事業概要
当社は、世界唯一の総合すべり軸受メーカーとして、自動車、船舶、産業機械など幅広い分野で「あらゆる動きを支え、豊かな暮らしに貢献する」ことをパーパスに掲げています。コア事業は自動車や船舶エンジンの軸受製造・販売ですが、長年培った技術を活かし、エンジン周り以外の領域や、自動車・船舶以外の分野への事業拡大も積極的に進めています。新中期経営計画「Bridge to Daido 2030」では、コア事業の強化に加え、ネクストコア・セミコア事業の育成、利益体質強化のための構造改革、非財務資本重視の経営を4つの柱として、持続的な企業価値向上を目指しています。事業セグメントは、パワートレイン事業、マリン・エネルギー事業、ライフ事業、フロンティア事業の4つに再編され、それぞれが戦略的に事業を展開しています。
直近決算ハイライト
2026年3月期は、増収増益となり、業績は堅調に推移しました。売上高は前期比4.2%増の1,420億円となり、これは主に自動車主要顧客の生産増や、船舶・建設機械業界における旺盛な需要に対応した結果です。利益面では、労務費や原材料価格の高騰といった押し下げ要因があったものの、価格転嫁の取り組み強化や採算管理の徹底により、営業利益は前期比18.1%増の84億円に達しました。営業利益率は5.9%と、前期から0.7ポイント改善しました。経常利益も前期比8.5%増の74億円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比61.6%増の44億円と大幅な増加となりました。ROEも5.7%となり、利益創出力の改善がうかがえます。
強みと競争優位性
当社は、世界唯一の総合すべり軸受メーカーというユニークなポジションを確立しており、これが最大の競争優位性です。長年にわたり培ってきたトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)をコア技術とし、高品質かつ信頼性の高い製品を提供し続けています。特に、自動車エンジン用軸受においては、2024年に続き2025年も世界トップシェアを達成(当社推定)しており、その技術力と生産能力は高く評価されています。また、エンジン周り以外にも、ショックアブソーバー部品や一般産業向け軸受など、多角的な製品展開を進めることで、特定の市場への依存度を低減し、安定した収益基盤を構築しています。グローバルに広がる販売網と、各地域における顧客ニーズにきめ細かく対応できる体制も、競争優位性を支える重要な要素です。
リスク要因
当社を取り巻く事業リスクとしては、まずグローバル事業展開に伴う地政学的リスクが挙げられます。世界各地での政治・経済情勢の変動や、ウクライナ・中東情勢などは、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、軸受の主原料である鋼材などの原材料価格の不安定化や、供給網の混乱も、コスト増加を通じて収益を圧迫する要因となり得ます。さらに、サイバー攻撃による情報流出やシステム障害、製品の不具合に起因する事故やリコール発生のリスクも存在します。加えて、世界的なEV化の進展による内燃機関需要の将来的な減少や、各国の環境規制強化への対応コスト増加なども、中長期的なリスクとして認識されています。これらのリスクに対し、当社はリスク管理体制の強化や、サプライチェーンの最適化、保険加入など、多岐にわたる対策を講じています。
投資テーマとの関連
当社は、自動車産業の変革期において、EV化の進展という大きな潮流に対応しつつも、内燃機関やハイブリッド車向けの軸受供給を継続する「マルチパスウェイ戦略」を推進しています。これは、自動車分野における電動化への対応という投資テーマと関連が深いです。また、船舶・エネルギー分野での事業拡大は、海事産業や再生可能エネルギー関連の需要を取り込む動きとして、これらのテーマとの関連性が見られます。さらに、同社が風車ビジネスやガスタービン向けビジネスといった、よりクリーンなエネルギー分野への展開を模索していることは、脱炭素やカーボンニュートラルといった長期的な投資テーマへの貢献可能性を示唆しています。このように、当社は既存事業の強みを活かしつつ、将来の成長分野への投資を通じて、多様な投資テーマとの接点を広げていく戦略をとっています。