事業概要
当社グループは、企業経営全般及びその他分野における書籍・雑誌の出版・販売を行う「出版事業」と、広告代理業やPR誌・会報誌の企画制作等を行う「出版付帯事業」を単一セグメントとして展開しています。出版事業においては、法律、会計、税務、経営、経済、情報といった専門分野に特化し、学術研究書から実務書、大学向け教科書、資格試験対策教材、IT関連実用書まで、多岐にわたる書籍を刊行しています。また、専門雑誌としては、「企業会計」「税務弘報」「旬刊経理情報」「ビジネス法務」の4誌を発行し、それぞれの専門分野における最新情報や実務知識を提供しています。子会社においては、書籍・雑誌の企画編集、制作、販売、広告代理、PR誌・会報誌の企画制作などを分担し、グループ全体で事業を展開しています。この専門出版社としての強みを活かし、社会の変化や読者の多様なニーズに的確に応えることを目指しています。
直近決算ハイライト
2025年9月期決算では、売上高は前年同期比5.0%増の3,256百万円、営業利益は同96.2%増の234百万円、経常利益は同99.9%増の254百万円と、大幅な増収増益を達成しました。これは、主力の出版事業において、新リース会計基準やサステナビリティ開示に関する解説書、改正内部統制報告制度準拠の書籍などが好評を博したことに加え、会計学術分野や経営・経済、税務、法律分野においても、受賞歴のある専門性の高い書籍や、社会的な関心の高まりに応えるテーマの書籍が売上を牽引したことが要因です。また、雑誌事業においても、専門性の高いコンテンツ提供を継続し、読者ニーズに応えました。出版付帯事業も広告媒体の多様化に対応し、新規顧客開拓やWeb広告への展開により、大幅な増収となりました。さらに、投資有価証券の一部売却による特別利益の計上も、親会社株主に帰属する当期純利益を大幅に押し上げる要因となりました。
強みと競争優位性
当社の強みは、長年にわたり培ってきた企業経営分野における専門性と、それに基づいた質の高いコンテンツ制作力にあります。法律、会計、税務といった高度に専門化された領域において、第一人者とされる著者陣による、学術的かつ実務的な書籍・雑誌を多数刊行しており、これが厚い顧客基盤の形成に繋がっています。また、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」に基づく再販売制度、および委託販売制度が業界で維持されていることも、一定の事業基盤を支えています。近年の出版業界全体における市場縮小やコストアップの潮流の中でも、返品率の低減や適量送本といった施策で成果を上げており、販売面での効率化にも努めています。さらに、デジタル化への対応として電子データ提供やオンラインセミナー開催なども展開しており、変化する市場環境への適応力も示しています。
リスク要因
当社グループの事業運営における主要なリスクとして、まず、著作物再販制度や委託販売制度が廃止・変更された場合の影響が挙げられます。これらの制度は出版業界の商慣習の根幹をなすものであり、その変更は業界全体、ひいては当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、生成AIを利活用した著作物の普及は、著作権や著作者・出版社の利益保護に関する新たな課題を生じさせる可能性があり、適切なルール整備がされない場合にはリスクとなり得ます。個人情報管理における漏洩リスク、優秀な人材の確保・育成の困難さ、知的財産権に関する紛争リスク、大規模災害や感染症の蔓延による事業継続への影響、サイバー攻撃によるシステム停止や情報漏洩リスクなども、事業継続および収益に影響を与えうる要因として認識されています。
投資テーマとの関連
当社グループは、企業経営、法律、会計、税務といった分野の専門書を出版しており、これらの分野における高度な知識や専門情報は、AIやDXといった現代の主要な投資テーマとも間接的に関連しています。例えば、AIやDXの導入・活用には、それらを支える法制度、会計処理、税務上の扱いに関する専門知識が不可欠であり、当社の刊行物はこれらの最新動向や実務的対応に関する情報源となります。また、サステナビリティ開示や企業統治に関する書籍の刊行は、ESG投資への関心の高まりとも呼応するものです。直接的にAIや半導体といった最先端技術を扱うわけではありませんが、これらの技術革新を社会実装していく上で必要となる専門知識や実務ガイダンスを提供することで、間接的に産業全体の発展や投資テーマの深化に貢献していると言えます。