このテーマとは

動画配信テーマは、インターネット経由で動画コンテンツを届けるサービス全般を扱う。具体的には、(1) SVOD(サブスクリプション型)の映画・ドラマ・アニメ配信、(2) AVOD(広告型)・FAST チャンネル、(3) ライブ配信(個人配信・スポーツ・音楽)、(4) 短尺動画プラットフォーム、(5) TVer・見逃し配信・テレビ局のオンデマンド、(6) アニメ配信・クールジャパン、(7) スポーツライブ配信、(8) 配信向け CDN・トランスコード等のインフラ、までを射程に入れる。

主要 SVOD は外資(Netflix・Amazon Prime Video・Disney+ 等)が中心、国内事業者は U-NEXT・ABEMA・TVer・dTV 等。アニメ・スポーツ・ライブ・短尺動画では国内事業者にも強い領域がある。

なぜ注目されているのか

第一の追い風は、視聴行動の構造シフトである。テレビからインターネット動画への視聴時間移行は世代を跨いで進み、若年層ではほぼ反転完了、シニア層でも視聴時間が継続的に増えている。スマートテレビ・スティック型デバイス・スマートフォン・タブレットなど、視聴デバイスの多様化も追い風になっている。

第二に、AVOD・FAST(Free Ad-Supported Streaming TV)の拡大。SVOD の月額契約に加えて、広告付き無料視聴や FAST チャンネル(広告型のライブストリーミング)が、国内外で成長している。広告収入と SVOD 収入を組み合わせるハイブリッドモデルが標準化しつつある。

第三に、スポーツ・ライブ配信の市場拡大。プロ野球・サッカー・バスケ・モータースポーツ等のライブ配信権が、配信プラットフォームの差別化要素になっている。e スポーツ・大規模オンラインイベントの中継も同様に拡大している。

第四に、アニメ・コンテンツの国際展開。国産アニメは世界配信プラットフォームで強い視聴需要を持ち、ライセンス・配信権収入は国内アニメ制作・コンテンツ企業の重要な収益源になっている。漫画原作のドラマ化・実写化のグローバル展開も拡大している。

逆風はコンテンツ投資コストの高騰と、競争激化による解約率上昇。SVOD は競合の増加で1ユーザー当たりの加入サービス数が頭打ちになり、解約と再加入を繰り返す行動(チャーン上昇)が定着しつつある。コンテンツ投資の利益率回収が長期化する局面では、各社の利益率が圧迫される。

関連する事業領域

含まれる業種は、情報・通信業(配信プラットフォーム・SaaS・CDN)、サービス業(コンテンツ制作・運営)、放送業(テレビ局の配信事業)、ゲーム・コンテンツ業(アニメ・映画・音楽)、機械(録画機器・配信設備)、卸売業(コンテンツ流通・ライセンス)など。

「動画配信銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) プラットフォーム事業者(売上はサブスク・広告)と、コンテンツ供給者(ライセンス収入主体)でビジネスモデルが違う、(b) 国内専業と外資 SVOD で、規模・コスト構造・競争環境が大きく異なる、(c) ライブ配信・短尺動画は SVOD とは収益モデルが違い、広告・投げ銭・コマースのミックスで構成される、という点。

財務的にどう評価するか

動画配信テーマで最初に見たいのは、有料会員数(SVOD)・MAU(AVOD・SNS 動画)・コンテンツ視聴時間の推移である。SVOD では会員数 × ARPU、AVOD では MAU × 広告 ARPU、で売上規模が決まる。チャーン率(解約率)は中長期の成長性を規定する重要指標で、コンテンツ投資の効率性を反映する。

利益面では、コンテンツ調達費・自社制作費・配信インフラ費・販管費の構成を見る。SVOD は会員数の規模化が必要で、損益分岐点を超えると収益が一気に立ち上がる構造を持つ。配信インフラ(CDN・トランスコード)は半固定費的で、視聴量の拡大とともに単位コストは下がる。

落とし穴は3つ。第一に、SVOD の会員数成長率は飽和に近づく地域があり、ARPU の引き上げ(値上げ・上位プラン誘導・広告連携)が成長ドライバになっている。値上げによる解約増のリスクと両立させる必要がある。第二に、コンテンツ投資の減損リスクは、配信権・自社制作の両面で発生する。第三に、海外プラットフォーム経由の収益(コンテンツライセンス)は為替・契約条件で大きく変動する。

中長期では、コンテンツ IP の自社保有度合い、グローバル配信権の獲得、AVOD・FAST の収益化、ライブ・スポーツ配信権の戦略、AI 活用によるコンテンツ推奨・運用効率改善、が事業価値の指標になる。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) サービス区分別売上構成(SVOD/AVOD/ライブ/コンテンツライセンス)、(b) 会員数・MAU・チャーン率の推移、(c) コンテンツ投資の規模と利益率、(d) 海外売上比率、を最低限チェックしたい。

関連テーマのコンテンツSNS広告データセンターメタバース と併読すると、動画配信が単独メディアではなく、コンテンツ制作・広告流通・通信インフラと一体で動く産業であることが立体的に見える。