このテーマとは

生成AI(Generative AI)は、大規模言語モデル(LLM)・画像生成モデル・動画生成モデル・音声合成モデル・コード生成モデルなどによって、テキスト・画像・動画・音声・プログラムコードを自動生成する技術領域。OpenAIのGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGemini、StabilityのStable Diffusion、ElevenLabsの音声合成といった基盤モデルを起点として、業務応用が急速に広がっている。

本テーマには、(1) 基盤モデル開発(日本では国産LLM開発企業)、(2) 生成AI応用SaaS(チャットボット・文書生成・画像生成・コーディング支援)、(3) 生成AI向け学習・推論基盤(データセンター・GPUクラスタ)、(4) 生成AIの導入支援・コンサルティング、(5) 生成AI関連の半導体・電子材料、(6) AIガバナンス・セキュリティ、まで広く含まれる。

なぜ注目されているのか

生成AIは、2022年末のChatGPT登場以降、これまでのAIブームと異なる質的変化を生んだ。「教師あり学習で特定タスクを実行するAI」から「汎用的に多様なタスクを実行できる基盤モデル」への移行であり、文書要約・翻訳・コーディング・コールセンター応答・画像生成といった、これまで自動化困難だった非定型業務がソフトウェアで代替可能になりつつある。

経済インパクトの推計値はマッキンゼー・ゴールドマンサックス等の各種試算で示されており、生成AIによる年間生産性向上効果は世界で2.6〜4.4兆ドル(マッキンゼー2023年推計)と見込まれる。日本でも生成AI導入による労働生産性向上が、人手不足経済の解決策として強く期待されている。

供給側の構造変化も大きい。LLM学習・推論には膨大なGPU・電力・冷却が必要で、ハイパースケーラー(AWS・Microsoft・Google)が桁違いの設備投資を継続。NVIDIA・AMDといったAI半導体企業の業績拡大、半導体製造装置・電子材料・データセンター向け空調電源・特殊化学品など、生成AIブームのCAPEXは部材レイヤーまで広く波及している。

政策面では、(1) AI事業者ガイドライン整備、(2) 経済安全保障の観点での国産基盤モデル開発支援、(3) 政府保有計算資源(GPUクラスタ)の整備、(4) AIによる著作権侵害・偽情報対策、(5) AI規制法(EU AI Act等)への対応、と論点が多面的に進行している。

ただし、生成AIブームには「期待先行」の側面が強く、現実の業務適用では精度・コスト・セキュリティ・ガバナンスの課題が残る。「PoC(概念実証)どまり」のプロジェクトも多く、本格的な収益化に至るには業務との具体的な統合が必要。

関連する事業領域

含まれる業種は、情報・通信業(LLM開発・生成AI SaaS・クラウド・コーディング支援)、サービス業(生成AI導入コンサル・受託開発)、電気機器(AI半導体・サーバー)、卸売業(AI関連商社)、不動産業(データセンター)など。

生成AIのサブテーマとしては、(a) 基盤モデル開発(LLM)、(b) 生成AI応用SaaS(業界別ユースケース)、(c) 生成AI受託・コンサル、(d) 生成AI向け学習・推論基盤、(e) AIガバナンス・セキュリティ、で市場特性が異なる。

財務的にどう評価するか

生成AI関連企業の評価軸は、企業のビジネスモデル別に異なる。

(1) 生成AI SaaSベンダー:(a) ARR成長率、(b) 解約率、(c) 顧客あたり売上、(d) 営業利益率、を見る。生成AI機能を組み込んだSaaSは、従来SaaSより推論コスト(API利用料・GPU費用)が重く、粗利率が圧迫されやすい点に注意。

(2) 生成AI受託・コンサル:(a) 受注高・営業利益率、(b) エンジニア1人あたり生産性、(c) ストック型保守契約比率、を見る。労働集約的になりがちで、SaaS化の進度が中長期評価を分ける。

(3) 生成AIインフラ企業(データセンター・半導体・電子材料):(a) AI関連売上の構成比、(b) 受注残・新規顧客獲得、(c) 設備投資(CAPEX)/減価償却、(d) 営業利益率、を見る。

落とし穴は、(1) 「生成AI関連」と打ち出していても売上構成比が小さい、(2) PoC案件中心で本格的な売上計上に至らない、(3) 推論コスト負担で粗利率圧迫、(4) 海外大手プラットフォーム(OpenAI・Microsoft・Google)の値下げ・機能拡充による競合圧力、(5) AI規制強化による事業制約、の5点。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 生成AI関連売上の比率、(b) ビジネスモデル(SaaS/受託/インフラ)、(c) ARR成長率・営業利益率、(d) 海外大手との競合・連携状況、を確認したい。

関連テーマのAIデータセンタークラウド半導体サイバーセキュリティ を併読すると、生成AIブームの恩恵が広がる範囲と限界が掴みやすい。