このテーマとは
ブロックチェーンテーマは、分散台帳技術(DLT)と、その上で動くアプリケーション・サービス全般を扱う。具体的には、(1) パブリックチェーン(Bitcoin・Ethereum・Solana 等)の周辺事業(取引所・カストディ・マイニング)、(2) エンタープライズブロックチェーン(Hyperledger・Corda 等)を用いた業務システム、(3) NFT(非代替性トークン)プラットフォームと発行支援、(4) DeFi(分散型金融)アプリケーション、(5) ステーブルコイン・電子的記録移転権利(セキュリティトークン、ST)、(6) ウォレット・ノード運用・ブロックチェーン分析、までを射程に入れる。
技術としては10年以上の歴史を持ち、暗号資産バブルとその後の調整を経て、金融・サプライチェーン・コンテンツ等の実装事例が積み上がるフェーズに入っている。
なぜ注目されているのか
第一の追い風は、機関投資家による暗号資産・トークン化資産への参入である。ビットコイン現物 ETF や、債券・株式・不動産のトークン化(RWA: Real World Asset)など、伝統金融とブロックチェーンの接続が進み、関連インフラ(カストディ・取引・コンプライアンス)への需要が拡大している。
第二に、ステーブルコインと電子的記録移転権利の制度整備。日本では資金決済法・金商法の改正で、ステーブルコイン発行と セキュリティトークン取引の法的枠組みが整い、銀行・信託・証券・取引所が周辺事業を組み立てやすくなった。決済・送金・社債発行などの実用化が進む。
第三に、エンタープライズ用途。サプライチェーンのトレーサビリティ、貿易金融、電力・カーボンクレジット取引、不動産登記、医療データ連携など、複数主体間で台帳を共有する必要のある領域でブロックチェーン基盤の利用事例が増えている。
第四に、Web3 ・コンテンツ・ゲーム領域。NFT を用いたデジタルコンテンツ・チケット・会員権・ゲームアイテムなど、エンドユーザー接点の応用が継続的に試行されている。一時の過熱は落ち着いたが、IP・コンテンツ企業との提携で持続的なユースケースが模索されている。
逆風は規制と市場ボラティリティ。暗号資産関連事業は、各国の規制動向で事業条件が大きく変わる。NFT・ DeFi は会計・税務・消費者保護の取り扱いが流動的で、企業の参入を慎重にしている。価格変動の大きさで、関連サービスの売上が大きく振れる構造も残る。
関連する事業領域
含まれる業種は、情報・通信業(プラットフォーム・SaaS・SI)、銀行業・証券業(カストディ・トークン取引・ステーブルコイン)、サービス業(コンサル・コンテンツ)、卸売業(取引所運営)、ゲーム・コンテンツ企業(NFT 連携)など。
「ブロックチェーン銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) 暗号資産関連(取引所・マイニング)と、エンタープライズ用途(業務基盤)で収益安定性が大きく違う、(b) 大手企業の場合は本業に対する売上比率が小さく、テーマ性と業績影響度が一致しない、(c) ベンチャー型は赤字フェーズが長く、市場サイクルとの相関が大きい、という点。
財務的にどう評価するか
ブロックチェーンテーマで最初に見たいのは、ブロックチェーン関連事業の売上規模と、それが既存事業のうち独立採算で開示されているかである。多くの企業ではセグメント開示の中の一部にとどまり、決算説明資料・統合報告書・適時開示で個別に言及される情報を集める必要がある。
暗号資産取引所・関連ベンチャーでは、預かり資産残高、取引高、手数料率の推移が業績の中心指標になる。取引高は暗号資産市場のサイクルと連動するため、好況期と不況期で利益が大きく振れる前提で評価したい。
落とし穴は3つ。第一に、暗号資産価格の急騰局面で関連銘柄に資金が流入し、業績裏付けの薄い企業が急騰・急落する例が繰り返されている。テーマ性に乗って買うのではなく、実態の売上構成と利益寄与で測ることが重要になる。第二に、ステーブルコイン・ST・カストディなどの規制対応事業は、認可取得・コンプライアンスコストが重く、規模が出るまで赤字フェーズが続く。第三に、暗号資産そのものを保有して評価益・損を計上する企業は、会計処理が時価評価の影響を受け、業績変動が大きくなる。
中長期では、エンタープライズ実装の本数、機関投資家向けインフラサービスの契約獲得、規制対応ライセンスの保有状況、トークン化資産の発行・取扱規模、が事業価値の指標になる。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) ブロックチェーン関連事業の売上規模と現状損益、(b) 暗号資産関連かエンタープライズ用途かの構成、(c) 規制ライセンスの保有・申請状況、(d) 市場サイクルへの感応度、を最低限チェックしたい。
関連テーマの暗号資産・フィンテック・DX・メタバース・SaaS と併読すると、ブロックチェーンが単独テーマではなく、金融・コンテンツ・業務システムの基盤技術として横断的に動いていることが見える。