事業概要
当社グループは、自動車部品製造事業とその他の2つのセグメントで事業を展開しています。主力の自動車部品製造事業では、エンジンバルブ、バルブシート、コッタといった内燃機関(エンジン)向けの部品を製造・販売しており、国内および海外のグループ会社で生産体制を構築しています。親会社である大同特殊鋼株式会社から供給される特殊鋼鋼材を主原料としています。その他事業では、子会社のマルヨシ製作所がリチウムイオン電池等に使用されるセパレータフィルム製造装置向けの金属ロールやシャフトを、ピーアンドエムが半導体やEVバッテリー製造等で使用される空気圧機器向けの精密部品を製造・販売しています。M&Aも積極的に推進しており、2023年7月と2024年7月にはそれぞれ1社を子会社化し、新規事業領域の育成・拡大を図っています。2026年3月期においては、自動車部品製造事業が売上高279億47百万円、セグメント利益24億71百万円を計上し、その他事業は売上高11億46百万円、セグメント利益34百万円となりました。
直近決算ハイライト
2026年3月期の決算は、売上高が前期比13.9%増の291億円となり、好調な業績となりました。特に、海外販売は中国向け販売の減少があったものの、北米向け販売の増加により同25.9%増と大きく伸び、国内販売もM&Aによる子会社連結や新規受注案件の寄与により同8.6%増となりました。しかしながら、営業利益は増産対応に伴う費用増加、関税の影響、労務費や諸資材価格の高騰などにより、同4.2%減の25億円にとどまりました。一方、経常利益は為替差益の計上により同17.2%増の27億円、親会社株主に帰属する当期純利益も、メキシコ子会社での繰延税金資産評価額増加などが寄与し、同38.6%増の21億円と大幅な増益を達成しました。セグメント別では、自動車部品製造事業の売上高は同13.1%増となったものの、セグメント利益は同9.7%減少しました。その他事業は、M&A効果により売上高が同36.1%増加し、セグメント損失から利益へと転換しました。
強みと競争優位性
当社の強みは、自動車部品製造事業における長年の実績と、そこで培われてきた高度な技術力にあります。特にエンジンバルブ関連部品においては、グローバルシェア8%を誇り、低燃費技術の進化や環境規制強化に対応した高機能製品の開発力が高く評価されています。また、M&Aを積極的に活用し、新規事業領域の育成・拡大を図っている点も競争優位性と言えます。2023年7月と2024年7月に子会社化した企業とのシナジー創出や、本社工場の遊休地を活用したミニトマト事業など、多角的な事業展開を進めています。さらに、親会社である大同特殊鋼株式会社のグループ企業であることから、高品質な特殊鋼鋼材の安定調達が可能であることも、製品の品質維持・向上に貢献しています。グループ全体で「PQCD(生産性、品質、価格、納期)」における世界最高水準の体制構築を目指し、顧客満足度の向上に努めていることも、強固な顧客基盤の構築に繋がっています。
リスク要因
当社の経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、まず自動車市場の電動化シフトが挙げられます。主力製品であるエンジンバルブは内燃機関搭載車両向け部品であるため、EVシフトが想定を超えるスピードで進展した場合、需要減少による業績への影響が懸念されます。これに対し、新規事業の模索やM&Aによる事業拡大、ハイブリッド車(HV)やカーボンニュートラル燃料対応エンジンの開発強化で対応を図っています。また、自然災害のリスクも存在し、特に主要生産拠点である静岡県西部は南海トラフ地震の想定震源域に位置しています。事業継続計画(BCP)の見直しや防災訓練の継続実施によりリスク低減に努めていますが、大規模災害発生時には操業停止や復旧費用の発生リスクがあります。さらに、子会社の業績動向、人材の定着・確保、カーボンニュートラルへの対応遅れ、ESG・サステナビリティ関連の不祥事、製品の欠陥、法的規制の変更、新製品開発の遅延、IT環境・情報セキュリティインシデント、原材料・エネルギー価格の変動なども、業績に影響を与える可能性があります。
投資テーマとの関連
当社は、自動車産業における電動化シフトという大きな潮流の中に位置づけられます。直近ではEV普及の鈍化とHVへの需要再評価という動きがあり、当社の主力である内燃機関向け部品事業は短期的には維持・増大の機会があると捉えています。この「残存者利益」を最大化するため、グローバルシェア拡大や高機能エンジンバルブの開発に注力しています。一方で、中長期的にはEV化が進展することは不可避と認識しており、保有技術の活用やM&Aによる新規事業展開を通じて、EV関連部品や新たな成長分野へのシフトも進めています。特に、子会社のピーアンドエムが製造する精密部品は、半導体やEVバッテリー製造分野で使用されており、これらの成長テーマとの関連が深まっています。また、CO2排出量削減目標の設定や太陽光発電システムの導入など、カーボンニュートラルへの取り組みはESG投資の観点からも注目されます。