライベートブランド)商品開発、(4) 物流センター・卸機能、(5) EC・オムニチャネル、(6) 医療連携・健診・予防医療サービス、(7) 海外店舗展開、までを射程に入れる。
業態としては、医薬品・化粧品の高粗利商品と、食品・日用品の集客商品を組み合わせた粗利ミックス型ビジネス。コンビニ・スーパーマーケット・百貨店・ホームセンターと一部商品で競合しつつ、健康・美容を軸に独自ポジションを保っている。
なぜ注目されているのか
第一の追い風は、業界再編・M&A による規模拡大である。ドラッグストア業界は数年単位で大型統合・買収が続き、上位数社への集中度が上がっている。スケールメリットによる仕入れ価格交渉力、PB 開発力、物流効率の改善が利益率改善の構造的ドライバになっている。
第二に、調剤併設店舗の拡大。医薬分業の進展・地域医療連携・医療保険財政の効率化要請を背景に、調剤併設のドラッグストアの店舗数が継続的に増加している。OTC・市販薬の販売と調剤の組み合わせは、健康相談・服薬管理・予防医療など、付加価値サービスの基盤になる。
第三に、訪日外国人需要(インバウンド)の取り込み。化粧品・医薬品・健康食品はインバウンド購買の中心カテゴリーで、観光地・空港・大都市の駅前店舗ではインバウンド売上比率が大きく寄与する。免税対応の拡充と多言語接客の強化が継続している。
第四に、PB・健康食品・スキンケアの自社開発強化。PB 商品は粗利率が高く、ブランド価値の構築・カテゴリー特化(プロテイン、サプリ、スキンケア等)で独自性を出す動きが続く。健康食品・機能性表示食品市場の拡大は、ドラッグストアの主要収益源となっている。
逆風は人件費上昇と競合との価格競争。レジ業務・接客・調剤対応で人件費が増える一方、食品・日用品では大手スーパー・コンビニ・EC との価格競争が継続する。出店余地が成熟する地域では、新規出店ペースが鈍化し、既存店成長率が業績の主軸になっている。
関連する事業領域
含まれる業種は、小売業(ドラッグストアチェーン)、卸売業(医薬品卸・化粧品卸)、医薬品(OTC メーカー)、食料品(健康食品・PB 食品)、化粧品(スキンケア・コスメ)、サービス業(調剤・健診)など。
「ドラッグストア銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) 都市型店舗(化粧品・健康食品中心)と郊外型店舗(食品・日用品中心)で売上構成・粗利率が違う、(b) 調剤併設店舗比率と、調剤専業(調剤薬局グループ)で収益構造が異なる、(c) PB 比率・大手チェーンとの規模差で粗利率と仕入れ条件が大きく違う、という点。
財務的にどう評価するか
ドラッグストアテーマで最初に見たいのは、既存店売上高前年比(既存店成長率)と、客数・客単価の動向である。月次売上動向は各社が開示しており、季節要因(花粉・風邪・夏物)の影響を除いた実態のトレンドが読める。新規出店ペースと M&A による店舗増加は、見かけ上の総売上成長を押し上げるが、既存店成長率が本業の力を測る基本指標になる。
利益面では、商品別粗利率(医薬品・化粧品・健康食品・食品・日用品)の構成、PB 比率、人件費比率、を分解して見る。粗利率は化粧品・医薬品・健康食品で30%超、食品・日用品で20-25%水準が多く、構成比で全社粗利率が決まる。
落とし穴は3つ。第一に、M&A によるのれん残高が大きい企業では、被買収先の業績不振による減損リスクが残る。買収後の統合シナジーの実現状況を継続的にチェックしたい。第二に、調剤併設は処方箋単価・処方箋枚数・薬価改定の影響を受け、長期的には薬価抑制方向で利益率に圧力がかかる。第三に、インバウンド比率の高い店舗は、外国人客動向と為替で売上が大きく振れる。
中長期では、PB 比率・調剤併設比率の推移、EC・オムニチャネル展開、健康・予防サービスへの拡張、海外展開、デジタル販促・CRM の活用度合い、が事業価値の指標になる。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) 既存店成長率と客数・客単価動向、(b) カテゴリー別売上構成と PB 比率、(c) 調剤併設店舗比率、(d) M&A 履歴とのれん残高、を最低限チェックしたい。
関連テーマのコンビニ・化粧品・健康食品・インバウンド・株主還元 と併読すると、ドラッグストアが単純な小売業ではなく、健康・美容・予防のサービスプラットフォームに進化していく構造が立体的に見える。