このテーマとは

リサイクルは、廃棄物・使用済み製品から有価物・素材を回収し、再資源化・再利用する産業領域。具体的には、(1) 一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬、(2) 中間処理(破砕・選別・焼却・無害化)、(3) 最終処分(埋立)、(4) 金属リサイクル(鉄スクラップ・非鉄金属・レアメタル)、(5) プラスチックリサイクル、(6) 紙・古紙再生、(7) 廃電池・廃家電リサイクル、(8) 資源回収(食品残渣・廃食用油・廃水利用)、を含む。

本テーマには、廃棄物処理業者、リサイクル業者、再生プラスチックメーカー、金属スクラップ商社、廃家電・廃電池リサイクル事業者、リサイクル設備・装置メーカーまで含まれる。

なぜ注目されているのか

リサイクル産業は、(1) 資源価格上昇、(2) サーキュラーエコノミー・脱炭素政策、(3) 規制強化、(4) 都市鉱山概念の浸透、を背景に構造的に需要が拡大している。

(1) 資源価格:銅・アルミ・ニッケル・コバルト・リチウムといった非鉄金属・レアメタルの市況は、2010年代と比べ高水準で推移している。新興国の工業化・EV化・脱炭素設備需要を背景に、長期的に資源需給は逼迫傾向。資源価格上昇は、リサイクル業者の粗利率を押し上げる要因となる。

(2) サーキュラーエコノミー政策:EUのCSRD・エコデザイン規則・パッキング規則、日本のプラスチック資源循環促進法(2022年4月施行)など、製品の循環利用を義務付ける制度が拡大。製造業はリサイクル材使用率の目標達成を求められ、再生プラスチック・再生金属の需要が構造的に増加している。

(3) 規制強化:廃棄物処理法・容器包装リサイクル法・小型家電リサイクル法・自動車リサイクル法・家電リサイクル法・PCB特別措置法など、多層的な規制でリサイクル産業の市場規模が制度的に支えられる。バーゼル条約改正でプラスチック廃棄物の越境輸出が制限され、国内処理需要が増加した。

(4) 都市鉱山:使用済み電子機器・廃自動車・廃電池に含まれる金属(金・銀・銅・レアメタル)を回収する「都市鉱山」概念が定着。EV廃電池からのリチウム・ニッケル・コバルト回収など、新規リサイクル領域も拡大している。

ただし、リサイクル品の品質・コストが新品材料と競合できないと事業が成立しない。技術力・規模の経済・サプライチェーン構築が事業優位を生む。

関連する事業領域

含まれる業種は、サービス業(廃棄物処理業・リサイクル業)、卸売業(金属スクラップ商社・古紙商社)、化学(再生プラスチック・廃液処理)、非鉄金属(金属リサイクル・精錬)、機械(リサイクル設備・破砕機・選別機)、運輸業(廃棄物運搬)など。

リサイクルのサブテーマとしては、(a) 一般廃棄物・産業廃棄物処理、(b) 金属リサイクル(鉄・非鉄・レアメタル)、(c) プラスチックリサイクル、(d) 廃家電・廃電池リサイクル、(e) リサイクル設備・装置、で需要・収益構造が異なる。

財務的にどう評価するか

リサイクル企業の評価軸は、(a) 売上構成(収集運搬/処理処分/資源販売の比率)、(b) 処理量(トン)、(c) 営業利益率、(d) 資源価格感応度、を見る。資源価格上昇局面では資源販売収入が大きく伸び、価格下落局面では業績が圧迫される。資源価格に対する感応度を有報・説明会資料で確認したい。

処理処分業(廃棄物処理)は、処理単価×処理量で売上が立つストックビジネス的性格があり、自治体・大手事業者との長期契約で収益が安定。営業利益率は10〜15%が標準。一方、金属スクラップ・資源リサイクルは資源価格連動でボラティリティが高く、営業利益率も大きく振れる。

設備投資負担も特徴で、リサイクル工場・処理プラント新設・更新には数十億円〜数百億円規模の投資が必要。CAPEX回収期間が長いため、中長期視点で評価する必要がある。

落とし穴は、(1) 資源価格急落で在庫評価損、(2) 廃棄物処理場の地域住民との合意問題、(3) 処理単価競争による粗利圧迫、(4) 環境規制違反による事業停止リスク、(5) リサイクル材の品質問題による訴訟リスク、の5点。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 売上構成(処理処分/資源販売)、(b) 処理量・処理単価の方向感、(c) 資源価格感応度、(d) 営業利益率の中期推移、を確認したい。

関連テーマのサーキュラーエコノミー環境技術レアメタル金属資源プラスチック代替脱炭素 を併読すると、リサイクル産業を取り巻く制度・需要・素材市場が把握できる。