事業概要
同社グループは、「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」というパーパスのもと、「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」という提供価値を掲げ、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに、ITを軸とした事業展開を行っています。主力事業は、企業、教育、医療機関向けにモバイル端末の一元管理・運用を行うSaaS(Software as a Service)を提供する「CLOMO事業」です。この事業はサブスクリプションモデルを採用し、クラウドを通じてMDM(モバイルデバイス管理)サービスを提供することで、従業員への情報提供、成果物の受領、就業時間の管理などを可能にします。また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)やM&Aを通じて、グループの持続的成長とスタートアップ企業の価値創造を支援する「投資事業」も展開しており、事業領域の多様化と収益源の多角化を図っています。組織においては、多様性を重視した採用活動や、従業員の成長支援を通じて、挑戦を奨励する企業文化の醸成に注力しています。
直近決算ハイライト
2025年3月期(連結)の業績は、売上高3,749,791千円(前年同期比27.2%増)、営業利益905,079千円(前年同期比30.8%増)、経常利益877,758千円(前年同期比31.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益558,635千円(前年同期比20.5%増)と、増収増益を達成しました。CLOMO事業では、OEM提供による新規顧客獲得や、投資事業における営業投資有価証券の売却が売上増加に貢献しました。売上原価は、CLOMO事業における開発費増加や、投資事業における売却原価・評価損により増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加を上回る売上成長を記録しました。特にCLOMO事業は、MDM市場において14年連続シェアNo.1を維持し、ARPU(ユーザーあたりの平均月間単価)向上のためのオプションサービス拡充や、Microsoft Intuneとの連携機能実装により競争優位性を高めています。
強みと競争優位性
同社グループの最大の強みは、主力事業であるCLOMO事業において、14年連続でMDM市場シェアNo.1を維持している実績にあります。これは、長年にわたるサービス提供で培われた顧客からの信頼と、継続的な機能強化への取り組みの証です。特に、2024年2月に「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」に登録されたことは、政府が求める高いセキュリティ水準をクリアしていることの証明であり、官公庁や医療機関といった、セキュリティ要求の高い市場への参入障壁を低くしています。また、2025年3月にはMicrosoft Intuneとの連携機能を実装し、国内競合他社に先駆けてMicrosoft Entra IDの条件付きアクセスに対応したことは、強力な競争優位性となります。さらに、ワンビ株式会社のM&Aにより、Windows PC向けの情報漏洩対策サービス(TRUST DELETE)を取り込み、CLOMO事業とのシナジー創出によるクロスセル推進や、PC資産管理市場への展開も強化しており、提供サービスの幅広さと統合管理能力が競争優位性につながっています。
リスク要因
同社グループの事業運営には、いくつかのリスク要因が存在します。まず、主力事業であるCLOMO事業の売上の47.6%を特定の販売パートナー上位グループ会社への依存している点は、販売方針の変更や、パートナーとの関係悪化による業績への影響が懸念されます。また、MDM市場における競争激化や、Apple、Google、Microsoftといったプラットフォーマーによるサービス提供条件の変更・停止リスクも存在します。技術進化が著しく顧客ニーズが多様化する中で、市場動向や技術進化への対応遅れは、業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、新規事業開発や投資事業における収益化の遅延、予期せぬ減損損失の発生リスクも抱えています。海外子会社(ベトナム)の事業展開における、現地の政治・経済・法規制等の変動リスクも無視できません。情報セキュリティ及び情報漏洩リスクについても、サイバー攻撃や従業員の過失による情報資産の漏洩は、社会的信用の失墜や損害賠償責任に繋がる可能性があります。
投資テーマとの関連
同社グループは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進という大きな潮流に乗った事業を展開しており、特にサイバーセキュリティへの意識の高まりは、主力であるCLOMO事業にとって追い風となっています。MDM市場は、2028年までに280億円規模へと成長が見込まれており、同社は、企業におけるモバイル端末の導入加速や、官公庁におけるDX進展による管理需要増加といった市場成長の恩恵を受けることが期待されます。また、PC資産管理市場への進出や、Windows PC向けセキュリティサービス(TRUST DELETE)との連携は、IT資産管理の包括的なソリューション提供能力を高め、企業のITインフラ管理高度化というテーマに合致しています。さらに、Microsoft Intuneとの連携強化は、グローバルなITプラットフォームとの親和性を高め、クラウド活用やSaaSビジネスの進化という投資テーマとも関連が深いです。投資事業を通じたスタートアップ企業への投資活動は、将来のイノベーション創出や新たな事業領域開拓に繋がる可能性を秘めており、広義のテクノロジー投資テーマとも位置づけられます。