事業概要
同社グループは、「ロマン(世界で一番「思い出」をつくるエンターテイメント企業)」と「企業信念(良いものは必ず評価される)」を企業理念に掲げ、スマートフォンアプリの開発・運営を行う「スマートフォンアプリ関連事業」を単一セグメントとして展開しています。主な事業内容は、RPGを中心としたゲームアプリ及びその他のサービスであり、プラットフォーム上で基本的に無料で提供し、アイテム課金等で収益を上げるビジネスモデルを採用しています。連結子会社として株式会社Koiniwa及び株式会社バンク・オブ・インキュベーションを有しており、これら3社で事業を推進しています。ユーザー満足度の最大化と株主価値の向上を目指し、「品質最優先」の開発戦略と、20年・30年先にも残るような価値ある自社IP(知的財産)の創出を経営戦略の柱としています。また、中長期的な成長には海外市場展開が重要であると捉え、新作ゲームアプリは世界同時配信・自社配信を前提に開発を進めています。
直近決算ハイライト
2025年9月期連結決算において、売上高は123億66百万円(前期比9.2%減)となりました。これは、主力タイトルである『メメントモリ』の経年影響による売上減少が主な要因です。一方で、広告宣伝費の大幅な抑制(大規模CM出稿を控えたことによる)が奏功し、営業利益は21億54百万円(前期比62.0%増)と大きく伸長しました。経常利益も21億85百万円(前期比60.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億51百万円(前期比50.9%増)と、利益面では堅調な結果となりました。売上原価はアプリ課金高の減少に伴うプラットフォーム手数料の減少により11.2%減少し、売上総利益は6.9%減の59億98百万円でした。販売費及び一般管理費は、広告宣伝費の減少により24.8%減の38億44百万円となりました。現金及び現金同等物は28億2百万円増加し、52億12百万円となりました。
強みと競争優位性
同社グループの競争優位性は、まず「品質最優先」を掲げる開発体制にあります。開発期間の期限を設けず、納得のいく品質でなければ配信しないという方針は、ユーザーからの信頼獲得や、長期的に愛されるIP創出に繋がる可能性があります。また、オリジナル2Dグラフィック制作技術を強みとしており、高品質なスマートフォンアプリの提供を目指しています。主力タイトルである『メメントモリ』の運営で培われたノウハウやユーザーからの評価も、事業基盤となっています。さらに、自社IPの創出を重視し、20年・30年先にも残るような価値あるIPを目指す戦略は、他社との差別化要因となり得ます。海外市場展開を世界同時配信・自社配信で進める方針は、グローバルでの事業拡大を目指す上での強みとなる可能性があります。PDCAサイクルを確立し、既存タイトルのサービス向上と新規開発への人的資源集中を両立させる体制も、競争力を維持する上で重要です。
リスク要因
同社グループの事業運営における主要なリスクは、スマートフォンゲーム市場の競争激化と、特定のタイトルへの収益依存です。特に、「メメントモリ」が連結売上高の94.5%を占める状況は、当該タイトルの収益が想定を下回った場合に、事業全体に大きな影響を及ぼす脆弱性を示しています。また、App StoreやGoogle Playといったプラットフォーム運営事業者の規約変更や仕様変更が、サービス提供に困難をもたらす可能性も指摘されています。開発・運営コストの増加、特に広告宣伝費の高騰や、期待した効果が得られないリスクも存在します。さらに、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しいゲーム市場において、ユーザーニーズの的確な把握やコンテンツ導入の遅延は、訴求力低下に繋がる恐れがあります。品質最優先戦略は開発期間の長期化を招く可能性があり、事業展開における柔軟性の低下も懸念されます。
投資テーマとの関連
同社は、エンターテイメント領域におけるIP創出を目指しており、これは「IP創出・活用」という投資テーマと関連が深いです。特に、20年・30年先にも残るような価値あるIPを創出するという戦略は、長期的な企業価値向上を目指す投資家にとって魅力的となり得ます。また、新作ゲームアプリを世界同時配信・自社配信で展開する方針は、「グローバル展開」というテーマにも合致しています。スマートフォンゲーム市場は、デジタルエンターテイメント市場の一部として、今後も堅調な成長が見込まれる分野であり、同社の事業はその恩恵を受ける可能性があります。ただし、AIや半導体、EV、防衛といった、より直接的で短期的なテーマとの関連性は薄いと考えられます。同社の魅力は、独自のIPを基盤とした長期的な成長ストーリーにあり、その実現に向けた経営戦略が投資判断の鍵となります。