このテーマとは

eスポーツテーマは、ビデオゲームを競技として行うプロフェッショナル領域の経済圏全般を扱う。具体的には、(1) プロゲーミングチーム・選手マネジメント、(2) 大会運営・リーグ運営(オンライン大会・オフライン大型大会)、(3) ゲームタイトルパブリッシャーの大会主催、(4) ゲーミング機材(PC・周辺機器・モニター・ヘッドセット・チェア)、(5) 配信プラットフォームと配信者経済、(6) スポンサーシップ・広告・グッズ販売・興行収入、(7) 教育機関・専門学校・部活動・地域大会、までを射程に入れる。

世界 eスポーツ市場は競技人口・視聴者数・大会賞金総額のいずれも継続成長しており、日本でも JeSU 認定タイトル拡大・国体での競技採用・地方自治体の誘致など、社会的な定着が進む。

なぜ注目されているのか

第一の追い風はデジタルエンタメ全体の構造的成長と、その中での観戦型エンタメの定着である。配信プラットフォームでのライブ視聴、コミュニティ型応援文化、Z 世代・α 世代の視聴習慣との親和性で、eスポーツは「観るゲーム」として定着しつつある。視聴者数は伝統スポーツの一部を超える規模に達したジャンルもある。

第二に、スポンサーシップ・広告主の参入拡大。自動車・飲料・通信・金融・PC ゲーミング機材ブランドなどが、若年層リーチの主要チャネルとして eスポーツに広告予算を投下している。プロチームの企業スポンサー獲得・大会冠スポンサーで、興行収入の規模が拡大している。

第三に、ゲーミング機材市場の堅調な拡大。高性能 PC・GPU・高リフレッシュレートモニター・ゲーミングデバイス・ヘッドセット・チェアなど、eスポーツプレイヤー・愛好家向け機材の市場は継続成長している。プロ仕様機材の一般消費者への波及(ストリーマー文化)が販売を底支えする。

第四に、地域・教育分野での裾野拡大。高校 eスポーツ大会、専門学校・大学の eスポーツコース新設、地方自治体の誘致と地域振興、シニア向け eスポーツなど、競技プレイヤー以外の経済圏が広がっている。

逆風は単一タイトル依存リスクと、ゲームタイトルパブリッシャーの強い権利統制である。流行タイトルが入れ替わるとプロチーム・大会の経済圏も影響を受け、また大会開催権・配信権はパブリッシャーが握るため、運営側の収益自由度には制約がある。

関連する事業領域

含まれる業種は、情報・通信業(ゲームパブリッシャー・配信プラットフォーム・大会運営)、サービス業(チーム運営・興行・教育)、その他製品(ゲーミング機材)、卸売業(流通)、広告業など。

「eスポーツ銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) ゲームパブリッシャーと大会運営・チーム運営で収益構造がまったく違う、(b) 機材メーカーは eスポーツ市場拡大の恩恵を受けるが、ゲーム業界一般の景気感応度の方が大きい、(c) 大手ゲーム企業の eスポーツ事業は本業に対する売上比率が小さく、テーマ性と業績影響度が一致しない、という点。

財務的にどう評価するか

eスポーツテーマで最初に見たいのは、関連事業の売上規模と、興行収入・スポンサー収入・物販・機材販売・配信プラットフォーム利用料、の構成比である。チーム運営・大会運営はスポンサー獲得が収益の柱で、契約期間と単価の動きが業績を強く規定する。

利益面では、大会賞金・チーム運営費・選手契約料の固定費負担が大きく、規模化前は赤字事業が多い。機材メーカーは半導体・ディスプレイ価格との相関が強く、ゲーミング GPU 市況・モニター需要の波で利益率が振れる。

落とし穴は3つ。第一に、テーマ性で先行買いされた銘柄が、実際の事業規模と乖離して期待先行になる例が多い。eスポーツ事業の連結売上比率を必ず確認したい。第二に、流行タイトルの交代で大会・チーム経済圏が入れ替わるリスクがある。複数タイトル展開・自社タイトル保有の有無が事業の安定性を決める。第三に、ゲーム業界全体の景気感応度(巣ごもり需要の反動・新作不振)の影響を分離して見る必要がある。

中長期では、自社タイトル保有・大会権利の確保、海外展開、ゲーミング機材のブランド力、教育機関・地域連携、配信・コミュニティ事業の規模化、が事業価値の指標になる。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) eスポーツ関連事業の売上規模と現状損益、(b) パブリッシャー/チーム/機材/配信のどの位置取りか、(c) 主要タイトルへの依存度、(d) スポンサー契約の安定性、を最低限チェックしたい。

関連テーマのゲーム動画配信広告SNSメタバース と併読すると、eスポーツが単独興行ではなく、デジタルエンタメ・若年層マーケティング・コミュニティ経済の交差点で動く新興領域であることが立体的に見える。