事業概要
当社グループは、抄紙用具関連事業と工業用事業の2つの主要セグメントで、製造から販売まで一貫した事業活動を展開する企業集団です。抄紙用具関連事業においては、製紙会社向けに抄紙用フェルトや抄紙用ベルトなどを提供しており、特に紙・板紙の生産動向が需要に大きな影響を与えます。デジタル化の進展による新聞用紙や印刷情報用紙の需要減少リスクがある一方、アジア地域を中心とした板紙や衛生用紙の需要拡大も見込まれます。工業用事業では、工業用フェルトなどの製造・販売を行っています。海外売上高比率が63.4%と高く、グローバルな事業展開が特徴ですが、為替変動リスクも抱えています。中期経営計画「New Enterprise 2027("NE-27")」では、「新領域への挑戦の3年」をスローガンに掲げ、収益力向上と成長戦略の実効性を重視した経営を推進しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期は、売上高が前期比6.1%増の148億円となり、好調な業績となりました。特に、海外での抄紙用フェルトおよびベルトの販売増加と、円安への為替変動が売上を押し上げました。営業利益は同46.5%増の16億円、経常利益は同34.3%増の16億円、当期純利益は同50.0%増の12億円と、利益面でも大幅な増加を達成しました。これは、ベルト新生産設備の稼働による生産能力向上や、海外拠点での販売拡大によるものです。セグメント別では、国内抄紙用具関連事業は需要減により販売数量が減少しましたが、北米、欧州、中国、タイにおける抄紙用フェルトおよびベルトの増販が全体を牽引しました。工業用事業も輸出向け販売数量の増加により増収となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億円(前期比50.0%増)、1株当たり当期純利益は275.43円(前期比51.7%増)と、計画を上回る実績を上げています。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたり培ってきた抄紙用具分野における専門性と、グローバルに展開された販売・供給体制にあります。特に、抄紙機プレスパートの能力を最大化する製品提供を通じて、顧客の「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献できる点は、高い付加価値を生み出しています。中期経営計画においても、研究開発力と製品開発力の更なる強化を掲げ、大学や外部機関との連携も視野に入れ、技術力の高度化を図る方針です。DXを活用した生産・業務プロセスの高度化も進めており、持続的な競争力の確立を目指しています。また、海外売上高比率が63.4%と高いことから、グローバル市場での需要変動に柔軟に対応できる事業基盤を有しています。これらの要素が、厳しい市場環境下においても安定した収益基盤を確保し、成長投資を支えるキャッシュ創出力を維持する源泉となっています。
リスク要因
主要なリスク要因としては、まず、紙・板紙の生産動向、特に国内市場におけるデジタル化の進展による需要減少が挙げられます。また、主要原材料が石油関連素材であるため、原油価格の高騰や地政学的リスクによる原材料コストの変動リスクも存在します。海外売上高比率が高いことから、為替相場の変動は業績に直接的な影響を与えます。さらに、有利子負債8.82億円を有しており、金利上昇リスクも潜在しています。加えて、72.57億円の投資有価証券を保有しており、株価変動リスクに晒されています。自然災害やサイバーセキュリティリスクも、事業継続への影響が懸念される要因です。これらのリスクに対し、代替原料の検討、為替予約、保有有価証券の精査、事業継続計画の策定など、多岐にわたる対策を講じていますが、経営環境の不確実性は依然として高い状況です。
投資テーマとの関連
当社は、抄紙用フェルトやベルトといった製品を通じて、製紙業界における「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献しており、サステナビリティや環境負荷低減といった投資テーマとの関連性があります。中期経営計画においても、SDGsを含む環境・社会課題への対応を経営の重要課題と位置づけ、製品・技術を通じた環境負荷低減への貢献を進める方針を掲げています。また、DXの推進による生産・業務プロセスの高度化は、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の投資テーマとも合致する可能性があります。グローバル展開を進める中で、アジア地域を中心とした成長市場での事業拡大は、新興国市場への投資といった側面も持ち合わせています。ただし、AI、半導体、EVといった先端技術分野との直接的な関連性は薄く、これらのテーマでの投資妙味は限定的と考えられます。